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時は、軟体暦2036年.......

暗殺事件以降、ユーリ・グリゴリエーヴィチ・ペトロスカという偽名で、死を偽装して生きていたBLACKBIRDは突如として、全世界に自らの生存を公表した。

BLACKBIRD

私がBLACKBIRD、私がトヴァーリンだ!

それと同時にまた、アレクサンドル・ウラジーミロヴィチ・トヴァーリンというかつての名を名のり、メタル・プレデターの統括本部長として、再び表舞台に舞い戻る。

これが幸福の知らせだったのか、恐怖の時代の序章であったかは、おびただしい流血とともに、後日、知ることとなる.........

BLACKBIRD

........ヴォルコフ。

アレクセイ・ヴォルコフ

はっ!お呼びでしょうか、ボス!

BLACKBIRD

時は満ちた.......今こそ世界を”作り変える”時だ........

アレクセイ・ヴォルコフ

ついにこの日がやってまいりましたか......ボス!”例の件”、すぐさま実行に移します!

BLACKBIRD

...........

BLACKBIRD

ついに、すべてを手に入れる時が来た.........

BLACKBIRD

.......Мир у меня в руках!

時を遡ること数か月前.......

ズカフェノフスキー

何?本当か?

レムノフスキー

ああ........信じたくはないが.......そういう”噂”が広まってる。

ズカフェノフスキー

く.......だが、たかが”噂”だぞ.......あまり本気にしては軍の信用に関わる.......

レムノフスキー

だが、このまま野放しにしておいても、軍の信用に関わる.......

ズカフェノフスキー

し.......しかし、本当に謀反を企てている者がいるのか?

レムノフスキー

.........ズカフェ、同郷のよしみだ......そん時は、俺が責任を取る.......

ズカフェノフスキー

馬鹿を言うな!お前は全軍の総参謀......そのお前が失脚したら、どうしろというんだ!

レムノフスキー

大元帥たるお前が失脚する方が大問題だろうが.........

ズカフェノフスキー

!!

レムノフスキー

お前は先代から、名誉ある後釜を与えられたんだ......その御恩を死ぬまできっちり返さなきゃならねえ.......

ズカフェノフスキー

........解った。

レムノフスキー

安心しろ......お前の顔に泥など塗らせやしねえ.......

ズカフェノフスキー

.......そうならなければよいのだが........

軟体暦2035年の末......世界統一防衛軍第6代大元帥ピョートル・ガルメニョーノヴィチ・ズカフェノフスキーの名のもとに、一つの伝令が出される........

ズカフェノフスキー

......伝令!旧トヴァーリン派の一派、該当するものを左遷する!

”噂”とは、トヴァーリンは実は生きていて、旧知の仲間に呼びかけ謀反を企てている、というものであった.......

そこで、ズカフェノフスキーは、以下のものを左遷した.......

陸上軍総司令官、ガイレス・ジョセフ・テイラー・パットン元帥、 装甲擲弾兵部隊総隊長、フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・エルネスハイム上級大将、 海軍司令長官、ニコライ・ペトロヴィッチ・プラトノフ元帥、 航空軍総指揮官、グエン・ティロップ・ゲー元帥........

さらには、第88独立空戦隊は”危険分子”として解散処分となり、隊長のニコライ・アレクサンドロヴィチ・メキサノフ元帥、副隊長のグエン・バン・フェロー大将は左遷された........ 上記のいずれも、かつてトヴァーリン時代に信頼の厚かった部下たちであった........

当然、隊員らは断固反対した。

隊員A

ふざけるな!

隊員B

忌々しい”ズカーフ”は、組織の中まで食い荒らすつもりか!

隊員C

クソったれ、”ズカール”はとっとと隠居でもしてやがれ!

当然のことながら、ズカフェノフスキーはこうした運動を厳しく取り締まり、反対するものは営倉にぶち込んだ。

だが事態は収束せず........

第88独立空戦隊隊員

頭がイカれてんのか?ああ?ヤバい”オクスリ”でもやったか?ええ?

第88独立空戦隊隊員B

このファッキン野郎!88を解散させるなんて許さん!隊長とフェローを返せ!

第88独立空戦隊のエースパイロット

航空軍を支えてきたのは、ほかでもねえ俺たちだ!どういうつもりか知らんが、隊長は返してもらおう!

第88独立空戦隊のメンバーも激怒した。さらには、ほかの隊員にも飛び火し、ついに怒りは爆発した........

ズカフェノフスキー

く......どうしたらいい、レムノフ......

レムノフスキー

仕方ない..........黙らせるしか。

ズカフェノフスキー

くう.......止むを得ない.......か。

ズカフェノフスキーは、全員を収容所へぶち込み、厳しい罰則を与え、再教育を施した.......

ズカフェノフスキー

畜生、これじゃあ、独裁者のやっていることと変わりないではないか........

