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テラーノベル(Teller Novel)

 

今朝早く

 

川に人が浮かんでいるという通報を受け

 

警察が駆け付けたところ

 

市内に住む平田進さん32歳が川に浮いているのが発見されました

 

平田さんは病院に搬送されましたが

 

搬送先の病院で死亡が確認されました

 

平田さんの頭部には何かで殴られたような跡があることから

 

警察は何らかの事件に巻き込まれたとみて捜査を進めています

会社員A

石井、辰徳(いしい たつのり)?

会社員A

ああ、参室に行ったエロじじいか

会社員A

え?

会社員A

女性社員にセクハラ紛いの言葉をかけたり

会社員A

仕事中にエロ画像見漁ったり

会社員A

仕事は出来る人だったけど

会社員A

人間的にはクズだったって話し

会社員A

参室に行ったのも本人たっての希望だったらしいな

会社員A

ま、そりゃそうだろ

会社員A

あそこなら何やっても咎められないって思ったんだろうさ

会社員A

え?

会社員A

ああ…

会社員A

大丈夫大丈夫

会社員A

みんな思ってることだから

会社員A

それに、もういない人間だしね

会社員B

村木徹(むらき とおる)さん?

会社員B

ああ…

会社員B

あんまり思い出したくないかな

会社員B

だって…

会社員B

まぁそりゃあ…

会社員B

一部の社員からは人気があったっぽいけど

会社員B

パワハラ紛いのことをやって

会社員B

気の弱い新入社員を退職に追いやったって

会社員B

自慢げに話すヤツだよ?

会社員B

オレはあんまり関わりたくなかったんだけどさ…

会社員B

……そういうこと

会社員B

オレもこっぴどく怒られたよ

会社員B

でも、オレの場合

会社員B

村木さんは定年間近だったし

会社員B

あと数ヶ月我慢すれば退職するって思って働いてたから

会社員B

そこまでしんどくなかったかな

会社員B

参室に?

会社員B

噂だし、本当かどうかはわからないけど

会社員B

恐妻家っていう噂があってさ

会社員B

家でゴロゴロするぐらいなら仕事しろって言われたって

会社員B

オレは聞いたよ

会社員B

あ!さっきも言ったけど

会社員B

村木さんは一部の社員には人気があったから

会社員B

オレがこんなこと言ったのは内緒で頼むよ

会社員C

中野一也(なかの かずや)さん?

会社員C

営業部の人間で

会社員C

入社当時はバリバリ働いて

会社員C

営業部でトップの成績だったらしいけど

会社員C

定年退職前になるとクレームを貰って来るようになって

会社員C

覇気の無い

会社員C

うだつの上がらない単なるオッサンになってたなぁ

会社員C

理由?

会社員C

さぁね

会社員C

奥さんが亡くなってからあんな感じになったって聞いたけど

会社員C

本当か嘘かは知らないよ

会社員C

悪い噂?

会社員C

……

会社員C

人の仕事を横取りすることがあるから気を付けろって

会社員C

オレは入社当時に言われたかな

会社員C

でも、オレが入社したときにはすでに普通のオッサンになってたから

会社員C

横取りされることもなかったけど

会社員C

バリバリに働いてたときは

会社員C

上司の営業先であろうと行って

会社員C

仕事をふんだくって来たらしいね

会社員C

……

会社員C

参室への異動?

会社員C

さぁね…

会社員C

やる気が無い感じだったのに

会社員C

どうして再雇用されたのかなってみんなも不思議がってたよ

花塚

ふぅ…

花塚

(もっとみんな口が堅いかと思ったけど)

花塚

(案外喋ってくれたな…)

花塚

(もう本人がいないし)

花塚

(鬱憤でも溜まってたのかな?)

花塚

…あっ

花塚

(月城さんの話、聞き忘れたなぁ)

花塚

(経理課での仕事ぶりはどうだったんだろう)

花塚

(いや、聞かなくてもあの人のことだ)

花塚

(どこでも真面目に働いていたんだろうけど)

花塚

(それだけに参室にいるのは本当に勿体ないなぁ)

花塚

……

花塚

(しかし、考えてみると)

花塚

(個性の強い人たちと月城さんは仕事してたんだなぁ)

白胡

あ!花塚くん!

