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コメント
9件
好きだす
めっちゃおくれました めっちゃ強そうなキャラでてきた
続きが気になる
だいふく
扉がノックされたのは、昼下がりの組事務所
空気がどこか緊張に染まっていた
蓮はソファに座ったまま、目を細めて立ち上がる気配も見せなかった
蓮
応接室のドアが静かに開き、先に黒スーツの男たちが2人入ってくる
その背後から、白Tシャツに黒のスラックス姿の男が、まるでその場に溶けるような自然さで現れた
香月
男――香月(こうづき)は、どこか柔らかな微笑を浮かべたまま、蓮の前へと歩み寄る
見た目は軽やか。けれど、一歩ごとに場の空気が引き締まっていくのが分かった
蓮
蓮の声は低く、冷たかった
目だけが、過去を焼きつけたように鋭く香月を見据えていた
香月
香月は冗談めかして笑う。だがその目の奥には、計算された理知と、底知れない支配欲が宿っていた
蓮
香月
香月は片手をポケットに突っ込み、もう片手でソファの背を軽く叩いた
香月
静寂
その瞬間、零斗と龍牙の目が動いた
朔矢はソファの背にもたれたまま、眉をひとつぴくりと上げる
蓮の口元だけが、ぴくりと歪んだ
蓮
香月
香月
香月の声はあくまで穏やか
だが、その裏にあるものは、蓮を含めた全員が感じ取っていた
この男は、“欲しいもの”には手段を選ばない
蓮
蓮の声は一段と低くなる
誰よりも冷静なはずの蓮が、ここまで露骨に敵意を見せる相手――
その異様さに、部屋の空気が静かに軋んだ
香月は肩をすくめ、くすりと笑う
香月
香月
そして――
そのまま背を向け、香月は去っていった
部屋の温度が、彼とともに下がっていくような感覚すらあった
扉が閉まったあと、零斗が低くぼやいた
零斗
龍牙が煙草に火をつけながら言う
龍牙
朔矢は、ふっと口元だけで笑う
朔矢
蓮は沈黙を貫いたまま、拳をぎゅっと握りしめていた
その指先が白くなるほど、力が入っていた
そして――
別室にいた麗央は、その名前を初めて聞いた
麗央
どこか、背筋が寒くなるような音の響きだった
だいふく
香月