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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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斎藤

みんな、大丈夫か?

吉崎

俺はなんとか…

工藤

俺も無事。

斎藤

よかった…

斎藤

まさかこんな猛吹雪になるなんて思ってもなかったもんな。

吉崎

山小屋があってくれてありがたかったわ

吉崎

なかったら俺たち、どうなってたことか…

工藤

こんな高い山だもん。山小屋ないわけないだろ。

工藤

それよりさ、このあと、どうする気?

工藤

まさか、ここで一日過ごすとかないよな?

斎藤

うーん、正直言ってわからない

斎藤

外は吹雪だし、やんでもまたいつ降るかわからない。

斎藤

それに、ここは山頂とふもとの丁度中間のあたりだ。

斎藤

雪が止むのを待ってから戻っても、着くのは早くて8時過ぎ。冬だし日が沈むのは早いから、夜の山を下山することになる。

斎藤

山登り初心者の俺たちには危険だ

吉崎

じゃあまさか、ここで一晩過ごすと?

工藤

絶対やだよ。こんな何もないとこでどうやって過ごすんだ。

工藤

明かりもないし、今はなんとか中の様子がわかるからいいけど、暗くなったら絶対何も見えないぜ?

斎藤

でも、夜の山をおりるよりはましだろ。

工藤

俺は反対だ。

工藤

さっさと家に帰りてーよ

吉崎

山登り提案したのは工藤だろ

吉崎

提案者がはやく帰りたいとか言うな

工藤

こんなことになるなんて思ってもなかったんだよ

工藤

なんか文句あるか?

吉崎

お前の態度が悪かったから指摘したんだろ?

吉崎

ああ?そっちだって態度悪いじゃないか。

斎藤

おい!ここで喧嘩はよせ

斎藤

工藤、一晩ここで過ごすのはまだ反対か?

工藤

だって…

斎藤

嫌だと言うのなら、お前だけ帰るってのもありだけど。

工藤

一人だけ?

工藤

お前らはどうするんだよ

吉崎

もちろん、ここにいるさ

吉崎

ここにいた方が絶対安全だからな

工藤

お前ら…

工藤、鼻を鳴らす

工藤

わかったよ。ここにいりゃいいんだろ?

工藤

でも1日だけだぞ

工藤

明日の朝になったらすぐここを出るからな

斎藤

わかったよ。

斎藤

んじゃあ、とりあえず決まりだ。

斎藤

まずはこの山小屋の中を探索しないと

工藤

探索?

工藤

なんのために?

斎藤

明るいうちに中の構造を知っとかないと、

斎藤

暗くなった時に困るだろ

工藤

探索なんかしなくたって構造ぐらいわかるだろ。

工藤

それより俺、お腹空いたんだよ。なんかおやつ食べようぜ

吉崎

おやつ?持ってきたのか?

工藤

ああ。山登りにはやっぱ甘いものは必要だろ?

工藤

ほら、お前らも食えよ

斎藤

ありがとう。美味しく頂くよ

吉崎

俺も。

工藤

ただのビスケットだけどな。

工藤

あっ、ジャム持ってきてるけど、塗る?

吉崎

お前、やるじゃないか

吉崎、ジャムをビスケットに塗る

吉崎

イチゴジャムか?

工藤

あ、ああ。

吉崎

イチゴジャム、俺好きなんだよな。ありがと

工藤

斎藤もどうだ?塗るか?

斎藤

ああ。じゃあ、塗る

斎藤

…うん!美味しい!

吉崎

やっぱイチゴジャムはいいな。もちろん、ビスケットも美味しいけど。

工藤

だろ?だから持ってきたんだよ。

斎藤

ところでさ。

斎藤

ずっと気になってたんだけど、

斎藤

工藤って山登り好きなのか?

工藤

えっ?

