テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
だいふく
扉がノックされたのは、昼下がりの組事務所
空気がどこか緊張に染まっていた
蓮はソファに座ったまま、目を細めて立ち上がる気配も見せなかった
蓮
応接室のドアが静かに開き、先に黒スーツの男たちが2人入ってくる
その背後から、白Tシャツに黒のスラックス姿の男が、まるでその場に溶けるような自然さで現れた
香月
男――香月(こうづき)は、どこか柔らかな微笑を浮かべたまま、蓮の前へと歩み寄る
見た目は軽やか。けれど、一歩ごとに場の空気が引き締まっていくのが分かった
蓮
蓮の声は低く、冷たかった
目だけが、過去を焼きつけたように鋭く香月を見据えていた
香月
香月は冗談めかして笑う。だがその目の奥には、計算された理知と、底知れない支配欲が宿っていた
蓮
香月
香月は片手をポケットに突っ込み、もう片手でソファの背を軽く叩いた
香月
静寂
その瞬間、零斗と龍牙の目が動いた
朔矢はソファの背にもたれたまま、眉をひとつぴくりと上げる
蓮の口元だけが、ぴくりと歪んだ
蓮
香月
香月
香月の声はあくまで穏やか
だが、その裏にあるものは、蓮を含めた全員が感じ取っていた
この男は、“欲しいもの”には手段を選ばない
蓮
蓮の声は一段と低くなる
誰よりも冷静なはずの蓮が、ここまで露骨に敵意を見せる相手――
その異様さに、部屋の空気が静かに軋んだ
香月は肩をすくめ、くすりと笑う
香月
香月
そして――
そのまま背を向け、香月は去っていった
部屋の温度が、彼とともに下がっていくような感覚すらあった
扉が閉まったあと、零斗が低くぼやいた
零斗
龍牙が煙草に火をつけながら言う
龍牙
朔矢は、ふっと口元だけで笑う
朔矢
蓮は沈黙を貫いたまま、拳をぎゅっと握りしめていた
その指先が白くなるほど、力が入っていた
そして――
別室にいた麗央は、その名前を初めて聞いた
麗央
どこか、背筋が寒くなるような音の響きだった
だいふく
香月
コメント
7件
めっちゃおくれました めっちゃ強そうなキャラでてきた
続きが気になる
身長高い…それに、 手段を選ばないって… かっこいい…。(少し怖いけど…)