冨岡義勇
今日、何度目だろうか。それに…
(……体が重い…)
悪寒がする。頭痛も徐々に強くなってきた。 熱が出ている。
任務の帰り道、体調不良をはっきりと自覚していた。たまたま蝶屋敷が近い。診てもらってから帰ることにした。まだ早朝だが、行っても良いだろうか。
が、着いてみてわかった。ここは朝から忙しそうだ。任務後に運ばれてくる隊士で混み合っていた。季節柄、体調の悪そうな者も多い。またにしようかと、引き返そうと思った
栗花落カナヲ
栗花落カナヲ
冨岡義勇
冨岡義勇
栗花落カナヲ
胡蝶の継子の栗花落カナヲに声をかけられる。やはり、ここまで来たのだ。薬だけでももらって帰った方が良いだろう。しかし、他に辛そうな者が多くいるのに、柱だからと気を遣わせ、優先されたくない。この程度のことで注目されるのも避けたい。
冨岡義勇
冨岡義勇
と伝えて、待合室の隅の椅子へ腰掛けた。ここは暖かくて眠気に誘われる。ウトウトと、そこで数刻待っていたが、なんだか本格的に具合が悪くなってきた。
グワングワンと頭痛が酷く、吐き気がする。動けるうちに厠へ行った方がいいだろうと思っているのだが、そのうち治まるかもしれないとも…淡い期待を込めて動かずにいた。目を閉じて、頭に酸素を送るように、静かに呼吸をする。
が、無情にも吐き気は悪化していく。苦しい。たくさんの隊士たちで混雑した部屋の空気は、淀んでいる気がして深く息を吸うのも躊躇われた。
外へ出たい。もうそろそろ限界も近そうだ。生唾がどんどん溢れて、ゴクリと飲み込まなければならない間隔が狭まってきた。
覚悟を決めて立ち上がる。目的の場所へ向かって歩き出すが、廊下へ出たところで、体の血がサーッと下へ降りていく感覚がして、目の前がチカチカとし始めた。
(まずい…倒れる…)
咄嗟にしゃがみ込み、手で口を押さえる。ふぅーふぅー、と呼吸を整えるようにして一時やり過ごしていると
竈門炭治郎
竈門炭治郎
たまたま蝶屋敷に来ていたのであろう炭治郎と鉢合わせた。肩を支えられ顔を覗かれる。
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
コクリと首を縦に振る。炭治郎に肩を借りて立ち上がる。そこからは気合いでどうにか厠まで持ち堪えた。
扉を閉める余裕もない。入った瞬間、便器に向かって嘔吐くと、その僅かな振動でガンッと強い頭痛も同時にやって来る。
辛い。痛みも臭いも口の中も呼吸も、全てが不快で苦しくて、生理的な涙が頬を伝った。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そう言って背中を摩られ、必死で胃の中身を全て出し切る。何度経験しても嫌なものだ。もう二度と吐きたくない。
ドクドクと鼓動が激しく、動揺が収まらない。そのせいか、吐き気が治っても、呼吸がなかなか整わない。
俺が落ち着くまで、炭治郎はただ黙って優しく背を摩り続けてくれた。落ち着け、落ち着け…深い呼吸を意識する。
随分と長い間そうしていたように感じる。ようやく息が整うと、
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
炭治郎はそう言って、また肩を貸してくれた。待合室へ戻るが、もう中へ入りたくない。部屋の中にいたら…あの空気では、また吐き気に襲われるかもしれない。それにこんなに余裕のない姿を誰にも見せたくない。
冨岡義勇
と廊下で膝を抱えて座り、壁に寄りかかる。顔を腕に埋める。きっと椅子に座るのもきつい。あぁ…怠い…頭が痛い…眠りたい…横になるだけでもいい…
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
栗花落カナヲ
竈門炭治郎
栗花落カナヲ
竈門炭治郎
炭治郎が中で誰かと話している。疲れた…。何も考えたくない。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そう言われ、診察室の奥の急患用のベッドに寝かされる。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
体温計を脇に入れられる。こうした少しの動作にも頭痛が伴う。思わず「ゔっ…」と声を漏らしてしまった。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
言われた通り、もう限界だった。
竈門炭治郎
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
誰かの話す声が聞こえて目を開ける。あのまま眠っていたのか。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
冨岡義勇
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
冨岡義勇
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
俺の意思は無視され、そういうことに決まったらしい。胃が軽くなり、少し眠ったら、大分良くなった。頭痛も胡蝶にもらった薬のおかげで、あっという間に和らいだ。
炭治郎と「辛くないですか?」「大丈夫だ」というやり取りを何度も繰り返しながら、途中食材を買い込み、自邸へ辿り着いた。
無事に帰って来られた。やっとゆっくり眠れる。ホッとすると、どっと疲れがやってきた。立っているのがきつくなってきた。
ついさっきまで、急患用の場所で寝かされるほどの症状だったのだ、当然だろう。よく動けた方だ。寝よう。
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
もう帰っていいぞという意味だったのだが。送ってもらった上にそこまでしてもらっては申し訳がない。かと言って、せっかくの好意を断るのも申し訳ない。
どうしたらいいものか戸惑っていると、炭治郎は慣れた様子で「まず布団敷いてきます」と、もう上がり込んでいる。
