一覧ページ

TELLERのお題

第6話 - いつかきっと

2019年09月19日

#恋愛

#ホラー

#コメディ

#お題

#百合

紅茶

？

メアリー、メアリー

？

こっちにおいで

メアリー

お兄さんは、誰？

？

それは秘密

メアリー

それじゃあ、どうして私を呼んだの？

？

それはね…

？

これを渡そうと思ったんだ

メアリー

？

メアリー

わぁ、かわいい！

メアリー

リボン？

？

そう

？

おいで、結んであげる

？

…うん、似合うね

メアリー

えへへ、ありがとう

？

絶対に失くしてはいけないよ

メアリー

どうして？

？

肌身離さず持っていれば、僕はきっと君を助けられる

？

このリボンはね、それまでに君を守る道具なんだよ

メアリー

よくわかんない…

？

わからなくてもいい

？

だけど絶対、失くしてはいけないよ

？

約束

？

守れるかい？

メアリー

うん！

メアリー

守れるよ

？

いい子だね

メアリー

お兄さんは？

？

ん？

メアリー

お兄さんには、守ってくれるものはないの？

？

……

？

うん

？

でもまぁ、僕には必要ないから

メアリー

どうして…？

？

それはね、

？

僕は、魔法使いなんだ

メアリー

魔法使い？

？

そう、魔法使い

？

だからどんなに大変な目にあっても、魔法を使えばいいから

？

心配しないで、メアリー

メアリー

すごーい！

メアリー

じゃあお兄さん、私に魔法を教えて！

？

うーん

？

それはまた、君が大人になったらね

メアリー

えー…

？

そう拗ねないで

メアリー

…大人になったら、教えてくれるのね？

？

もちろん！

？

だからメアリー、その時まで待てるかい？

メアリー

うん、待てる！

？

いい子だね

？

…さて

？

そろそろ行かないと

メアリー

もう？

メアリー

ねぇ、もっとお話しようよ

？

ごめんね、これからやる事があるんだ

？

大丈夫、また会えるよ

メアリー

本当？

？

うん

？

またね、メアリー

メアリー

またね、お兄さん！

5年後

母親

メアリー、メアリー！

母親

いつまで寝ているの、さっさと起きな！

メアリー

あ、

メアリー

ご、ごめんなさいお母様！

母親

わかったならとっとと降りてきな

母親

朝飯だよ！

メアリー

わかりました…

メアリー

…？

母親

なんだい

メアリー

あの…エルザは？

メアリー

エルザはまだ起きないの？

母親

…あぁ、あいつか

母親

昨日の夜から帰ってないよ

メアリー

え…

メアリー

大変、探しに行かなきゃ

母親

必要ないよ

メアリー

でも！

母親

大方、男でもできたんだろ

母親

どこぞの家に転がり込んでるんじゃないのかい

メアリー

そんな…

母親

ほら、つべこべ言ってないで食いな

母親

明日の夜は、働いてもらうんだから

メアリー

…働くって

メアリー

お母様、突然言われても予定が

メアリー

それに、今まで仕事なんて…

母親

…うるさい女だね

母親

あんたに拒否権なんてないよ

メアリー

でも、一体なんの仕事をするの？

母親

またその時になったら教えてやるよ

母親

ほら、さっさと食え！

メアリー

…はい

市場にて

メアリー

はぁ…

メアリー

仕事って、なんだろう

エルザ

…あら？

エルザ

メアリーじゃない、なにしてるのよ

メアリー

エルザ！

メアリー

お母様に頼まれて、お買い物

メアリー

エルザこそ、今まで何してたの？

エルザ

…別に

エルザ

あんたには関係ないわ

メアリー

関係なくない

メアリー

だって私たち、姉妹だもん

エルザ

血は繋がらないでしょ

メアリー

…それはそうだけど

エルザ

……

エルザ

メアリー、誰にも言わないって約束できる？

メアリー

う、うん

エルザ

あのババアにも言わないでよ

メアリー

バ…もちろん

エルザ

なら言うけど

エルザ

…私ね、恋人ができたの

メアリー

！

エルザ

それで昨日は泊まったんだけど

エルザ

今日もそうなるかもしれないの

エルザ

あのババアは何か言ってた？

メアリー

えっと

メアリー

男でもできたんだろって…

エルザ

え、バレてんの？

メアリー

う、うん

エルザ

あーもう…

エルザ

…ねぇメアリー。あんた、ババアに何か頼まれた？

エルザ

買い物以外で

メアリー

えっと…仕事を明日に

エルザ

仕事？

エルザ

なんの

メアリー

わからないの

メアリー

もうそろそろ帰らないと

エルザ

メアリー…あんた

エルザ

逃げた方がいいわよ

メアリー

…え、どうして？

エルザ

何されるかわかんないもの

エルザ

下手すれば、知らない男に売られるかもしれない

メアリー

うられ…っ！？

メアリー

で、でもお母様がそんな事

エルザ

あのババアに大切にされた事なんてある？

エルザ

あいつはね、私たちを商売道具としか見てないのよ