花塚

白胡さん

花塚

どうしました?

白胡

中島さん、来週には復帰出来そうなんだって

花塚

えっ!

白胡

それでね、企画開発部の大型プロジェクトも落ち着いたし

白胡

来週の半ばには企画開発部に異動出来るんだけど

白胡

その方向でスケジュール調整してもいいかな?

花塚

あ…はい

花塚

急、ですね

白胡

中島さん、ずっと花塚くんのこと気にかけていたみたいだから

花塚

そうなんですか…

白胡

…あ~…

白胡

参室の方が良い?

花塚

!!

花塚

い、あ、うーん…

花塚は返答に困る。

花塚

参室の仕事も楽しかったんですけど…

花塚

中島さんにそれだけ期待して貰っていると思うと

花塚

企画開発部への異動も…

花塚

正直、楽しみです

白胡

うん!よかった!

白胡

参室に残るって言われたらどうしようかと思っちゃった

花塚

い、いや…

花塚

さすがに…それは…

花塚

(でも…月城さんに会えなくなるのは)

花塚

(正直、寂しいなぁ)

花塚

(いやいや)

花塚

(今生の別れじゃあるまいし)

白胡

じゃ!その方向で宜しく!

花塚

あ、あの!

白胡

なに?

花塚

参室には、その

花塚

新しい人が配属されたりしないんですか?

白胡

うーん、すぐには無いかな

白胡

でも、今年度で定年退職する人は何人かいるから

白胡

声はかけてみるつもり

花塚

そうですか…

白胡

また詳しい日付けが決まったら教えるね

花塚

はい、わかりました

月城

ら、来週に異動ですか

月城

きゅ、急ですね

花塚

そうなんです

花塚

すいません、ご迷惑をおかけします

月城

い、いや

月城

こればかりは花塚くんのせいではないので

月城

仕方がありません

花塚

しかも、新しい人の配属は来年の春まで無いそうで

月城

……そうでしょうね

花塚

とりあえず、今ある仕事はサクッと終わらせてしまいましょう

月城

え、ええ

花塚

……

月城

……

花塚

参室にいた方の話しを聞いてきました

月城

え?

花塚

石井さんも

花塚

村木さんも

花塚

中野さんも

花塚

個性が強い人だったんですね

月城

……よく言えばそうです

花塚

月城さんは大変でしたね

月城

べ、別に…

月城

ぼ、僕は言われたことをやっていただけですから

花塚

……三人がいなくなって

花塚

月城さんは一安心、といったところですか?

月城

そ、そんなわけっ

月城

そんなわけないですっ

花塚

そうなんですか?

月城

参室は雑用の多い職場です

月城

一人でするにはあまりにも無謀なんです

月城

個性の強い人たちであっても

月城

居てくれる方が良いに決まっています

花塚

…まぁ、確かに

月城

……

月城

でも…

花塚

でも?

月城

彼らがいなくなって

月城

花塚くんが来てくれたんですから

月城

そう言った意味では

月城

…彼らがいなくなってよかった…

月城

とは、思いますけど

花塚

ふふっ

花塚

ありがとうございます

月城

それなのに…

月城

…また一人に逆戻りです…

あからさまに肩を落とす月城。

花塚

……

月城

っと

月城

そもそも花塚くんは繋ぎでここに来てくれていたのに

月城

すっかり頼り切ってしまって…

花塚

いいんですよ

花塚

俺も広報部で腐っていて

花塚

この会社には自分の居場所は無いし

花塚

何の役にも立たない奴なんだって思っていましたけど

花塚

ここに来て

花塚

月城さんのお仕事を手伝っていくうちに

花塚

俺は誰かの役に立ってるんだ

花塚

俺はここに居て良いんだって

花塚

前向きに考えることが出来るようになりました

花塚

月城さんには感謝しかありません

月城

そんな…

花塚

異動して部署は変わってしまいますけど

花塚

また、飲みに行きましょうね

月城

…そう、ですね

【翌日】

白胡

花塚くん!

