これは
何も知らない僕と
君とのある物語__
僕は生きる意味が分からなかった
特に目標もなく
ただ
呆然と生きているだけの人生
そんなんだったら
こんな人生捨ててしまえ
そう、思うようになってしまった
だから今、
重い足を動かして
"死"に向かっている
いいんだ
もう、とっくに捨てた人生なんだから
今までのことを何となく
振り返りながら
僕はあの世へ向かい入れる扉を
ゆっくりと開けた
ガチャ
さっきまで暗いところにいたせいか
ただの月の光でさえ眩しく見えた
あれ...
そんな月の下に1人の女性が
月を眺めるように立っていた
そんな彼女は
扉の重い音に気づいたのか
こちらを振り向いた
綺麗だな
彼女を見て1番最初にそう、思った
離れた所から見ても分かる
整った顔
暗くても分かる
白い肌
全てが綺麗だった
彼女
さっきの驚いた顔がなかったように
笑顔で話しかけてきた
僕
彼女
僕
聞いちゃいけない
そう、分かってたのに
聞かずにはいられなかった
彼女
彼女
僕
彼女
彼女
さっきの話がなかったように
切り替えて
彼女は僕に聞いてきた
僕
彼女
彼女
彼女
まるで僕の心を読んだかのように
僕がしようとしていたことを
彼女は口にした
僕
彼女
彼女
彼女
僕
彼女
彼女
彼女
彼女
その彼女の言葉が
とても心に染みた
もう少し考えてみようかな
そう、思えたから
僕はありがとうを伝えて
その場を去った
これが彼女との出会い
あの日から僕は
屋上へよく行くようになった
最初はただ現実逃避したかっただけ
毎日が辛いから
生きている意味なんかないから
そう思ってたからこそ
屋上へ行っていた
でも今は
君に会いたいから
そう思い始めていた
君を見る度に
僕はその優しさに
声に
笑顔に
惹かれていった
その時から
僕の恋が始まっていた
それと同時に
僕の恋は終わってた
僕
そんな彼女と出会った頃を 思い出していた
隣を見てももう、
彼女はいない
どうして彼女がいないのか
僕は知らない
でも、僕は彼女に会えることを願って
この屋上にいる
優しいウソをついてるのかも...
ふと彼女のある言葉を思い出していた
彼女
彼女
今まで適当にくだらないことを
話していただけだったけど
その日だけ彼女の目は真剣だった
僕
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
僕
彼女
僕
僕
彼女
僕
僕
僕
彼女
その時まだ彼女の言葉の意味が
分からなかった
彼女
彼女
僕
ある日また彼女は言う
彼女
僕
僕
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
彼女
僕
ただ1点を見つめて
一言一言真剣に話す彼女
その言葉が心にしみて
何も言葉が出てこなかった
彼女
僕
僕
彼女
僕
僕
僕
彼女
彼女
僕
彼女
僕
彼女
ある日彼女が急に
真剣な話をし始めてからかもしれない
彼女に異変が起こったのは
僕が彼女に会いにあの場所に行くと
いつもいる場所に彼女はいなかった
いつまで経っても来なかった
次の日もその次の日も
何日経っても
もう、彼女が現れることはなかった
嫌な予感がする
だって、
いつもただくだらないことを
話してただけなのに
最近まるでもうすぐ死ぬ人のように
真剣な話しをしだすし
嫌な予感しかしなかった
助けに行かなきゃ
そう思い立ち上がって
1歩前に進もうとしたところでやめた
僕、彼女のこと何も知らない
名前だって
何歳なのかも
どこに住んでるのかも
普段何してるのかも
何も
何も何も
僕は知らない
何も出来ない自分に腹がたって
仕方なかった
僕
僕
僕
そう、呟くと更にそのことが
実感し
涙が溢れだしてきた
どれくらい泣いただろう
もともと真っ暗だったこの場所では
どのくらい時間が経ったのかは
分からない
それでも長い時間泣いたことには
変わりない
これ以上泣いたって
何も変わらない
もうきっと来ることのない
この場所を去った
あの日からもう数年
あれは夢だったんじゃないか
そう思うぐらい
何もなく時が過ぎていった
結局何も知らないまま
今ここにいる
知らなくてもいい
また会えたら
少しづつ知っていけばいい
また会えることを願って
夜空の下で待っています。
コメント
12件
なんか屋上行きたくなってきた ((雰囲気ぶち壊し 素敵です♡
今回も切ない…。 恋と実感した時には、もう彼女は_。 表現がすごく綺麗で、流石です…✨ これが雑⁉︎そんな訳ないじゃないですか‼︎ とても寂しさが染みて、感動するお話でした。
うっわ!!表現が凄い綺麗です… 生きている今が地獄だとか、死 ねるから天国だとか… 彼女は余命宣告をされていたのでしょうか 主人公が彼女のことを何も知らなかったように、私も彼女のことを何も知れませんでしたが、この2人の登場人物がとても好きになりました! 最後にタイトルが文章になって書かれたところは感動しました✨