すち
暇ちゃんが病院で 余命宣告を受けて五日間、
俺はあれ以来、 病院には行かなかった。
俺以外のみんなは一応 一日一回は通ってるらしいけど
行かないでいたらいるまちゃんに 『なつのこと、好きじゃないの?』 と怒られた。
好きだよ。 だから行かないの。
ただ俺はその場で黙って俯いた。
『…もういいよ。』 いるまちゃんのその声はすごい 冷たかった。
…思い出すと、発作が起きそうになる
からその時は、自分の喉に 手を突っ込んで、吐き気で誤魔化した
偶に間違えて本当に吐くことがあるから、その時はあまりみんなに 見られないようにして、 部屋を出た。
また、食べ物とかも全然。 疎かになっていった。
だんだん減ってく体重。 これでいいのか、手首は引くほど細い
そういえば、偶にらんらんが 俺の部屋に来て様子を見に来た。。
『いるまがごめんね。』
『あいつ、“熱い男”だからさ。』
『やっぱお前の隣はなつだしな。』
そういって、布団にくるまって 動かない俺に、独り言のように話して
『偶には顔出せよ。』
と言って出ていった。
それと同時に、らんらんはいつも俺の机にお菓子作ったから食べて、と メモ書きを置いていった。
鼻腔をくすぐる甘い匂いに、 俺はらんらんの優しさに感動して それを毎日、泣きながら食べていた。
それはクッキーであったり、マカロンであったり。 とりあえず、全てちゃんと美味しくて。
うん、いつかは顔出そうと思ってるよ
ただ、やっぱ会いに行くのは怖いかな
ところで、最近、目を瞑ると必ず 夢の中で昔の記憶が蘇っていた。
眠っているにも関わらず、 偶にイライラしたり、泣いてたり。
ほとんどはなつくんのこと。
偶に他のみんなのこと。
本当に、もうたくさんのことが思い出せてる気がする。
はやく、ひまちゃんにー…。
いや、早く全部思い出そう。
塞がっていないピースは後数個。
それが塞がる時、…
…君は、いるのかな。
あ、今メールが届いた。
それは…『みことちゃん?』
…俺はスマホを放って目を瞑った。
なんだ、そんなことか…
はぁ、とでかめのため息が出る。
ベッドの上に大の字に体をのばすと 一瞬鳥になった気分になった。
…もう寝よう。
そう思ったその時だった。
すち
コメント
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わぁぁぁぁぁなつくん((泣 めっちゃ感動っ!