花塚

白胡さん

白胡

このあと何か用事ある?

花塚

いえ、なにも

花塚

飲みの誘いでしたら

白胡

ううん、違うの

白胡

いや、実は中島さんがね

白胡

異動する前にちょっと会って話しがしたいって

花塚

これからですか?

腕時計を確認すると

時刻はすでに21時を過ぎていた。

白胡

そんな長くは話さないから

白胡

ほら、みんな明日仕事だし

白胡

ダメ…かな?

花塚

……

花塚

いえ

花塚

俺も一回中島さんとはお会いしたいと思っていたので

白胡

よかった!

白胡

じゃあ、行きましょう

花塚

…はい

花塚

……

白胡

……

花塚

……

白胡

緊張してる?

花塚

え?

白胡

そんな雰囲気だなって思って

花塚

緊張は…していません

花塚

ただ

白胡

ただ?

花塚

どこに行くんだろうって

白胡

ああ

花塚

この辺…

花塚

そのホテル街で…

白胡

ふふっ

白胡

そうだね

白胡

もう少し行った先のホテルで待ってるよ

花塚

ホテル?

白胡

そう、ホテル

花塚

???

白胡

私ね

白胡

似た者同士って

白胡

すぐ気がついちゃうんだ

花塚

……似た者同士?

先を歩いていた白胡はクルリと振り返る。

白胡

あれ?

白胡

もしかして

白胡

花塚くん、気付いてないの?

白胡

私たち

白胡

とぉっても

白胡

似た者同士なんだよ?

花塚

…ちゃんと前を見て歩いて下さい

白胡

はーい

身軽にクルリと前に向き直る。

白胡

…はぁ、つれないなぁ

花塚

……

花塚

言っておきますが

花塚

俺と貴女は似た者同士なんかじゃありません

白胡

キッパリ言うんだね

花塚

ええ

白胡

そうかなぁ?

そう言って白胡は角を曲がった先にある

古びたホテルに入って行く。

花塚は一瞬躊躇したものの、

白胡に呼ばれて仕方なく中に入った。

古びているのも当然だった。

そこはすでに閉館したホテルで、

中は荒れ果てていた。

白胡

こっちこっち

白胡は階段を上がって行く。

どうしてこんなところに中島がいるのか、

花塚はあえて聞かなかった。

白胡

一目見たときから

白胡

ああ、花塚くんと私はおんなじだって

白胡

すぐに気がついたの

花塚

……

白胡

そう

白胡

私と同じ

白胡

人殺しだ

白胡

って

花塚

……

白胡

否定しないの?

白胡

沈黙は肯定と取っちゃうよ?

花塚

……

白胡

まぁいいわ

白胡

山本康平や

白胡

平田進を殺したのは

白胡

花塚くん

白胡

君だよね?

花塚

……

白胡

大丈夫!大丈夫!

白胡

警察になんて言うわけないじゃない

花塚

……

白胡

そもそも証拠も無いんだし

花塚

それ

花塚

白胡さんの妄想でしょ?

白胡

妄想は酷いなぁ

白胡

結構、当たってると思うんだけど?

一つの部屋の前で足を止め、

白胡は手袋をはめた手でドアを開ける。

白胡

お先にどうぞ

花塚

……

言われるまま部屋に入る。

いやに綺麗な部屋だった。

テーブルにもドレッサーにも

イスにも埃一つなく。

ベッドも

真っ白なシーツが敷かれていた。

その上に、

パンツ一丁で手足を拘束され、

口と目元を粘着テープで塞がれた

中島雅文が横たわっていた。

眠っているのか、

うんともすんとも言わない。

花塚

……

白胡

ご心配なく

白胡

強めの睡眠薬を飲ませたから

白胡

朝まで起きないよ

花塚

……

花塚

何が目的なんですか?

白胡

ここまで来てわかんない?

