奏
……なんなの、この部屋。
ユウコ
知らないよ…でもさっきの和室よりはいいと思うよ?
カイト
………
カイト
俺、死ぬのかな?
ユウコ
当たり前よ!あんたみたいなクズ!
奏
ちょっと、やめなよ。
喧嘩はよくないよ…!
喧嘩はよくないよ…!
ユウコ
でも、こいつがみんなを殺した
みたいなもんじゃない!?
みたいなもんじゃない!?
奏
私達が止めに入らなかったのも悪かったのよ
ユウコ
…そう、だけど
ドンドンドンドンドン!!!
奏
(そう、扉を叩く音。)
カイト
ひっ…しゅ、しゅんすけ…
奏
え?開けてないのになんで分かるの?
カイト
なんか、感じるんだ…
ユウコ
悪寒ってやつ?
カイト
いや、違う
カイト
俺の第六感があそこには行くなって悲鳴をあげてるんだ
奏
え…?じゃああそこにいるのは…
奏
しゅん、すけ?
カイト
…やめろ、開けるな
しゅんすけ
か"ァァァァい"ぃぃとぉぉぉぉ…
カイト
ひっ…
カイト
開けねぇぞ!
しゅんすけ
開"げろ"ォォオォォォ!!!!
カイト
うわぁぁぁ!!!
奏
逃げよう!カイト!ユウコ!
ユウコ
あったりまえよ!!!
奏
何、この部屋。
ユウコ
あの和室のドアの真横に…こんな地下室が
カイト
ここなら、暫くは休めそうだな
奏
油断禁物!
カイト
うっ…わかった。
奏
ここに何か情報があるかもよ?
ユウコ
…なになに?…この呪いは…
ユウコ
"アイコサマ"…?
奏
何それ
カイト
聞いた事、ある。
カイト
確か、とある廃屋の和室にはアイコ様がいて
カイト
そいつは人間をころして、その魂を奪ってるって。
ユウコ
つまり、この上の部屋が…
カイト
あぁ。間違いねぇ。
カイト
"アイコサマ"の部屋だ。
ユウコ
助かるためには…
ユウコ
木綿子大社にヒントがある…?
奏
ってことは、今は助からないってこと?
奏
そんな…
ユウコ
いや、もうひとつだけあるみたいよ
ユウコ
イケニエを…2人差し出すこと
奏
それなら私達もう差し出したじゃない
ユウコ
違うわ。自分の意思で、よ。
カイト
つまり、自らあのバケモンに殺されに行けってことか?
奏
そんな…
ユウコ
…どうする?
カイト
1人は俺がイケニエになる
奏
じゃあ私が…
ユウコ
いや、奏。待って
奏
え?
ユウコ
私の直感。だけど、この呪い。
ユウコ
解決できるのは、貴方だけな気がするの。
奏
なに、いって
ユウコ
私もイケニエになる。
奏
…え?私に逃げろって言うの?
ユウコ
そうよ。
カイト
お前ならきっと、この呪いを
解いてくれる。
解いてくれる。
奏
でも、死んじゃうんだよ?
ユウコ
なに、うちらは親友でしょ?
ユウコ
離れ離れでも、心は繋がってるじゃん!
カイト
そうだぜ!
ユウコ
あんたは親友じゃないわよ
カイト
酷くね?
奏
ふふ…2人らしい回答だね
奏
分かった。私、なんとしても生きて
奏
この呪いを、終わらせてみせるよ。
カイト
ああ、頼んだぜ?…親友
奏
もちろん!
ユウコ
じゃあね、奏。
奏
…(戻ってきた。この入口の前に)
ユウコ
さ よ な ら
グシャッ!ベギャッ!
奏
……扉が、空いた音だ…
奏
ごめん、2人とも…
奏
さよなら…ッ
奏
こうして、私はあの島から逃げることが出来た。
奏
私は、あの経験を忘れることは出来ない
奏
それにこれはまだ…
奏
"始まり"に過ぎないのだから。