レムノフスキー

ぐ......やはり間違っていたか?

これが引き金となり、徐々にズカフェノフスキーへの信頼は失われていく......

そんな中、BLACKBIRDが生きているという噂が広まる........

隊員らは、ズカフェノフスキーを見放し、伝説の英雄を祀り上げようと考えるようになった........

だが、これはBLACKBIRDが仕組んだ、巧妙な情報操作に過ぎなかった......

そしてある日........

レムノフスキー

た.....大変だ!

ズカフェノフスキー

どうした!?

レムノフスキー

い.......今、BLACKBIRDが声明を発表した......

ズカフェノフスキー

何?!BLACKBIRDは死んだはず.......

レムノフスキー

どうも生きていたようだ.........

ズカフェノフスキー

バカな!それで、奴は何と言ってる?

レムノフスキー

........世界統一防衛軍に、宣戦布告をすると........

ズカフェノフスキー

何だと!まずいことになった.......

ズカフェノフスキー

レムノフ!

レムノフスキー

おう!

ズカフェノフスキー

至急、ビデオ会談の準備だ!急げ!

レムノフスキー

サー・イエッサー!

BLACKBIRD

久しぶりだな.......ズカフェノフスキー。

ズカフェノフスキー

トヴァーリン閣下.....お久しぶりですが......いったいどうされたのですか?!

BLACKBIRD

何、今の世界に飽き飽きしただけだ.......

ズカフェノフスキー

な、なんですと!?

BLACKBIRD

人民を幸せにできるのは、俺だけ.......

BLACKBIRD

そして、世界を正しい方向へ導けるのも俺だけだ.......

ズカフェノフスキー

閣下、どうかお考え直しください!きっと、何かの間違いです!

BLACKBIRD

いいや、今や世界は無秩序で溢れている.......世界を一つにするには、新しい秩序が必要だ......

BLACKBIRD

そして、そのためには、お前たちは邪魔だ.......消えてもらおう。

ズカフェノフスキー

そう来られるなら、残念ですが、こちらも強硬手段に訴えるほかありません........

BLACKBIRD

ほう、その”強硬手段”とは?

ズカフェノフスキー

”核”を使います......使えばセントラル・ベースは灰になりますよ......

BLACKBIRD

ほう、忠告どうも。そりゃあ気を付けないといかんな。

ズカフェノフスキー

なぜそこまで正気でいられるのですか......?

BLACKBIRD

フン......たかが爆弾一つ恐れる俺ではあるまい......

BLACKBIRD

そんなことより.....”これ”が見えるか......?

ズカフェノフスキー

!!

BLACKBIRD

どうだ、驚いたか?

ズカフェノフスキー

か.....閣下!これはもしや、”あれ”では.....?

BLACKBIRD

そうだ、”あれ”だ。そちらが核を使うのならば、こちらも”こいつ”を使わせてもらう......

ズカフェノフスキー

これは、核規制条約で製造が禁じられているはず......

ズカフェノフスキー

それに、こんなものを使えば、セントラル・ドミニオンどころか、世界そのものが滅びますよ!?

BLACKBIRD

........俺の思い通りにならない世界など、滅びてしまえばよい.......

ズカフェノフスキー

そ.....そんな.......

BLACKBIRD

まあ、あくまで最終手段だ.......せいぜいあがくがいい.......さらばだ。

ズカフェノフスキー

閣下ァッ!

通信終了.......

ズカフェノフスキー

くそ......どうしたらいい。

レムノフスキー

どうした!?

ズカフェノフスキー

これを見ろ........

レムノフスキー

こ.....これは!

ズカフェノフスキー

閣下は、”これ”を使われるおつもりだ........

レムノフスキー

く......とにかく、対メタル・プレデターとの戦闘に備えねば.......

ズカフェノフスキー

ああ.........

かくして、世界統一防衛軍対メタル・プレデターの戦争が始まった.......

しかし、もはや世界統一防衛軍は、その機能を完全にマヒさせていた......

陸上軍では、パットン元帥が敵側で参戦すると見るや、陸上軍は半数以上の隊員が寝返った。

パットン

全員進軍せよ!

隊員A

パットン元帥!私もお供します!

隊員B

私も!

パットン

腐りきった体制を打ち壊すのだ!

さらには、装甲擲弾兵部隊の元隊員が、エルネスハイム上級大将の側に寝返って、キャリア組の上官を叩き殺し始めた。

エルネスハイム

キャリア組なんてぶっ殺せ!

エルネスハイム

勝利はわれらの手に!

陸上軍は全滅......この戦いは、後に”生血臭の原始戦争”と比喩された......

海軍では、プラトノフ元帥が、メタル・プレデター軍の戦艦ノース・スターに搭乗して参戦。

一方、世界統一防衛軍の多くの隊員たちは、プラトノフを敬愛する者たちだった.......