花塚

…はい

白胡

彼をね

白胡

殺して欲しいの

花塚

は?

白胡

人殺しの花塚くんなら簡単でしょ?

白胡

なにで殺す?

白胡

バール?包丁?

白胡

あ、ゴルフクラブもあるよ

床に置いたスポーツバックの中から

次々と凶器を取り出す白胡。

花塚

……

花塚

なんで殺すんですか?

白胡

え?

花塚

理由ぐらい

花塚

教えてくれてもいいと思うんですけど

白胡

うーんと…

白胡

実はねぇ、私

白胡

こいつと長年不倫してたんだけど

白胡

何年経っても奥さんと別れてくれなくって

白胡

本当は奥さんを殺そうと思ったんだけど…

白胡

奥さんを誘拐するのはちょっと面倒だったから

白胡

まぁ殺すのはコイツでいっかって

そう言って白胡はニッコリと笑った。

花塚

……

花塚

そうですか…

花塚

そんなクソ下らない理由で

花塚

他の人も殺したんですか?

白胡

下らないって言わないでよ

白胡

人を殺す理由なんて

白胡

それで十分でしょ?

花塚

……

白胡

あ、もしかして自分は違うって言うタイプ?

白胡

そうだよねぇ

白胡

胸糞悪い奴を殺してる花塚くんは

白胡

正義のヒーローみたいな気持ちで人を殺してたり?

白胡

あははっ

白胡

それもいいねぇ

白胡

じゃあ、私がコイツを殺す理由は

白胡

不倫なんかするクソ野郎を

白胡

この世界から消すってことにしようかなぁ

そう言って白胡は

ベッドに横たわる中島の顔を覗き込む。

花塚

白胡さん

白胡

なに?

白胡

…え?

振り返った白胡が見たのは、

白胡のスマホを持った花塚の姿だった。

白胡

え、ちょっ

白胡

いつの間に

花塚

もしかして

花塚

白胡さんってシリアルキラーだったりします?

白胡

ちょ、返し痛っ

花塚は駆け寄って来た白胡を容赦なく蹴り飛ばし、

慣れた手つきでスマホを操作する。

画像ファイルの中には

無惨に殺された男性たちの写真が

数百枚と保存されていた。

花塚

ビンゴッ

花塚

石井辰徳

花塚

村木徹

花塚

中野一也

花塚

その他諸々

花塚

オッサンばっか殺してるんですね

花塚

趣味悪っ

白胡

な、なによ

花塚

こいつら、全員と肉体関係を持ったんですか?

白胡

……

花塚

沈黙は肯定と取りますよ?

白胡

……

花塚

あははっ

花塚

そんな怖い顔しないで下さいよ

白胡

……

花塚

飽きたら捨てるんじゃなくて

花塚

殺すなんて

花塚

白胡さんって

花塚

最低ですね

白胡

うるさい!!

白胡

偽善野郎!

白胡

スマホを返せ!!

ガシャンッ!

振り下ろされたゴルフクラブを避けると

背後にあったドレッサーの鏡が叩き割られる。

花塚

そんな貴女と俺が一緒

花塚

似た者同士なわけないでしょ

ザクッ

白胡

あ…

深々と脇腹に突き刺さった包丁。

白胡

い、痛い…痛い!!

花塚

でしょうね

包丁が抜き取られると

傷口から血が噴き出す。

花塚

ほら、止血しないと

花塚

死んじゃいますよ?

ニヤリと笑って花塚が言うと、

白胡は慌てて傷口を押さえる。

しかし、

指の間から血が溢れて止まらない。

白胡

やだ…

白胡

やだっ

白胡

死にたくない

白胡

死にたくないの

足を掴もうとした白胡の手を避ける。

白胡

ま、待って!

白胡

花塚くんがやったことは警察に言わないし

白胡

コイツを殺してくれなんて言わないから

白胡

お願い

白胡

お願い!助けて!

白胡

何でも言うことを聞くから

白胡

何でもしてあげるから!!