工藤

なんだよ、突然

斎藤

いや、

斎藤

工藤に山登りなんて意外だなって思ったから

工藤

山登りは時々するよ

工藤

体力には自信あるし…

斎藤

そうか。

吉崎

俺は、山登りは中学生以来だなぁ

吉崎

3年のとき、富士山登ったんだ

吉崎

その日はたまたま晴天に恵まれて、

吉崎

頂上からの景色は最高だったよ

斎藤

俺は、大学の時登山クラブ入ってたから山登りはよくしたよ

斎藤

だけど、大学やめて就職してからは一度も登ってないな

工藤

俺は、前にも一度、この山に登ったんだ

工藤

だけどその時、大雨が降って、頂上に辿り着けないまま下山。

工藤

その未練があって、また登ったんだ

工藤

だけどまさか、こんなことになるなんて…

吉崎

まあそう落ち込むなよ。

吉崎

きっと雪だって明日の朝になればやんでるさ。

吉崎

そしたら俺たちもまた山登りできる。

工藤

そうだな…そうだよな

吉崎

だからとりあえずは、この山小屋での生活を存分に楽しもうぜ!

斎藤

ああ。そうだな

斎藤

しかし、こんなところにも山小屋があるなんて、遭難とかする人いるのかな?

吉崎

ここって、登山道からだいぶ外れたとこにあったよな

吉崎

普通は見つけられないぜ

吉崎

俺たちは運が良かっんだ

工藤

大雪だけどな

吉崎

まあ、それは…不幸中の幸いってやつだよ

斎藤

あっ…

斎藤

暗くなってきたな

吉崎

本当だ

吉崎

でもまだ4時だぞ?

工藤

山の日の入りは早いんだ

吉崎

そっか…

斎藤

とりあえず、何か特別な用がない限りは絶対に山小屋からでないこと。

斎藤

危険だから

工藤

夜は熊も出るって聞いたことあるぜ

工藤

怖いな。

斎藤

なるべく、3人で固まっていよう。

吉崎

そうだな。

吉崎

ってか、俺、疲れたよ。

吉崎

山登りって体力使うんだな。体がだる重いぜ。

工藤

わかる。吹雪の中、歩いてきたんだ。体力使うよ

吉崎

俺、少し休むわ。眠くなってきたし。

斎藤

俺もそうする

工藤

んじゃあ、俺も

吉崎

二人とも、体冷やさないようにな

工藤

わかってるよ

吉崎

んじゃ、おやすみ

工藤

ああ。おやすみ。

斎藤

おやすみ

しばらくして、二人の寝息が聞こえた

真っ暗な山小屋の中を、一人の影が歩く

??

暗いな

??

足元が見えない

??

躓きそうだ

黒い影は小屋の中をさまよった後、突然、立ち止まった

??

おっと、いたいた

??

探してたんだ

何かが、床に置いてある。

黒い影は、それにそっと触れた。

??

ポケットに…

??

あった!

黒い影は、なにかを握りしめた。

??

ふふっ

??

探してたんだ

??

ずっと…

そして、再び二人の眠るところへと戻った。

??

朝になれば、小屋の中は明るくなる

??

それまでに、全てを終わらせないと。

黒い影は、リュックの中から、銀色にきらめく何かを握りしめた。

そして、一人に近づく。

??

おさらば!

グサッ

赤いしずくが空中を舞った

??

…死んだ?

??

大丈夫だ。死んでる

その時…

斎藤

吉崎…?

斎藤

そこにいるのは…吉崎なのか?

??

あっ?

??

起きたのか?

斎藤

おい、お前、なにやってるんだ

斎藤

なんか、腕が赤い…

斎藤

……えっ?

斎藤

これって…

斎藤

血⁉︎

??

起きちまったか

??

仕方ない。お前も片付けてやる

??

もう少し苦しめてからにしようと思ったけど、

??

そんな時間もなさそうだな。

斎藤

よ、吉崎?お前、本当に吉崎なのか…?

??

