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週末を実家で家族と過ごして大学の寮へ戻ると、エントランス前の排水口の隙間に、財布が挟まっていた。
それは赤いレザーの女性物で、ブランド物ではない。
周りに人がいないのを確認して中を開けると、100ドル紙幣の束が入っていた。
自分の部屋に戻ってあらためて数えてみると
僕
身分証明書などはなかったけど、女の子の写真が1枚。
ブロンドの髪を肩まで伸ばした20歳前後の女の子が、カメラに向かって笑っている。
彼女はとても笑顔が素敵で、僕は しばらく5000ドルのことを忘れて写真に見入ってしまったほど。
その時、外から足音が聞こえてルームメイトが帰ってきた。
口の軽い彼に見られると面倒なので、僕は財布と写真をパーカーのポケットに隠した。
次の日から大学を歩き回りながら、写真の女の子を探すことにした。
自分には関係のない講義にも参加したり、普段あまり行くことのない校舎まで足を伸ばし、ブロンドで笑顔が素敵な彼女を探すこと数日。
時間はかかったけど、最終的に写真の女の子はレベッカという名前で、友達からはベッキーと呼ばれていて、大学へ通いながら深夜のスポーツ複合施設で清掃のバイトをしていることまでわかった。
僕
事前にシフトを調べてから、僕は改修工事をしている深夜のスポーツ施設へ向かった。
利用者のいない深夜のスポーツ施設で、彼女はつまらなそうに廊下をモップ掛けしていた。
写真の中では、とても素敵な笑顔をしていたのに、目の前の彼女は雰囲気も暗くて、正直ガッカリした。
僕
ベッキー
僕
僕に気付いた彼女が写真のような笑顔を見せてくれないか期待してたけど、現実は、それほど上手く行かない。
ベッキー
僕
カシュッ カシュッ
僕は 持っていたトートバッグからサイレンサーの付いたピストルを取り出し、ベッキーの額と胸に向けて二度引き金を引いた。
スポーツ施設を後にして寮に帰る途中、僕は使い捨ての携帯電話からテキストメッセージを送信した。
携帯電話