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秘密のペット、エサは人間です。

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秘密のペット、エサは人間です。

1 - 秘密のペット、エサは人間です。 第1話

♥

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2019年12月07日

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~下校中~

カイト

おーいユラ!

ユラ

…カイト

カイト

良かった、まだいた

カイト

悪ぃ、待っててもらっちゃって

カイト

俺が毎日一緒に帰ろうって言ったのに

ユラ

ユラ

仕方ないよ

ユラ

カイト、女子に呼び出されてたし

ユラ

…また告白?

カイト

うーん、まぁそんなとこ

カイト

付き合ってほしいって言われた

ユラ

そうなんだ…

ユラ

その子と付き合うの?

カイト

どうかなー

ユラ

もしかして私が邪魔になったりしてない?

ユラ

無理に一緒に帰ってもらわなくても

ユラ

私はひとりでも帰れるよ

カイト

でも、放っておけないだろ

ユラ

(…1ヵ月前、学校からの帰り)

ユラ

(クラスメイトのカイトに泣いてるところ見られて)

ユラ

(それからカイトは、私と帰ってくれるようになった)

ユラ

(同情だよね)

ユラ

(カイトは優しくて人気者だし)

ユラ

…ごめんね

ユラ

私、クラスで浮いてるし

ユラ

一緒にいるところ見られたら

ユラ

カイトまで孤立するかも

カイト

気にすんなって

カイト

今日もユラの家の前まで一緒に行くよ

カイト

お前の家、豪邸だから

カイト

毎日見るのが趣味になってんだよ

ユラ

ふふ、何それ

ユラ

(ひとりで帰れるって言ったけど)

ユラ

(そんなの嘘だ)

ユラ

(私はカイトがそばにいてくれるようになって)

ユラ

(初めて笑えるようになった)

ユラ

(カイトがいなきゃ、私に生きる意味なんてない)

カイト

すっかり暗くなっちゃったな

ユラ

そうだね

カイト

もう秋だなー

カイト

つい最近まで暑かったのに

カイト

ユラは夏休み、何してたんだ?

ユラ

私?

カイト

ユラってあんな豪邸住んでるんだし

カイト

お嬢様なんだろ?

カイト

やっぱ海外旅行とか行ったりしてたのかなって

ユラ

私は…

ユラ

ずっと家にいたよ

カイト

あれ、そうなんだ

ユラ

カイトは?

カイト

俺はバイトばっかしてたな

カイト

ユラには関係ない悩みかもしれないけど

カイト

高校生って金ないんだよ

カイト

そういえばそれで思い出したけど

カイト

いっこ超あやしい感じのバイトやったな

ユラ

超あやしい…?

カイト

そうそう

カイト

なんか薬飲むやつ

ユラ

ああ、治験のバイト

ユラ

聞いたことある

カイト

病院に行って1週間くらい毎日飲んだんだけど

カイト

なんの薬か分かんねーまま終わった

カイト

お金は良かったけど

カイト

俺変な実験に巻き込まれたのかもな

ユラ

体はなんともないの?

カイト

今のところなんの問題もなし

カイト

むしろちょっと体が丈夫になった気がする

カイト

この前指切っちゃったんだけど

カイト

そっこー傷ふさがったし

ユラ

それならいい薬だったのかな

カイト

だといいけど

カイト

それにしても

カイト

この辺ほんと暗いよな

カイト

やっぱ女子ひとりで歩くのは危ないって

ユラ

…うん

ユラ

いつもありがとう

カイト

カイト

ユラさ、この前泣いてたのって

カイト

学校で孤立してるのが理由じゃないよな

ユラ

え?

カイト

最初は孤立が理由かと思ってたけど

カイト

毎日一緒に帰ってて

カイト

気付いたんだよ

カイト

家が近づくとどんどん顔が暗くなる

カイト

お前、家に帰るのが嫌なんじゃないか…?

ユラ

ユラ

(カイトになら話してもいいかもしれない)

ユラ

(私の家の秘密…)

ユラ

あのね、カイト

カイト

危ない!

ユラ

え?

ユラ

(車が…ぶつかる!!)

目の前に、猛烈なスピードを出す車が迫ってきていた。 カイトが、とっさにユラを突き飛ばす。

キキィーッッッ!!

ユラ

…う

ユラ

(車が私たちに気付かないで)

ユラ

(私轢かれそうに…)

ユラ

(でも、カイトに押されて)

ユラ

カイト!?

