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人類は地上を捨てた
気候変動
環境汚染
戦争
疫病
あらゆる厄災が地を焼き 焦がし、飲み込んだ
しかし、行き場を無くした人々を 救った都市が突如現れた
救いの名は《ノア・オーレ》
空に浮かぶ機構都市
だか、そこに皆が望んだ 楽園は存在しなかった
《ノア・オーレ》において 感情は"害"と認識されたからだ
怒りは争いを生み
悲しみは作業効率を 低下させ
喜びすらも 人を逸脱へと導く "不安定因子"
全ての市民は 感情制御装置《レギュレイター》 を頭部に埋め込まれ
心を平坦に保ち続けている
笑わず
涙を流さず
誰も愛さず
誰も憎まず
ただ生きる。 それだけ
そんな都市で働く 整備工の青年・カイルは
いつも通りの灰色の作業服に 身を包み
都市の歯車を整備していた
だが、その日、彼は 《異常な個体》に出会う
名は、ルネ
感情制御装置の効きが甘く 喜怒哀楽を見せる少女
そんな彼女は口にした
ルネ
それは都市にとって
危険思想 《レッドコード》
即刻通報すべき発言だった
だが、カイルは そんな彼女の発言を 他人事だとは思えなかった
何かが胸の奥で 軋むように音を立てた
それは、"心"だった
忘れたはずの痛みと熱と 涙と衝撃
都市に焼かれた記憶の底から 再び芽吹き始めた "感情"の炎
この世界ではそれは 異常であり、病であり
そして、《希望》でもあった
感情無き空に生きる者たちの 心を取り戻す
レジスタンス譚が 今、静かに動き出そうとしている
いつの日か 灰色の空が裂け
誰かが本当の青空を 見上げる為に。
『灰空機構ノア・オーレ』 開幕