強さ

君の泣き顔を見たことがない。

いつも僕ばかり泣いて。

その度に話を聞いてくれて。

我慢をしている素振りさえ見せない。

君は、君自身の声を 聞いているのだろうか。

また君は僕の心配をする。

なんでもない、なんて言って 誤魔化そうとしたって、君はきっと 問い詰めてくる。

違う。

君が心配なんだ。

いつか消えてなくなってしまいそうで

怖いんだ。

また君は、自分に嘘を つこうとしている。

僕は知ってる。

君は優秀で

勉強ができて

顔もよければスポーツもできて

器用で何でも出来て

周りからずっと期待されてきたこと。

期待されてきた量と同じくらい

陰口を言われたり

妬みや恨みを買ってきたってことも。

全部、知ってる。

辛くないわけがない。

しんどくないわけがない。

ずっと君は、自分に嘘をついて

誤魔化して生きてきた。

消えてなくなってしまう前に

僕が君に守られてきたように

僕は君を守りたい。

だから。

僕は知ってる。

この世に“強い人”など存在しない。

どんなに強く見えても

その強さはデタラメで

自分に嘘をついてきた回数なこと。

強く見える人ほど、弱いってこと。

強く見える人ほど、誰かを助けて 自分を保とうとすることも。

知ってるから。

ほら、やっぱり。

君には笑顔が似合うから。

僕が、君の笑顔を守るよ。