カイト

…………

道路に横たわるカイトは、足がおかしな方向に折れ曲がり…

頭が半分つぶれ、周囲に脳が飛び散っている。

即死なのは明らかだった。

ユラ

うそ…うそでしょカイト

運転手

お前らが道の真ん中にいたんだ!

運転手

お、俺は悪くないぞ…!

運転手

くそ、あっさり死にやがって

運転手

誰にも見られてねぇな…

ユラ

救急車呼んでください!

運転手

知るかよ!

運転手

もう手遅れだ!

ユラ

ちょっと、どこ行く気なの…!?

ユラ

逃げる気!?

運転手

うるせぇ!

運転手

警察にチクリやがったらお前もぶっ殺すぞ!

突然、カイトがゆらりと立ち上がった。

カイト

…………

運転手

え?あれ?

ユラ

カイト!?

ユラ

生きてたの…!?

ユラ

(そんなはずない)

ユラ

(どう見ても死んでる)

ユラ

(どうして動いてるの…!?)

カイト

う…うぅう

運転手

な、なんだよこいつ

運転手

化け物か…!?

カイト

ううぅ…ぐぉおお!

カイトは、運転手へと襲い掛かった。 何が起こっているのか分からない男は、されるがままに押し倒され、カイトに食らいつかれる。

運転手

ひぃい!何する!やめろ!

運転手

やめてくれぇ!

カイトは容赦なく男の皮膚に歯を突き立て、内臓を引きずり出した。

運転手

あ、あぁ、俺の腹が

運転手

ぎゃあああぁ!

引きずり出した腸を、カイトは口に運ぶ。 ぐちゃ、ぐちゃと咀嚼音が響く。

運転手

たす、助け

運転手

…………

男の内臓を食べ終えたカイトは、片方だけ残った目玉をユラの方へ向け、 のそのそと近づいてきた。

カイト

ううぅ…

ユラ

ユラ

こ、来ないで

カイト

うぅ…

ユラ

(私のことは、襲わない…?)

ユラ

カイト、私が分かるの…?

カイト

う、うぅ…

ユラ

(やっぱりそうだ)

ユラ

(見た目は化け物になったけど)

ユラ

(ちゃんとカイトの意思は残ってるんだ…!)

ユラ

(私にはカイトがいなきゃ)

ユラ

(生きる意味なんてない)

ユラ

カイト、一緒に来て

ユラ

私の家でかくまうから

カイト

うぅ…

ユラ

そう、こっちよ

ユラ

ついてきて

カイト

うぅぅ…

ユラ

(無事に家に帰ってきたけど)

ユラ

(さっきのことが現実とは思えない…)

ユラ

(カイトが化け物になるなんて…)

ユラの父

おい、帰宅が遅いぞ

ユラ

ユラ

お父さん…もう帰ってきてたの…

ユラの父

なんだその顔は

ユラの父

情けで置いてやってるのに

ユラの父

親を敬う気もないのか!?

ユラ

ごめんなさい、ごめんなさい…!

ユラ

すぐに夕食を作ります…!

ユラの父

もういい

ユラの父

お前の顔を見るのも不快だ

ユラの父

庭に出てろ!

ユラ

…分かりました

ユラの父

クズが!

バシン!

ユラ

痛い!

ユラ

分かったから、殴らないで…!

ユラ

今日も追い出されちゃった…

ユラ

カイトもごめんね

ユラ

檻の中に閉じ込めちゃって

ユラ

(昔飼ってたドーベルマンの檻に)

ユラ

(カイトを入れることになるなんて)

カイト

う…うぅ…

ユラ

うちの敷地は広いし

ユラ

お父さんは庭に出てこないから

ユラ

ここなら見つからないと思って

カイト

ううぅ…

ユラ

ああ、この顔のアザ?

ユラ

さっき殴られたの

ユラ

カイトは私がお嬢様だって

ユラ

羨ましがってたけど

ユラ

資産家だったお母さんが自殺して

ユラ

それからお父さんは私に乱暴するようになった

ユラ

私のことはもういらないんだよ

カイト

うぅ…

ユラ

家に帰りたくなかったのは

ユラ

それが理由だったんだ

ユラ

でもこの広い家なら

ユラ

私とお父さんしか住んでないから

ユラ

カイトのこと守ってあげられる

カイト

うぅぅ…

ユラ

化け物でもいい

ユラ

私にとってカイトが生きる意味だったの

ユラ

だからこれからも一緒にいて

ユラ

私が守ってあげるからね、カイト

秘密のペット、エサは人間です。

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コメント

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ユーザー

はい!どうぞ!カイト!その親父を噛んでいいんちゃう?

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