花塚

……

ザクッ

白胡

きゃぁ!!

白胡

なんで…

白胡

どうして…

花塚

驕りは身を滅ぼすってことです

花塚

では

バタンッ

白胡

待って!!

ドアを開けて追いかけるものの、

横腹と右手の傷が痛んで

上手く走れなかった。

階段を降りていく花塚の足音は

どんどん遠退いて行き、

白胡は階段に座り込む。

白胡

なによ…

白胡

なによ…

白胡

……

白胡

くそっ!!!

ガンッ!

階段を叩くと

背後で足音がした。

白胡

振り返った白胡が見た人物は―――。

白胡

!!

自分の心を支配するのは、

いつも恐怖だった。

学校が怖い。

親が怖い。

クラスメイトが怖い。

先生が怖い。

勉強が怖い。

通学路が怖い。

横を走り抜ける車が怖い。

坂道を猛スピードで下ってくる自転車が怖い。

横断歩道が怖い。

その手前にいる黄色い旗を持った老人が怖い。

にこやかに話しかけて来る知らないおばさんが怖い。

怖い。

怖い。

怖い。

何が怖いのかと聞かれても、

上手く説明出来ず、

父親には根性が無いと言われ、

空手や剣道、柔道と

あらゆるものを教え込まれた。

でも、怖かった。

全てが怖かった。

結局何をしても、

自分の心から

恐怖を払拭することは出来なかった。

例え、

恐怖を覚える対象を

消したとしても。

怖かった。

失うことが。

怖かった。

居なくなることが。

こうやって抗ったとしても

何の意味も無いとわかっているけれど。

心を覆いつくす恐怖から逃れるため、

また、

恐怖の対象を

消した…。

月城

ああ…

月城

それでも…

月城

…怖い…

 

昨夜遅く

 

閉館したホテルから炎が出ていると消防に通報がありました

 

火はおよそ二時間後に消し止められましたが

 

ホテルの中から数名の死体が見つかったことから

 

警察は死体の身元を特定すると共に

 

このホテルが何らかの事件に使われていたと見て捜査を進めています

【数日後】

花塚

おはようございます

月城

!!

月城

お、おはようございます

月城

え、あ、なん、で?

花塚

あれ?

花塚

人事部の人から何も聞いて無いんですか?

月城

は、はい

花塚

ほら、白胡さんと中島さんが行方不明になってるじゃないですか

月城

え、あ、はい…

月城

はい?

月城

そ、そうなんですか?

花塚

月城さん知らないんですか?

花塚

社内でも話題になってるんですよ

月城

はぁ…そうなんですか

花塚

二人は不倫関係にあって

花塚

愛の逃避行じゃないのかって

花塚

そんな下らない話しまで出てる始末です

月城

はぁ…

花塚

そんなこんなで

花塚

俺の異動は春まで延期になりました

月城

……

月城

延…期…

花塚

あれ?

花塚

嬉しくないんですか?

月城

う、嬉しい…です、けど…

花塚

ということで

花塚

引き続きよろしくお願い致します

月城

は、はぁ…

花塚

あ!

花塚

ゴミが一杯になってるじゃないですか!

月城

え?あ…

花塚

俺、捨ててきますよ

月城

い、いいよ、後で僕が捨てに行くから

花塚

まぁまぁ

花塚

このままにしてたら

花塚

またゴキブリが出ますよ?

月城

!!

月城

そ、それは嫌だな…

花塚

ですよね?

花塚

ってことでサクッと捨ててきますね

そう言って花塚がゴミ袋を覗き込むと、

そこに

端が赤く染まった

白地に

立体的な花の刺繍が施された

あのお守りが捨てられていた。

花塚

……

月城

どうしました?

花塚

…いいえ

花塚

なんでも

花塚は口元に薄っすらと笑みを浮かべて

ゴミ袋を閉じると、

颯爽とゴミを捨てに行った。

花塚

(そう)

花塚

(俺と似た者同士なのは…)

花塚

(あの女じゃなくて)

花塚

(きっと月城さんなんだ…)

END

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