テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

貴方の番だね

第1話 - 貴方の番だね

2019年06月09日

#ホラー

#短編

#スリル

kusil

unknown

どうか、助けて

メグミ

…………？

メグミ

あ、あの、誰ですか？

unknown

このままでは死んでしまう

unknown

あなたはただ、助けてあげると答えてくれればいい

unknown

…それだけで、私は死なずにすむの

unknown

だから、お願い……

メグミ

わ、わかりました

メグミ

私は貴方を助けます！

unknown

……ああ、ありがとう

unknown

やっと……やっと解放される

unknown

……次は、貴方の番だね

メグミ

……え？

その瞬間、私の視界は暗転した

メグミ

(…私の……番……？)

わたしは目を覚ますと

薄暗い闇で包まれた部屋にいた

メグミ

あ、あれ？

メグミ

さ、さっきまで私自分の部屋にいたのに……

マスター

ようやくお目覚めですか

マスター

ふう、どうやら貴方は相当な寝坊助と見ました

マスター

まあそんなことどうでもいいんですけどね

マスター

しばらく、眠りにすらつけなくなるのですから

メグミ

ね、眠れないってどういう…

メグミ

いやそれよりあなたは誰！？

マスター

私に名前はありませんね

マスター

まああえていうのなら、マスターとでも呼んでいただきましょうかね

マスター

貴方はバトンタッチされたのですよ

メグミ

バトンタッチ…？

マスター

ええ、

マスター

このゲームの挑戦権というバトンを手渡された哀れな挑戦者です

メグミ

ゲーム？

マスター

はい、今から説明いたします

マスター

これは携帯を使ったゲームでございます

マスター

現に貴方は自身の携帯ではない携帯のチャットルームにおいて私と会話してるではないですか

メグミ

え！？あ！

メグミ

これ私の携帯じゃない！

マスター

……今更ですか

マスター

寝坊助に加えておとぼけですね

メグミ

で、何なの？

メグミ

私、早くここから出たいんだけど

マスター

それは貴方次第でしょうね

メグミ

……？どういうこと？

マスター

いえ、そのままの意味です

マスター

貴方、何をしたらここにきたのか覚えていますか？

メグミ

……えっとね

メグミ

知らない人から助けてあげると言ってほしいって言われて

メグミ

そういったらここにいたの

マスター

ふむ、随分なお人好しだことで

マスター

その通り、このゲームはクリアはありません

マスター

そのかわり、バトンタッチがあるのです

メグミ

……クリアはないの？

メグミ

バトンタッチがあるだけ？

マスター

ええ、そうですよ

マスター

とはいえ、バトンタッチできれば貴方はクリアしたといってもいいでしょう

マスター

このゲームは延々と続いていくのですから

メグミ

……それで、ルールは？

マスター

おや、物わかりのよい方ですね

マスター

わめくとかしないのですか

メグミ

わめいたって出してくれる訳じゃないんでしょ

マスター

これはまた随分強情ですね

マスター

ええ、そのくらい物わかりがいい方が私も助かります

マスター

ルールは簡単です

マスター

このチャットにおいて、「助けてあげる」と返信を受け取った場合か

マスター

あるいは電話をかけ、相手が出てくれた場合、その相手に挑戦権がバトンタッチされ、あなたは晴れてここから出ることができます

メグミ

なんだ！

メグミ

簡単じゃない！

マスター

……ルールは最後までお聞きください

マスター

この際、親、親戚、友人など、いかなる知人に連絡することも許されません

マスター

もし連絡した場合は即刻殺します

メグミ

え、知らない人に電話かけたりチャットしたりするの！？

メグミ

無理だよ！返信なんてしてくれるわけない！

マスター

電話もあるではないですか

マスター

それに貴方は返信したからここに来ているのですよ

マスター

これは可能性にかけるゲームなのです

マスター

ああ、もちろん警察に通報することも禁止です、殺します

メグミ

……じゃあ残された選択肢は二つだけなんだね

マスター

その通り

マスター

貴方がここにいる間、水はお出ししますが食料はお出ししません

マスター

餓死したくないのなら、頑張ってくださいね

メグミ

……やるしかない

マスター

ついでにいいますが、相手の人にあなたのことはunknownと表示されますから

メグミ

……わかった

メグミ

(必ず生き抜いてみせる)

マスター

それでは健闘を祈ります

1回目

メグミ

あの、すみません！

メグミ

助けてほしいんです！

あ？誰だよ

気持ちわりい、ブロックするからな

メグミ

ちょっ、待って！！

10回目

メグミ

不在着信

メグミ

不在着信

あらやだ、詐欺かしら

着信拒否しておきましょう

35回目

メグミ

不在着信

メグミ

お願い！出て！

メグミ

私を助けて！

新手の広告かなにか？

めんどくせーしブロックしよ

メグミ

違うの！！助けて！！

メグミ

(ぜんぜんダメだ……このままじゃ、死んじゃう)

52回目

unknown

通話
01:04:04

unknown

うふふ、わかった？

unknown

私の電話に出てくれてありがとう、52回目の相手さん

unknown

おかげで私は自由になれる

unknown

………次は、貴方の番だね

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

kusil

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

貴方の番だね

第1話 - 貴方の番だね

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説
一覧

関連するタグ

貴方の番だね

第1話 - 貴方の番だね

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説一覧

関連するタグ

#ホラーの新着小説
一覧