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何もかもが穏やかに泣かれていく中で、私だけがその流れから外れている気がした。
緑と橙が付き合い始めた_それが、もう"事実"として、当たり前の空気になっていく。
昼休み、緑の笑い声が聞こえた。
隣には橙がいて、二人の間には、もう隠す必要のない距離があった。
私は、遠くからそれを見ていた。
机の上のサンドウィッチには、手をつける気にもなれなかった。
桃 。
目の前の景色がぼやけて見える。
喉の奥がつまって、深く息をするのも辛かった。
ずっとそばにいた。
隣で笑って、くだらない話して、どこへ行くにも一緒で。
私にとって、緑は"特別"でしかなかったのに。
じゃあ、私は?
緑にとって、私は……""誰の、何だったの?""
ただの幼なじみ? 気軽に話せる女友達? いてもいなくても困らない存在?
そんなふうに思われていたのだったら、あまりにむなしい。
橙 。
ふいに声をかけられて、顔を上げた。
そこにいたのは、橙だった。
一瞬、言葉が出てこなかった。
桃 。
橙 。
私たちは屋上へ向かった。
誰よりも知っていたはずの人を、誰よりも遠く感じてる今、
その"誰よりも近づいた人"と、私は向かい会おうとしていた。
そして胸の奥で、ある決意が芽生えていた。
もう、自分の気持ちを誤魔化すのはやめよう。
緑に"選ばれなかった"ことも、ちゃんと受け止めなくちゃ。
この恋の終わりを、"ちゃんと自分の言葉で、認めなくちゃいけない"って。