結果、艦橋でキャリア組と古参兵との乱戦が始まった。

銃撃戦にまで発展し、多数の死傷者がでた.......

ある者は、生きながらにして四肢を切断され、ある者は、海に放り込まれ、またある者は、接舷する艦と艦の間に挟まれ、上半身と下半身を、不幸にも切り離されてしまった........

プラトノフ

砲撃がない海戦とは、奇妙なものだな........

結果、メタル・プレデター、海軍の双方とも、無砲撃で決着......メタル・プレデターの勝利に終わった.......

この戦いに名前を付けるとするならば、さしずめ、”無砲撃の流血”といったところであろう......

その後、世界統一防衛軍は後退を重ね、最後には裏切りによって、白旗を挙げて降伏した........

BLACKBIRD

今ここに、アレクサンドル・ウラジーミロヴィチ・トヴァーリンは、世界統一防衛軍第6代大元帥に就任する!

BLACKBIRD

Ура!

一同

Урааааааааааааааааааа!

BLACKBIRDは、世界統一防衛軍の大元帥に再び舞い戻る。

第5代大元帥だったズカフェノフスキーは追放され、レムノフスキーは指名手配犯に........

BLACKBIRD

以下の者を、所定の役職に任命する。

BLACKBIRD

陸上軍総司令官、ガイレス・ジョセフ・テイラー・パットン!

パットン

Sir,Yes Sir!

BLACKBIRD

海軍司令長官、ニコライ・ペトロヴィッチ・プラトノフ!

プラトノフ

Да! Чёрная Удодка!

BLACKBIRD

陸上軍装甲擲弾兵部隊総隊長、フリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・エルネスハイム!

エルネスハイム

Heil, mein Zar!

BLACKBIRD

航空軍総指揮官、グエン・ティロップ・ゲー!

ゲー

Xin hãy giao phó cho tôi, thưa bệ hạ!

BLACKBIRD

第88独立空戦隊隊長、ニコライ・アレクサンドロヴィチ・メキサノフ!

メキサノフ

Получил указ, наш царю!

BLACKBIRD

副隊長、グエン・バン・フェロー!

フェロー

Dù có lửa hay nước! Tôi sẽ chấp nhận tất cả!

BLACKBIRD

陸上軍総参謀長、アルバート・ジェームズ・ロック!

ロック

........Hoorah!

BLACKBIRD

第52特殊航空群指揮官兼総参謀統括、ジョン・”ローレルス”・スミス!

スミス

Hoorah!W.U.D.F!

BLACKBIRD

以上!世界統一防衛軍、再始動!

一同

Урааааааааааааааааааа!

一同

Урааааааааааааааааааа!

一同

Урааааааааааааааааааа!

BLACKBIRD

Урааааааааааааааааааа!

ここに、第6代大元帥の時代が始まる........

BLACKBIRD

さあ、世界を一つにしよう.......

BLACKBIRDは翌日、全世界に派兵を行い、テロ組織、紛争地域の民兵などを鎮圧し、世界を平定。

世界は安寧を取り戻し、平和の年とされたが、その裏で、罪なき日々も見境なく殺していたことは、誰一人として知らない.......

だが、これを察知していた世界統治機構は制裁を行うも、安全保障不可侵条約を破った世界統一防衛軍によって、瓦解に追い込まれる。

その後、BLACKBIRDは皇帝に即位し、専制君主制のトヴァーリン王朝が成立する........

その日から、世界は変わった......

秘密警察СКМ——世界統一防衛軍監察下国家秩序安全維持内務保安委員会秘密警察課。

BLACKBIRDは人々を徹底的に統制した......

反乱の兆候は、即座に粛清される。 誰が、どこで、どんな言葉を口にしたか。 隣人であろうが、恋人であろうが、疑われた者は戻ってこない。 そして翌朝、彼らの住んでいた家の壁に、赤く大きくこう記されるのだ。 「国家反逆罪」

СКМ隊員

お前の姉は、アナーキストだった.......連座制だ。わかるな?

市民

い.......嫌だ。そんなわけ.....ない.......噓だ!姉さんは......

ダーン(銃声)

真っ黒く淀んだ空に、狂ったような断末魔が響き渡る。

だが、誰一人として立ち止まったり、声を上げることはなかった......

なぜなら、言うまでもなく、それは彼らにとって”日常”の一部となってしまったのだ.......

しかし、革命の灯火は、静かに、だが確かに、ともりつつあった.......

後に、”七人の偉人達とその一行”と呼ばれる者たちである........

恐怖の時代は始まってしまった.....だがそれがどんな形で幕を閉じるか......それはほかでもない、この偉人達にかかっている........

テーマ曲:The Guns of Brixton(The Clash) https://www.youtube.com/watch?v=G-n3YlWwhRU&list=RDG-n3YlWwhRU&start_radio=1

ЧЁРНАЯ УДОДКА(チョールナヤ・ウドードカ)

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