竈門炭治郎
と布団をかけられる。そう言われても、やはり気になる。なぜ胡蝶のところにいたのかはわからないが、炭治郎だって疲れているだろう。
それに、今までだって具合が悪くても、どんなに高熱でも、一人でどうにかやって来れた。今日も…さっきの蝶屋敷では無理だったかもしれないが…ただの風邪だ。自分でどうにかできる。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
米を研いだであろう炭治郎のひんやりとした手が額を覆った。また現れ始めていた頭痛が引っ込んでいくように感じ、ふぅと息を吐き出した。だるい…眠い……なんだか、正直にそう言って頼りたくなってしまう。人の温もりは安心する。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
炭治郎が用意してくれた額を冷やす手拭いが心地良くて、頭痛も忘れてすぐに眠りについた。
随分と長い間眠っていたようだ。外はもう真っ暗だった。かなり汗をかいている。着替えようと体を起こすと、もうだいぶ体が楽になっていた。炭治郎は横で眠っている。起こしてしまわないよう、そっと着替えを済ませて部屋を出る。
水を飲もうと台所に向かうと、そこには粥と野菜や豆腐、白身魚が煮込まれた鍋、漬物、そして鮭大根が置いてあった。それらの匂いを嗅ぐと、急に空腹を感じた。
食べてもいいだろうか。炭治郎はもう食べたのだろうか。炭治郎のことだから、おそらく食べずに俺が起きるのを待っていただろうな。起こしたら一緒に食べるだろうか。聞いてみようと思い、再び部屋へ戻る。布団に包まる炭治郎の横に腰を下ろす。
冨岡義勇
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
布団を剥ぐと、真っ赤な顔をした炭治郎がぶるぶると震えている。
冨岡義勇
竈門炭治郎
てわかってはいたが、咄嗟に触れた額は異常な熱を放っている。
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
念のため、寛三郎に手紙を括り付ける。「炭治郎が発熱した。うつしてしまったと思う。同じ薬をもらえないだろうか。」という伝言だ。
寛三郎が帰ってくるまでの間に、今度は俺が炭治郎の熱を測り、寒がる炭治郎にもう一枚布団をかける。吐き気はないようだが、念のため桶を枕元に置いておく。
熱が高く、ゼィゼィと苦しそうだ。この調子では、しばらく何も食べられないだろう。抱き起こして水だけ飲ませておく。
すまないが、先に夕飯を食べてしまおう。早く薬を飲まなければ…こうなった以上、俺が体調を悪化させるわけにはいかない。粥を温め直して食べ、薬を飲む。 部屋へ戻ると炭治郎が体を起こしていた。
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
返事はあるが、動く気配がない。
冨岡義勇
竈門炭治郎
そうだった。俺もさっき戻してしまったのだった。ああ、気の毒だ。今からあの地獄を味わうのか、こいつは…。桶を差し出す。
冨岡義勇
竈門炭治郎
今度は俺が背中を摩ってやる。
冨岡義勇
嫌がっているが、摩られると体が吐く状態になってしまうようだ。俺と同じように、涙を流しながら戻し始めた。と思ったが、
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
全部吐き出すと、本当に泣いている。
冨岡義勇
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
高熱で意識が朦朧としている。これは…なんというか…制御ができないのだろう…。もう吐き気は治っていそうだが、気持ちを落ち着かせようと、そのまま肩を摩り続ける。
冨岡義勇
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
突然眠りそうになる炭治郎を無理やり起こして、口を濯がせる。少し水を飲ませてから横たわらせる。落ち着いてよかった。吐き気のせいだ。あれは精神的に参る。 片付けをしていると、寛三郎が無事に戻ってきた。薬も括り付けられている。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
そんな文も同封されていた。 ああ、もうこれ以上、誰の手も煩わせたくない。早く治さなければ。しかし、疲れた。今、熱がまた上がってきているのもわかっている。
薬も飲んだし、また吐き気が来ないことを祈るしかない。炭治郎にも、まだ薬を飲ませていない。気がかりなことが多い。
もう考えても先のことはわからない。とにかく寝て治すしかない。炭治郎の枕元に薬を置いておく。「起きたら粥を食べて 薬を飲め。」と書き付けておいた。 すまん、俺も寝るぞ…
目が覚めると、もう朝だった。隣で炭治郎がモグモグと粥を食べていた。ぼんやりと眺めていると、視線に気付いた炭治郎と目が合った。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
沈黙が流れる。
冨岡義勇
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
冨岡義勇
冨岡義勇
竈門炭治郎
冨岡義勇
竈門炭治郎
そうして助け合いながら、なんとか二日間を過ごした。無事お互いに回復して、それぞれの任務に出ると、道すがら胡蝶と会った。
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
冨岡義勇
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶ
病み上がりに、そんな恐ろしいことを言われてしまったのだった。
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