TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

虎の子2

一覧ページ

「虎の子2」のメインビジュアル

虎の子2

13 - 第13話

♥

33

2024年06月05日

シェアするシェアする
報告する

美花side 無事に卒業式が終わり 迎えた土曜日。 久々に何も無い日だから 鳴尾浜に行こうと 足を向けた。

和樹

あ、姉ちゃん。

なんでお前ここにいんの?

美花

2人もなんでここにおるん?一軍は?

最後の調整やって。

和樹

藤田さんと中川さんに取られるかもしれんけど。

下村

あ、美花ちゃんコーチがはよグランド入ってくれって。

和樹

え?この人ノックするんすか?

美花

おい。この人言うな。

先日百崎くんから 『コーチが近々予定空いてる日に 鳴尾浜でノックしてくれへんか?』 って打診があり 唯一空いてた今日に 練習組み込んでくれることになった。

こいつノック大丈夫なん?最近やってなさそうな顔してるけど。

美花

してるわ。昨日もやらされてんの。『今度選抜出るんで練習相手してください』って。

和樹

姉ちゃんの鬼ノックよく受けれるよね。俺無理かも。

美花

あんたに向かって1発ヤったろか?

和樹

ごめんなさい。すいません。許してください。

下村

まぁまぁ喧嘩せずにグランド行きましょ。美花ちゃん選手ロッカー空いてるから着替えて。廊下に佑弥と淳哉見張りにつけとくから。

着替え終わって 石黒くんと津田くんと 一緒に喋りながら グランドに向かう。

石黒

さっき和樹と会ったんやけど、顔面蒼白だったけどなんかあったん?

美花

あー、ちょっとあいつに脅したから。

津田

また喧嘩?勘弁してよ。いつもあの二人喧嘩してんのに。

美花

マジで?

石黒

そうそう。いつも『座り方が悪い』とか『ここのピッチング悪い』とかいちゃもんつけ合ってるの。

津田

毎回宥めると結構しんどいっす。何とかして。

美花

1回やってくるわ。

石黒

なんか戦争起こりそうやからダメ。

津田

殺気感じた。

美花

あいつらどこおるん?

津田

やばい。人呼んで来る。

石黒

修也止めて〜!

山田

え?何をですか?

私の顔を見てすぐに察したのか 私の前を封鎖するように 歩き出す。

美花

歩きにくい。

山田

歩きにくくしてるの。

和樹

あ、ねーちゃん。

石黒

和樹今すぐ逃げろ。やばい。

和樹

あ、はい。先、失礼します。

美花

あ、おい逃げんなって。このバカ弟!

山田

バカって言わないって。女の子でしょ。

こいつ女捨ててる。ほぼ男。

美花

あ、ちょっと逃げんといてよ。

津田

ちょ、口悪すぎ。

大丈夫やって。いつもの事やし。なんも言わなかったら雷降るんじゃない?

足早に去っていった 兄貴と弟。 その場にいた3人と 話し込んでたらコーチに呼ばれ グランドに向かった。

グランド いつも通り監督にノック用のバットを 押し付けられ 選手に向かってノックしていく。

美花

ラスト〜!

藤田

美花ちゃん強め

美花

了解!

空高く強めに打った 打球を追いかける藤田くん。 少し風にやられたか 落下地点に迷いながら入ったが ミスなく捕っていく。

下村

ほらアクエリ。

美花

兄貴と弟と違ってめちゃくちゃいい人やん。

おい。聞こえてるぞ。

和樹

ねーちゃん選抜のチケットまだ?

美花

あんたのロッカーのとこに置いてる。

藤田

え?出るの?いつ?

和樹

5日目の第2試合っす。僕らオフの日です。

及川

いいよね。身内に学校関係者いて。

美花

行くなら学校で確保してるやつ渡すけど…

及川

行く行く!天才!

藤田

陸さんも行きますよね?

こいつ(和樹)に頼んでる。

和樹

しかもねーちゃんノックするんですって。甲子園で。

藤田

まじかよ…

及川

高野連OK貰ってんの?

美花

一応教員で普段からやってる人なら大丈夫らしい。女性でもね。

そんなこと話してたら ズボンに入ってたスマホに 着信音がなった。 電話に出ると 学校からの呼び出しで今から来て欲しい との事。

和樹

呼び出し?

美花

うん。んじゃここら辺で失礼します。首脳陣裏?

おん。またな。

中川

大変やな。学校の先生って。

美花

この2人なんかあったら引きずり下ろしていいからね。

今度あったら覚えとけよ。

和樹

兄ちゃん喧嘩売らんとって。俺に火花が飛ぶ。

及川

ほら職場行っておいで。ここ俺が何とかしとくから。

美花

オヨヨまじでありがと。

その後監督とコーチに挨拶をして 学校に向かった。

学校に向かうと グランドで練習してる野球部の先生が ノック中にぎっくり腰になり 急遽私がノックを打つことになった。

河野

川原先生まじですいません💦今日休みなのに💦

美花

全然大丈夫ですよ笑

矢坂

先生いつもよりもボールの回転やばいですって。

河野

先生午前中鳴尾浜で練習してるで。

美花

プロのノリで行こっか?

相澤

先生お願いします。

矢坂

何言ってんねん。昨日もやったやん。

相澤

昨日のミーティングで優勝するにはどうしたらええか相談したやん。バカやから忘れた?

美花

矢坂日本史やばいから。赤点ギリギリ。

矢坂

今回回避したじゃないですか。ていうかこいつも日本史やばいじゃないですか。

相澤

矢坂よりかはマシやって。

美花

喧嘩すんなって。出場停止になるよ。

脅しをかけたら 素直に各自の守備位置に着いた。 約2週間後に控えた 選抜出場に向け 調整をかける選手に向かって ボールを打った。

数週間後 甲子園。 2試合目の前のノックが始まる ちょっとした時間に 軽くミーティングをする。

相澤

川原先生か何か一言お願いします。

美花

え?私?

河野

どーぞ。

美花

まぁとりあえず楽しんで。次3年の選手は就活とか進学に向けて忙しくなるから今のうちにやる事やっときや。

矢坂

はい。…やることって?

相澤

今のうちに甲子園楽しんどけよってこと。攻撃とか守備でもそう。

美花

矢坂は守備以外考えたらダメ。エラーばっかだし。攻撃の時はめちゃくちゃいいんだけど。

矢坂

先生ディスってませんか?

河野

矢坂メンタル弱いんやから鍛えてもらってんねん。

相澤

プロ野球選手やぞ。兄貴と弟が。この間なんて喧嘩ふっかけてたぞ。この先生。

河野

マジで?

美花

ついこの間会ったんですけど、兄貴はちょっとした言い合いをして、弟はその辺引きずり回してました。

相澤

このメンタル見習ってな。矢坂。

矢坂

俺姉ちゃんに逆らったら何されるか分からへんって。先生みたいな性格してるし。

美花

矢坂今度補習かけよっか?

矢坂

嫌です。勘弁してください。パワハラ。

相澤

先生やった方がいいっす。こいつ馬鹿なんで。

河野

生物もやろっか。この間赤点スレスレだったし。

矢坂

それ数学もやられてるんすよ。勘弁してください。

美花

あ、もうすぐ始まるで。楽しんでな。今だけ成績のこと忘れていいから。

試合前の茶番に 緊張がほぐれたのか 終始ニコニコしてる生徒。 グランドに一目散に走っていく 姿を見送りながら 春の訪れを感じるのだった。

この作品はいかがでしたか?

33

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