メアリー

…っ、

エルザ

…メアリー、あんたは小さかったから、もう覚えてないだろうけどね

エルザ

私が11歳で、あんたは8歳だったかしら

エルザ

上の2人…アンナもエリーゼも、突然いなくなった

エルザ

どうしてだと思う？

メアリー

お母様が、

メアリー

2人は恋人ができて、結婚するために

メアリー

出て行ったって…

エルザ

嘘よそんなの

エルザ

あのババアに何かされたに決まってるじゃない

メアリー

そんな…！

エルザ

売られたか、子どもができて自殺したのか

エルザ

とにかく

エルザ

私はもう、あの家には帰らないからね

メアリー

エルザ、でも

メアリー

私は…どうしたらいいの？

エルザ

……

エルザ

私だって、できるならあんたを連れて行きたい

エルザ

でも彼の家はそれほど裕福でもないの

エルザ

だから…ごめんね

メアリー

いや…待って

メアリー

帰りたくない！

エルザ

メアリー、愛してる

エルザ

…必ず逃げなさい

メアリー

エルザ…！

翌日

メアリー

……

メアリー

アンナも、エリーゼも、お母様のせいで…？

メアリー

いやだ

メアリー

怖い…！

メアリー

どうにかして、助かる方法はないかな

メアリー

そういえば、

？

絶対に失くしてはいけないよ

？

肌身離さず持っていれば、僕はきっと君を助けられる

？

このリボンはね、それまでに君を守る道具なんだよ

？

僕は魔法使いなんだ

？

だからどんなに大変な目にあっても、魔法を使えばいいから

？

心配しないで

？

メアリー

…！

メアリー

そうだ、あの人

メアリー

あの人がくれたのは…

ガタガタガタン

メアリー

あった

メアリー

あの人の、魔法のリボン

メアリー

これがあれば、きっと…

夜

母親

メアリー

母親

出てきな、仕事に行くよ

メアリー

母親

…何やってんだい、早くおし！

メアリー

は、はい

メアリー

お母様…

母親

…？

母親

なんだい、それは

母親

薄汚いリボンだね

メアリー

その、お守りなの

メアリー

大切な人にもらったから…

母親

ふん

母親

さっさと行くよ

メアリー

…はい

メアリー

ここは…？

母親

ついてきな

メアリー

……

母親

ほら

母親

この部屋に入るんだ

メアリー

え、ここって

メアリー

ひょっとして、

母親

…さてと

母親

あと1時間で、お客様がいらっしゃるから

母親

精一杯もてなすんだよ

メアリー

…っ、

メアリー

わかり、ました

バタン

メアリー

……

メアリー

ひっく…ぅう

メアリー

いや、だ…

メアリー

助けて

メアリー

誰か、助けて…

メアリー

…さん

メアリー

お兄さん

メアリー

助けに、きてよぉ…！

バン！！

メアリー

っ！

メアリー

窓が、急に…

メアリー

…え？

メアリー

あ…あ、

メアリー

あなたは…！

？

久しぶり…

？

大きくなったね、メアリー

メアリー

お兄さん、なの？

？

遅くなってごめんね

？

…助けにきたよ

メアリー

…！

？

そのリボン、持っていてくれたんだね

？

ありがとう

？

おかげで、君を見つける事ができた

メアリー

お兄さん、私

メアリー

怖いの

メアリー

お母様が、お客様を連れてくるって

メアリー

私、何をされるの…！？

？

大丈夫だよ、安心して

？

約束、覚えているだろう？

メアリー

約束

メアリー

…ええ

メアリー

覚えてる…！

？

約束、果たしにきたよ

？

君を助けてあげる

？

…おいで

メアリー

…っ、

メアリー

お兄さん…！

カタン、

メアリー

っあ、

？

おっと、危ない

？

…相変わらずのお転婆だね

メアリー

ふふ、ごめんなさい

メアリー

ねぇ、これからどこに行くの？

？

僕の家

？

ここからずっと遠いところにあるけど

？

眠くなるかも

メアリー

ううん、大丈夫

メアリー

起きてられる

メアリー

…ねぇ、お兄さん

？

ん？

メアリー

名前、教えてくれる？

？

うん、いいよ

？

僕の名前は……

5年前のあの日

あの女の子を見つけた時、嫌な予感がした

これから先の人生で、彼女に起きる事が全てわかって

いつかきっと、助けようと思ったんだ

だから、あのリボンに一番得意な魔法をかけた

彼女に危険が迫って、彼女が涙を流すと

すぐに駆けつけられるような魔法

今夜やっと、君との約束を果たせた

いつまでも笑っていて

メアリー。

TELLERのお題

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

2件

めっちゃ好き…(´；ω；｀) 伸びろ(*｣ﾟＡﾟ)｣⤴︎ ⤴︎ あ、フォロー失礼しますっ

果たしてこれは便利道具でよかったのか。

紅茶

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。