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夜の街に、優しい風が吹いていた。 フレンチディナーを終えた私たちは、ゆっくりと車へ戻り―― そして再び、玲王の長い高級車で帰路へとついた。
車内は、ほんのりと甘い香水のような余韻が残っていて。 それはまるで、今日という一日がどれほど特別だったかを、形のない香りで伝えてくるようだった。
玲王の家に寄って凪を降ろすと、最後に残ったのは私一人。
御影玲王
玲王がちらりと私を見つめながら、小さく問いかけた。
〇〇
私が笑顔でそう返すと、玲王の目元が優しくほころぶ。
御影玲王
そう言って、車は私の家の前に静かに止まった。
御影玲王
玲王が微笑むその表情に、私の胸がまたぎゅっとなった。 家の玄関をくぐってからも心臓の高鳴りはなかなか収まらなかった。
──そして、自分の部屋へ戻り、夜はゆっくりと更けていった。
玲王からのLINE通知が光った。 すぐに凪からも、ぽんと短いメッセージが届く。
私はふふっと笑って、布団にくるまりながらスマホを握りしめる。
御影玲王
なぎ
〇〇
少しだけテンションの高いメッセージを送り、画面を見つめる。 そのまま自然な流れで、3人のLINE通話が始まった。
なぎ
通話
10:18:46
凪誠士郎
凪の眠そうな声。
〇〇
御影玲王
玲王の茶化すような声に、私は布団の中で照れながら小さく笑う。 だんだんと、声が遠くなっていく。 凪がぼそっと、「寝そう?」とつぶやいたあと―― その通話から、私の寝息が聞こえはじめた。
御影玲王
玲王が囁くように言った。
凪誠士郎
凪の声も、どこか愛しさを含んだものに変わっていた。 すると、そのときーー
〇〇
小さな寝言が、私のマイク越しに聞こえてきた。
御影玲王
玲王の声が一瞬止まり、思わず笑ってしまいそうになっている。
凪誠士郎
凪の声が、さっきよりずっと優しかった。 私はまだ、夢の中。 自分がどれだけキュンな寝言を漏らしていたかなんて、まったく知らないまま―― ふたりの心を、もっともっと惹きつけていく夜だった。