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春の終わり、少しずつ制服の袖が軽くなる季節。
放課後の教室に、ほんのり西日が差し込んでいた。
藤宮美羽(フジミヤミウ
そう言って私の机に顔を寄せてくるのは、藤宮美羽ちゃん。
明るくて、クラスの中心にいるような子。
私は、というと…人と話すのがちょっと苦手で、
あまり目立たないタイプ。
笹原小花(ササハラコハナ
笹原小花(ササハラコハナ
藤宮美羽(フジミヤミウ
笹原小花(ササハラコハナ
心臓が、小さく跳ねた。
美羽ちゃんのその一言で、頭の中に“彼”の顔が浮かぶ。
──相川優希くん。
冷静で優しくて、みんなに頼られていて、
でもなんだか距離のあるような人。
藤宮美羽(フジミヤミウ
笹原小花(ササハラコハナ
藤宮美羽(フジミヤミウ
美羽ちゃんはイタズラっぽく笑って、教室を出ていった。
残された私は、ほっとしながらも、胸の奥がざわざわしていた。
気になってる…?優希くんのこと…?
そうなのかもしれない。
話すとき、嬉しくて。
でも、緊張して上手く言葉が出なくなる。
それでも、声が聞きたくて。
そばにいたくて。
笹原小花(ササハラコハナ
鞄を手に取り、私はそっと教室を出た。
図書室に入ると、すでに優希くんが来ていた。
相川優希(アイカワユウキ
笹原小花(ササハラコハナ
相川優希(アイカワユウキ
笹原小花(ササハラコハナ
心臓が、どくんと高鳴る。
優希くんは、静かに本棚を整理しながら、
私に時々話しかけてくれた。
相川優希(アイカワユウキ
相川優希(アイカワユウキ
笹原小花(ササハラコハナ
褒められて、顔が熱くなる。
でも、それと同時にちょっとだけ嬉しい。
たぶん私は…この人のことが、気になってる。
でも、それが「恋」なのかはまだ、よくわからない。
優希くんの横顔をそっと見つめていた。