そんなことより、お前、覚えてるか?

??

お前の彼女、俺が紹介したよな?

斎藤

え…もしかして、杉谷のことか?

吉崎

あいつと俺、付き合ってたんだよ

斎藤

な、なに?

斎藤

でも、あの人は彼氏はいないって…てか、紹介したのって…

??

嘘ついたんだよ!

??

俺は…俺はあいつと付き合ってた。それなのに…

??

あいつは俺に内緒でお前と付き合ってた。

??

あいにく、お前が俺にそれをバラしちゃったけどな。

??

それで、俺はあいつを責めた

??

そしたらあいつ、なんて言ったと思う?

??

貴方と居ても、楽しくない。彼の方がいいの。

??

ムカついた!

??

あいつが憎くなった!

??

だから、俺は考えた

??

あいつと山登りして、そこであいつを殺そう、と。

??

あいつは山登りが大好きだったんだ。

??

それを知ってた俺は、あいつに、最後に君と二人で山に登りたい。照史には内緒で。

??

あいつは賛成し、

??

二人で山登りをすることにした。

??

登ったのは、

??

この山だ。

??

この山の頂上から見える景色は最高だって、ネットで話題になってたから、

??

あいつはそれをすごく楽しみにしてた。

??

だけど、俺は途中で山小屋に寄った

??

疲れたから、少し休ませてくれって言って。

??

そして、山小屋についた。

??

そう、ここだよ。

??

そして、隙を見て、

??

殺したんだ。

??

ナイフでな

斎藤

そ、そんな…

斎藤

嘘だろ…?

??

お前には、彼女の携帯を使って、しばらくは会えないとの連絡をしたけど、

??

ほんとは死んでたんだよ

??

ここでな。

斎藤

そ、その遺体は?

斎藤

まさか…

??

そこに転がってるぜ。

??

さっき、お前が寝てる隙に、あいつのポケットからGPS発信機を押収した

??

前に、押収し忘れてたんだ

??

危なかったよ

斎藤

お前…お前、もしかして…

??

俺の話はここまでだ。

??

俺が渡したイチゴジャムには睡眠薬が入ってた

??

おかげで二人はぐっすりと眠ってくれてたみたいだが、

??

お前は運悪く起きたみたいだな

??

まあ、どっちにしろ生きては返さないが。

斎藤

どういう意味だ…?

??

これだよ。ナイフさ

??

大好きな彼女とともに死ぬんだ

??

最高だろう?

斎藤

や、やめろ!

斎藤

許してくれ…

斎藤

どうか、殺さないで…

??

さあ、覚悟はしたか

??

あの世で、あいつと共に幸せに暮らすんだな。

??

あばよ

グサッ

斎藤

うっ…

斎藤

グアッ…

斎藤

く、苦しい…

斎藤

く…くど…う…らむ…

斎藤、床にグッタリと倒れた

??

あっさりだったな

??

もう少し苦しめてやっても良かったんだが…

??

まあ、仕方ない

??

これで、全て終わった

??

復讐は、済んだんだ

??

後は、この小屋を燃やして…

??

事故だったってことにする

??

火の始末をしなかった結果、こんなことになってしまったってことにするんだ

??

もともとこの小屋だって、俺が作ったもの。

??

だから、あいつを殺してからの1ヶ月、この小屋を見つけた人はいなかった。

??

こんな場所で迷う人なんていないしな。

??

俺たちぐらいだよ

??

じゃ、マッチつけるか。

暗い小屋に、炎が浮かぶ

??

テキトーに捨てとくか

炎は床に落ちた。そして、あっという間に広がる。

そこは一瞬で炎の海となった

??

さらば。山小屋よ

クックック…

笑い声を響かせながら、黒い影は小屋から出て行った。

最後まで読んでくださり、

ありがとうございました。

3人を殺した本当の犯人が、誰だったのか…

お分かりいただけたでしょうか。

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