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ライブツアーの成功を祝って、居酒屋にきていた。 ビールジョッキが次々と空になり、美味しい料理がテーブルを彩る。

こさめ

っはー!やっぱライブ後のお酒はいつもよりおいしいね!

こさめが上機嫌で顔を赤くしている。その隣で、いるまはすでに顔色が悪かった。普段からそこまで酒に強くない彼は、ハイボールを数杯飲んだあたりから、どこかぼんやりとしていた。

LAN

いるま、大丈夫か?結構きてるだろ?

流石リーダー。心配そうにLANが声をかける。

いるま

へ、へーき…

いるまは力なく笑うが、その額にはうっすらと汗がにじんでいる。

こさめ

まだいけるっしょ!いるまくん、今日はいっぱい飲む日だぞー!

無邪気にそう言って、こさめが新しいレモンサワーを差し出す。いるまは反射的にそれを受け取ると、ぐいっと一口飲んでしまった。その瞬間、彼の顔色がさらに悪くなった。

いるま

あ…、ちょっと…

いるまが口元を押さえる。その異変に最初に気づいたのは、向かいに座っていたなつだった。

なつ

ちょっ、いるま!きついな

そう叫んだ時にはもう遅かった。いるまはガタッと椅子から立ち上がると、そのまま口元から胃の中のものを盛大に吐き出してしまった。それは彼が座っていた席の真横、ちょうど通路とテーブルの間に広がり、琥珀色の液が床に染みていく。

店内にいた他のお客さんたちが、一斉にこちらに視線を向けた。 メンバー全員の顔から、一気に血の気が引く。

LAN

いるま!?大丈夫、気持ち悪かったな

LANが慌てて駆け寄り、背中をさする。いるまはえずきながらも、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。その顔は真っ青で、目には涙が浮かんでいる。

いるま

ぅ…、ごめ…なさ…い…

か細い声で謝るいるまに、みことが素早くティッシュを持ってきてくれた。 店員もすぐに駆けつけ、片付けを手伝ってくれる。

みこと

大丈夫だよ、いるまくん

みことが、いるまの肩をポンと叩いた。いつもに増して、優しい声色だった。

LAN

トイレ、行ける?ちょっと落ち着こう。

LANが腕を貸し、いるまはふらつきながらも立ち上がった。 その間、すちとこさめが店員に何度も頭を下げ、みことは片付けを手伝っていた。

トイレから戻ったいるまは、まだ顔色は悪かったが、少し落ち着いたようだった。 メンバーは彼を囲んで、改めて大丈夫かと声をかける。

いるま

ごめん、みんな…せっかくの打ち上げなのに…

いるまが申し訳なさそうに頭を下げた。

なつ

馬鹿だな、いるま。そんなのどうってことないって。

なつが笑いながら言う。

こさめ

そうだよ、いるまくんが元気ならそれでいいんだから。

こさめがにこやかに続けた。

すち

たまにはこういうこともあるよ。
むしろ、良い思い出になったんじゃないか?

すちが冗談めかして言うと、いるまは小さく吹き出した。 LANとみこともうんうんとうなずいている。

LAN

今日はもう帰って休もうな。明日、また美味しいもん食べに行こうぜ。

LANの言葉に、いるまは静かにうなずいた。居酒屋を出る頃には、空には満月が輝いていた。 この失敗は彼らの絆を一層深める、少しほろ苦い思い出として心に残った

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