鬼ごっこ開始から数分後…
ハルは資料室の様な、ダンボールが大量に積まれた部屋に隠れていた。
ハル
(どうしよう…この部屋に隠れたのは良いものの、もうそこまで鬼が来てる…。)
ダイヤ
……隠れていても無駄ですよ。時間が過ぎるだけです…。
ハル
(…!まさか…居場所がバレてる?!……いや、そんなわけない、現に鬼は違う方向を向いてるし…)
ダイヤ
……おや?この部屋、怪しいですね…確かダンボールはこんな配置ではなかったはず。
ダイヤが見ていたのは、ハルが部屋に隠れた際に、ぶつかって移動してしまったダンボールだった。
ハル
!(まずい、ここが見つかるのも時間の問題だわ…。)
ハル
(どうにかしてここから出ないと。)
ハルは低い姿勢でゆっくり動き出した。
ハル
(あっちの出口は鬼がいる…でも、こっちのドアは開いてるし、隣の部屋に逃げ込めるかも…!)
ハルがそんなことを考えていると、ダイヤがもう一つのドアの方に歩き出した。
ダイヤ
…ここのドアも閉めておいたほうが良いですね。
ハル
(嘘…!ドアが閉まったら出られないじゃない…!)
ダイヤは、明るい壁沿いを歩いて行き、ドアを閉めた。そこで、ハルはあることに気が付いた。
ハル
(あの人、明るい所しか歩かない…。あの人が居たフロアも明るかったし、もしかして……)
ハルは近くの電気のON/OFFスイッチに手を伸ばし、電気を消した。
ダイヤ
!電気が…
ハルは目を凝らし、ダイヤの様子を見る。数秒後、突然ダイヤが床にうずくまった。
ダイヤ
っ…!うっ…はぁ、はっ、は…
ダイヤは頭を抱え、浅い呼吸を繰り返す。そんな様子を片目に、ハルは隣の部屋へ移動を始めた。
ハル
(やっぱり、暗闇が弱点なんだわ…。今なら逃げれる!!)
???
……簡単に逃げれると思ったのか?
ハル
え…?
ハル
…うそ………
出口の扉を開けたハルの前に、スペードが立ちはだかった。
スペード
…ダイヤを苦しめたお前が、生きて帰れると思うな。
スペードが10本の剣を出し、瞬きができるかさえ怪しいほどの速さで、ハルに突き刺した。