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コメント
16件
あは、すき❤︎
うん…もうなにも言わなくとも だいふく様はわかってくれるだろう…
優しすぎる
だいふく
―隼人視点―
店の外で煙草を吸っていたら、目の端に動く影
――ん?
ちらりと見ると、街灯に照らされた小さな人影が、角の向こうで立ち止まっている
背格好は……あのガキだ
歩くたびに震える肩、泣きそうな目
息が荒く、手をぎゅっと握りしめているのが見える
隼人
思わず声をかけた
ガキはびくっと肩を震わせて振り向く
目が赤く、涙が今にも零れそうだ
――やべぇ、こんな顔、初めて見た
でも、からかう気持ちは抑えられない
煙草をくわえ直し、肩をすくめながら近づく
隼人
声は平然を装っているけれど、胸の奥が少しざわつく
必死で泣きそうになっているガキを、ただ見ていられなかった
隼人
短く言って、店の入口へ向かう
碧は戸惑いながらも、足を速めることはできない
後ろから見守るように歩きながら、隼人はふと笑った
隼人
店に入ると、明るいネオンと笑い声が碧を包む
ホストたちがテーブルや通路で談笑している
視線を向けられた碧は、一瞬硬直する
碧
一人が手を振りながら近づく
ホスト
碧は小さく身をすくめ、隼人の後ろに隠れる
隼人
隼人は軽く手を碧の肩に置き、強引に自分の横に立たせる
隼人
ホストたちはちらりと目を向けるが、隼人の命令に従ってそのまま退く
碧は肩越しに視線を巡らせ、心臓がドキドキしているのが分かる
普段の教室とは全く違う、煌びやかで少し怖い空間
通路を進みながら、隼人はちらっと笑う
隼人
碧は言葉が出ず、ただ小さく頷く
心の中では――
(こんなところに、僕はいていいんだろうか)
控え室のドアが見えてくる
隼人はドアを開け、軽く手をかざして碧を先に入れる
隼人
控え室のドアを閉め、碧がソファに小さく座るのを見た
肩に力が入っていて、震えているのが分かる
隼人
隼人はそう言って、近くに置いてあるブランケットを取り、碧にかけてやる
さらにペットボトルの水も差し出す
隼人
碧は少し戸惑いながらも、ゆっくり手を伸ばして受け取る
手が少し震えていて、自然に隼人の目に映った
隼人
優しく問うつもりで聞いたつもりだったが、少しからかいを交えて声をかける
隼人
碧は小さく首を振る
唇を噛み、目に涙をためながら、やっと口を開く
碧
声が震える
思わず隼人は眉をひそめたが、口元にはいつもの軽い笑みを浮かべている
隼人
煙草は消して、ソファに腰掛けながら、隼人はそっと距離を縮める
隼人
碧は小さく俯き、頬を赤くして涙をこらえる
碧
隼人
隼人は軽く肩を叩き、からかうように笑った
隼人
碧の瞳が大きく揺れる
涙が一筋、頬を伝い落ちそうになって――
でも碧は必死で堪えた
碧
やっと絞り出すように言う声
震えた手でブランケットを握りしめ、少しだけ安心したような表情になる
隼人は黙って見守る
でも心の奥では、こう思った
――このガキ、可愛いな
――甘えてくると、放っておけねぇ
軽く笑い、手は触れずにその場に座ったまま、碧の心が少し落ち着くのを待つ
碧