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大好きすぎる…嘔吐もいいけど嘔吐恐怖症も好きなんだよね((
ライブを終え、束の間の休息。メンバーみんなで気分転換にと、ショッピングセンターへ遊びに来ていた。
なつは、嘔吐恐怖症という、誰にも打ち明けられない悩みが深く根を張っていた。
特に、体調が悪い人が近くにいるとか、自分が吐き気を感じることへの恐怖はハンパなかったらしい。少しでも胃に変な感じがすると、パニックになりそうになるって。 今日も、朝から胃が締め付けられるみたいで、内心ではずっと緊張していたんだ。
こさめ
いるま
その時だった。
俺たちが通りかかった店の前で、急にざわめきが起こった。何事かと視線を向けると、幼い子供がしゃがみこんでいて、そのすぐ横に、嘔吐の痕が見えた。
その光景が、なつの視界に入った瞬間だった。
なつ
なつの顔から、さっきまでの血の気がみるみる引いていく。 呼吸が浅くなり、震え始めたのが俺にも分かった。 目を見開き、その場から動けなくなっている。完全に、パニック状態だった。
LAN
隣にいたみこともすぐに状況を察し、なつを俺の反対側へと誘導するように促した。 こさめとすちは、周りの人がなつに気づかないよう、 さりげなく俺たちの周りに壁を作るように立った。
いるま
なつは、俺たちの腕の中に顔を埋めるようにして、小さく震え続けていた。
なつ
俺たちは、なつを人目につかない場所、非常階段の踊り場へと急いで連れて行った。 そこは少し薄暗く、人気もない。
LAN
みことといるまも、なつに寄り添い、大丈夫だと声をかけ続ける。すちは冷たいペットボトルを、
しばらくして、なつの呼吸は少しずつ落ち着いてきた。 それでも、彼の顔は真っ青で、焦点が定まっていなかった。
なつ
いるま
こさめ
LAN
なつは、小さく頷いた。 彼の瞳には、まだ恐怖の色が残っていたけれど、俺たちを見つめるその目には、 確かに安堵の色が浮かんでいた。
その日のショッピングは、途中で切り上げた。 でも、俺たちは何も言わなかった。 ただ、なつのそばにいること、それが今の俺たちにできる一番大切なことだと分かっていたから。 俺たちの歌声が、なつの心を支える光になってくれることを、心から願うばかりだった。