なみだのおと

星（ひかり）ちゃんは前の席のお友達。 そして唯一の友達。

明るくて可愛くて優しくて⋯⋯。 口下手な私とも仲良くしてくれる。

恋愛はよく分からない。 でも少し羨ましいとは思う。

きっとすごく楽しくて幸せなんだろう。 でも、私は⋯⋯。

そう言えば、お兄ちゃんは最近、 友達をよく家に連れてきているな。

いいな⋯⋯。 同じ顔なのにお兄ちゃんは社交的で。

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だれもいないみたい。 おかしいな、電気ついてるのに。

警戒しながら覗くと、 居間のソファにくつろぐ頭が見えた。

お兄ちゃん帰ってるじゃん。

お兄ちゃんじゃない！

兄の鳴（なる）が彼を小突く。

どうしよう。 鳴の持ってきたゲームは好きだけど。

小さい頃から知らない人は苦手。 男の人は特に、怖い。

でもどう断れば⋯⋯。

ひらひらと手の平を振られる。 私は小さく会釈をした。

悪い人じゃなさそう⋯⋯。