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【第三話】涙が乾く夜に
いるまくんに続いて、みことくんまでいなくなってしまった。シクフォニのメンバー二人が立て続けに消えた衝撃は、残された俺(僕)たちの精神を容赦なくすり潰していった。
特に、メンバーの中でいつもみんなに甘えていたこさめの壊れ方は、あまりにも恐ろしかった。
雨乃こさめ
みことの告別式が終わった夜、こさめは自分の部屋に引きこもり、誰とも連絡をとらなくなってしまった。LANやすちが心配して何度もこさめの自宅のドアを叩き、「こさめ!(こさめちゃん)開けて!一人で抱え込まないで!」と叫んでも、部屋の中からは何の音もしない。ただ、冷たい静寂が返ってくるだけだった。
部屋の中で、こさめは暗闇の中、ベッドの上で小さく膝を抱えていた。いつもなら、寂しくなったらまにきがぶっきらぼうに構ってくれた。みこちゃんが優しい言葉で抱きしめてくれた。でも、もうあの二人はどこにもいない。
雨乃こさめ
ぽつりと言葉をこぼしたこさめの手には、これまでの不安を消すために病院で処方されていた、大量の睡眠薬の薬が握られていた。
こさめは一粒ずつ、まるで思い出を噛み締めるように、静かに薬を口に運んでいく。痛いのは嫌だった。血を見るのも怖かった。ただ、大好きなみんながいる、あの温かい場所に帰りたかった。
雨乃こさめ
涙が頬を伝い、お気に入りのまくらをぎゅっと抱きしめながら、こさめはゆっくりとベッドに横たわった。薬が回り、脳が心地よい眠りに支配されていく。冷たくなっていく指先で、最後にメンバーみんなのグループチャットを開き、『みんな、大好きだよ』とだけ打ち込んで、送信ボタンを押した。
画面の光が消えるのと同時に、こさめの呼吸は徐々に浅くなり、やがて完全に止まった。
翌朝、胸騒ぎがして鍵を開けて入ったすちがこさめを見つけた時、こさめの身体はすでに冷たくなっていた。けれど、その顔は驚くほど穏やかで、まるで大好きなメンバーに囲まれて楽しい夢を見ているような、綺麗な寝顔だった。
LAN
駆けつけたLANの叫び声が部屋に虚しく響く。シクフォニの優しくて可愛い歌声が、また一つ、世界から静かに消えた。残されたのは、もう三人だけだった。
コメント
1件
くまさん、読了しました……。今回もまた重く、切ない回でしたね。こさめの心理描写が丁寧で、「薬を一粒ずつ、思い出を噛み締めるように」という一文が特に胸に刺さりました。彼女にとっての「温かい場所」がメンバーと共にあることだけだったのが、痛いほど伝わってきます。残された三人の視点が今後どう動くのか、伏線としてのグループチャットのメッセージも気になります。続き、読ませていただきます。