紬〝が〟死んだ。
今朝、母さんからそれを伝えられて。
琴乃と遥馬にも伝えて。
琴乃と遥馬と合流して、紬の病院に行った。
病室のベッドで永遠の眠りについた、紬の姿。
「また一人、いなくなった」
一人ずつ、俺の前から姿を消す。
不思議と、涙はでなかった。
俺の中の[何か]が消えた。
ただ、それだけの事だ。
夕方の街。
昔だったら、ここら辺で「また明日!」って別れたりしたっけ。
遠くで、子供の笑い声がする。
ユウト
(いいな)
そんな事を思いながら、俺は歩く。
どこへ向かうのか、自分でも分からない。
前へ、前へと進む足。
たどり着いたその場所は、 神社 だった。
ユウト
こ こ … 昔、来た … 。
幼い頃、皆で良く行っていた神社。
いつの間にか、行かなくなっていたけれど。
ユウト
懐かしいな、ッ
ぼそ、と独り言を呟く。
……ああ、本当に懐かしい。
昔は、皆で笑いあって楽しかったな。
ユウト
……ここで
ユウト
「紬の病気を治してください」とか
ユウト
「皆とずっと一緒にいれますように」ってお願いしたっけ…
ユウト
……っはは
ユウト
なーんも…叶ってねぇじゃねぇかよ…
ユウト
紬は死んで、
ユウト
一緒にいれなくなって、
ユウト
…………理不尽過ぎんだろ、この世界は . . .