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初めて二人を見た時

この2人とバンド組みたい

いいな、って

そう思った

朝日 つぐみ

ありがとうございました〜!

後藤 ライカ

…ふん

安定したドラムのリズムキープ

そして難しいリフも難なくこなすギター

そこに立つ姿は正しく主人公のような雰囲気だった

椎名 愛

待って!!

朝日 つぐみ

後藤 ライカ

誰?

椎名 愛

はぁ…はぁ…

椎名 愛

さっき、ライブ、してたよね?

朝日 つぐみ

は、はい…

椎名 愛

私、ベース弾けるんだけど

椎名 愛

私と、バンド組まない?

朝日 つぐみ

朝日 つぐみ

良いんですか?!

後藤 ライカ

………

椎名 愛

2人の演奏めっっちゃ良かった…

椎名 愛

私、武道館で演奏するのが夢なんだ

椎名 愛

是非、私と…!

朝日 つぐみ

だってライカ!

後藤 ライカ

……

ライカは私をじーっと見た

椎名 愛

な…なに…

後藤 ライカ

ベースは?どこ?

椎名 愛

あ…い、今は家に…

後藤 ライカ

持ってきて

椎名 愛

朝日 つぐみ

ちょ、ライカ

後藤 ライカ

音、聴いて決める

椎名 愛

後藤 ライカ

つまんねー音だったら要らない

椎名 愛

な…

椎名 愛

(こいつ…)

朝日 つぐみ

ちょっと、ライカ!

朝日 つぐみ

す、すみません…

椎名 愛

…ふーん

椎名 愛

分かった

椎名 愛

絶対面白いって言わせるから

椎名 愛

ちょっとまってて

椎名 愛

あとスタジオ取っといて!!

朝日 つぐみ

あ、は、はい!

その性格と音に私は惹かれたんだ

椎名 愛

キーボードも連れてきた

立花 侑

こんにちは〜

そして、ピアノが上手い侑も連れてきた

バンド、気になるって言ってたから

朝日 つぐみ

わー!やったー!

朝日 つぐみ

これで完璧だね!ライカ!

後藤 ライカ

後藤 ライカ

音、聴かせて

立花 侑

!もちろん

こうして私達はバンドを組み始めた

名前はRTAY(リティ)みんなの頭文字から取った

安直かと言われたらそれまでだけど、まあいいかなって

私達も結成して1年

結構いい感じだと思う

後藤 ライカ

ふむ…

椎名 愛

あれ?もう行くの?

後藤 ライカ

うん

ライカはギターの腕前を買われてサポートギターに呼ばれる事が増えた

バンドとしても色んな箱でやる事も増えて、SNSのフォロワーも7000人は超えた

もしかすると本当に武道館、行けると思う

後藤 ライカ

ばいばい

朝日 つぐみ

頑張ってね〜

朝日 つぐみ

……

椎名 愛

……

ライカがスタジオを出るとつぐみは少し寂しそうにした

こんな順調なバンド活動

1つ、問題がある

つぐみとライカの恋愛事情だ

バンド内恋愛は別に禁止してないから好きにすればいいけど…

椎名 愛

(もどかしすぎる…!こいつら…)

立花 侑

寂しいねぇ

朝日 つぐみ

うん…

椎名 愛

(はよ付き合えよ…)

バンドマン

今日はありがとう!

バンドマン

またよろしく!

後藤 ライカ

うん

後藤 ライカ

……

後藤 ライカ

お腹空いた

桐山 小夜

ん?帰ったかい

後藤 ライカ

うん

桐山 小夜

お腹空いたろう

桐山 小夜

先にお風呂入っておいで

桐山 小夜

ご飯は用意しておくから

後藤 ライカ

うん

最近は色んなバンドに呼ばれて楽しい

色んな曲を弾けるの楽しい

でもつぐみに会えないのはつまんない

後藤 ライカ

(つぐみ…今何してるかな…)

後藤 ライカ

(この時間は多分勉強…)

両親は海外に居る

だからおばあちゃんと2人暮らし

家が広いから2人だと少し閑散としている

まあ、部屋にこもったら静かだし

ギター弾いても何も言われないし

良い環境だと思う

後藤 ライカ

(熱い……)

朝日 つぐみ

んー…

紙と睨めっこして数分

今は次のライブについてまとめている

出るライブハウスとやる曲とか、物販に出すグッズとか

コンコンコン

朝日 つぐみ

窓が鳴りカーテンを開けるとそこには彼女が居た

後藤 ライカ

つぐみ

朝日 つぐみ

ら、ライカ!

朝日 つぐみ

ここ2階だよ?!

後藤 ライカ

木、登った

朝日 つぐみ

も…もう…またぁ…?

朝日 つぐみ

怪我するからダメって言ったでしょ〜?!

窓を開けると彼女は中に入ってきた

朝日 つぐみ

どうしたの?

後藤 ライカ

ん、顔見に来た

朝日 つぐみ

何気ない言葉で胸がキュンと高鳴る

朝日 つぐみ

(本当…ずるい…)

後藤 ライカ

何してたの、これ

朝日 つぐみ

あ、ああ

朝日 つぐみ

次のライブ…

後藤 ライカ

ふーん…

後藤 ライカ

真面目

朝日 つぐみ

はは…

朝日 つぐみ

私にはこれぐらいしか出来ないから…

後藤 ライカ

………

ライカは私の隣に座って肩にぽんと頭を乗せた

朝日 つぐみ

ど…どしたの…

後藤 ライカ

眠い

朝日 つぐみ

えぇ…

朝日 つぐみ

(猫みたい…)

身体を少しグイッと押されるとライカは私の膝に寝転がった

後藤 ライカ

ふん

朝日 つぐみ

なーんでドヤ顔なの

後藤 ライカ

嬉しいでしょ

朝日 つぐみ

はぁ?

後藤 ライカ

私の顔見れて嬉しいでしょ

朝日 つぐみ

んなっ…

朝日 つぐみ

(顔が良い…っ…)

正直顔見れて嬉しいし、顔良いし

否定は出来ない

朝日 つぐみ

〜〜…

後藤 ライカ

ふわぁ…

後藤 ライカ

…寝る

朝日 つぐみ

え、ちょ、ここで?

後藤 ライカ

……スー…

朝日 つぐみ

はやっ…

朝日 つぐみ

もう…仕方ないな…

髪を撫でて指の間をサラサラと落ちるのを見つめる

朝日 つぐみ

(そんなに無防備でいてくれるのは…私だけって、思っていいの…?)

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