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グク
ホソク
そう聞くと頷いたジョングクが髪の毛を整える為か、頭を軽く振ってベッドから軽々と起き上がった。
グク
グク
困った顔でも笑顔でもないジョングクが淡々と説明した。 "直接話す"というのは、きっとジョングクのファンに対してで、話す内容はあの記事についての事だろう。
ジョングクはしんどくないのだろうか。 俺がいる事でこんな騒ぎになって。 不毛な片想いなんかして。
徐にその広い背中に手を添える。 ジョングクが振り向いたせいで、俺の手が宙ぶらりんになったけれど直ぐに捕まって。
グク
そう言って笑うから咄嗟に枕を投げ付けた。 でもあっさり避けられて虚しくガラス窓にぶつかって落ちた。
俺の心配を他所にジョングクが子供みたいにキャハハと笑っていて投げた枕も無駄じゃなかったと思えた。
何時間くらいやるのか聞けば良かった。
そう思っても後の祭り。 既にジョングクはライブ配信を始めていて、俺は自室のドアを開けて時々それに耳を傾けている。 急に歌い出したり、楽しそうに笑ったりしてる声が時々聞こえてくる。
とりあえず飲み物だけは部屋に持って来たけど、合わせてリビングに置き去りのゲーム機も持ってくれば良かったなって。
でももうそれも不可能なので、仕方なくベッドの上で特に目的もなく携帯を触る。 バッグはこないだ買ったから今度はアクセサリーでも見ようと。
グク
目を惹くようなアクセサリーが無くて退屈で、うつらうつらし始めた矢先だった。 本題に入る前の前置きらしき言葉が聞こえて、思わず起き上がる。
さっきまで仕方なしに触っていた携帯の存在なんか忘れて、壁の向こうのその向こう辺りにあるリビングの方向を見つめる。
グク
グク
立ち上がってそっと部屋から顔を覗かせる。 リビングからは見えない位置だけれど、リビングのジョングクは見える。
丁度頭をくしゃくしゃと書いて溜息を吐いたジョングクの横顔が見えた。
困った様に笑ったジョングクが一瞬俺の方を見た。 本当にほんの一瞬だけ。
グク
グク
ニッと白い歯を見せて笑うジョングクがカメラに向き直る。
グク
グク
"家族" ジョングクのその言葉に俺だけが嬉しくなって切なくなって、自然と唇を噛み締めてしまった。
俺にとってもジョングクは家族だ。 でも、それだけじゃないジョングクがその言葉を言わなければならない状況が苦しい。
俺がジョングクの気持ちに応えられたら済む事なのだけれど、大切だと思うのにジョングクと同じ"好き"が俺の中に見当たらない。 会いたくて触って欲しくて、溶けるような目で見て、優しくて狡い言葉をくれるジミンの事を思う"好き"が。
グク
グク
グク
そう冗談っぽく言ってハッと鼻で笑ったジョングクだったけれど、見ていられなくて部屋に入ってドアを静かに閉めた。 本当に、俺何してんだろう。
"お前みたいな男、誰も本気になるわけないからな"
静かになった部屋で店長の言葉が蘇る。
本当、その通りで。 あっちこっちフラフラと。 なんでジョングクはこんな俺の事を好きなんだろう。
いや、それは俺も同じだ。 "一番"気に入ってるなんて下劣な事を綺麗な笑顔で言うジミンの事を好きでいるなんて、一般的に見たら"なんで?"と思われる事だ。
人を好きになる事って理屈じゃないんだ、本当に。
起きていてもぼんやりとして、ただドレッサーの前の椅子に座ってると部屋のドアがゆっくり開いた。
グク
ジョングクがここに来たという事は、ライブ配信とやらが終わったという事だ
ホソク
グク
グク
グク
ホソク
それからこんな会話をしてお互い小さく笑う。 当たり前の日常が苦しい。
俺が軟禁生活から解放されたのはこのライブ配信から、更に3日後の事だ。
ジョングクの話しによると、結局ライブ配信で勝手に話をした事を事務所から少し強めに怒られたらしい。 "写真が手回ってる訳じゃないから放っておけ"と言われたのにわざわざ自分の口から話したから、だと。
ホソク
グク
そういう問題じゃないと思うんだけど。 と思うだけで、優しいから口にはしないであげた。
少なくともジョングクのその馬鹿な尽力のおかげで、俺は今日外に出る予定が入れられたのだから。
グク
わざわざ。 分かってるくせに。 言い難い事を聞くジョングクの顔が悪戯をする時のそれで。
ホソク
グク
ホソク
グク
そう言ったジョングクは唇を少し窄めて軽く何度か頷いてたくらいで。 自惚れ過ぎていた、泊まりに行かないって言ったらジョングクがちょっと喜ぶかもって。 自意識過剰ーーー
ホソク
でもなかった。
俺の事を後ろから羽交締めにして、頭やら頬やら肩やらそこかしこに、ちゅっちゅっと音を立ててキスして。 仕舞いには顎を思い切り掴んで、自分の方に振り向かせて唇にまで。
ホソク
手で肩を強めに叩く。 舌が押し込まれて軽く口内を侵食された後で、やっと離れたジョングクの艶っぽい唇。
グク
その唇が俺を甘やかす言葉を吐いた。
ジョングクの為に帰って来るわけじゃないのに。 きっとジョングクは俺の身体にジミンの噛み痕があっても、それを上書きして塗り潰すかのように、俺を抱くだろうと思った。
自意識過剰なんかじゃない。 だって俺ならジョングクと同じ事をすると思ったから。