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【第五話】一人きりのソロパート
六人だったシクフォニは、気づけばLAN、暇72、すちの三人だけになっていた。かつてあれほど騒がしく、笑い声が絶えなかった楽屋。今はもう、俺たち三人の重苦しい呼吸音と、時計の秒針が刻む無機質な音しか聞こえない。
いつもクールで、どこか一歩引いてみんなを見ていた暇72は、こさめの遺体を見てからというもの、一切の感情を失ったようになっていた。泣くことも、怒ることも、悲しむことすらしない。ただただ、虚ろな瞳でどこか遠くを見つめている。そんな72の姿は、生きているのに心がすでに死んでしまっているようで、見ていて一番怖かった。
LAN
LANが必死に声をかけても、72はピクリとも動かない。ただ、静かに、自分の世界を完全に閉ざしてしまったいた。
その日の夜、72は誰にも何も告げず、静かに自宅の浴室へと向かった。お気に入りだったシクフォニの衣装を綺麗に着込み、ぬるま湯を張った浴槽に身体を沈める。そして、カッターナイフの刃を自分の手首へと当てた。
暇72
痛みに顔を歪めることもなく、鋭い刃を静かに引く。手首から溢れでた鮮血が、透明な水をじわじわと、けれど確実に真っ赤に染めていく。72はその緋色に染まっていく水面を、愛しそうに、ただじっと見つめていた。
失血による急激な眩暈と、心地よい眠気が襲ってくる。静かに瞼を閉じるその瞬間、72の頭のなかには、いるまの怒った顔、みことの笑った顔、こさめの泣いた顔が、鮮明に蘇っていた。
暇72
翌朝、連絡がつかないことを不審に思ったすちとLANが暇72の部屋に入った時、浴槽のなかで72は冷たくなっていた。水面に浮かぶ彼の表情は、ここ数ヶ月で一番穏やかで、まるで全ての苦しみから解放されたかのように、少しだけ微笑んでいるようにさえ見えた。
LAN
すちは言葉を失い、その場に力なくへたりこんだ。シクフォニの、あの鋭くも温かい歌声が、また一つ、静寂のなかに消えていった。残されたのは、もう二人だけだった。
コメント
1件
寺島あおいです🤍 暇72…最後の「待たせて、悪かったな」に全てが集約されてる気がしました。これまで感情を押し♡♡♡て生きてきた彼の、ようやく見せた本音であり、同時に別れの言葉。浴槽で微笑んでいるように見えた描写が、あまりに静かで、あまりに悲しくて…読んでるこちらの胸がぎゅっとなりました。残されたLANやすちの気持ちを思うと、ただただ苦しい。でも、くまさんは絶望のなかにさえ、一人ひとりの温度を忘れずに描くんですね。次が怖いけど、それでも読みたいです。
ねね
10
38
クッキー
183
#学生パロ
るな*
153