駅の反対側に、ちょっと大きい、池もあるような公園がある。
僕らは池をぐるりと回る遊歩道を歩いていた。
knmc
…?

kid
手、つないでくれないの?

ちょっとだけ恥ずかしかったけど、僕は差し出された手に左手を重ねた。
kid
なんか不思議な感じ。僕ら、数日前までぜんぜん知らない同士だったのにね。

knmc
晴くんはなんで僕のこと好きになったの?

kid
なんで…かぁ。好きになるのに理由とかある? 話してて楽しいなぁ、このまま、また他人に戻っちゃうのヤダなぁって、あのとき思ったんだよね。

kid
…僕じゃだめ?なんて言っちゃったときさ、まずは友達からとかだろ、って思ったんだけどさ。たぶん連絡先聞いてても、そのまま連絡できずに終わっちゃってた気がするんだ。だからまあ、よかったのかな。これで。

kid
刀也くんは? なんで僕ならいいよって言ってくれたの?

そう聞かれて僕は言葉に詰まる。たぶん一目惚れだったんだなんて…絶対言ってやらない。
knmc
………。教えないッ。

kid
えー、ずるくなーい? 僕にばっか言わせてさー。
じゃあこれは答えてよ。僕のこと好き?

knmc
…好き。

kid
声ちっちゃいー。あと目を見て言ってー。

knmc
なんで晴くんはすぐそうやってからかうのっ?

kid
照れてる刀也くんが可愛いから。

knmc
じゃあもう絶対言わない。

kid
ごーめーん。可愛いとかもう言わないからー。

僕は歩くのを止めて、晴くんの方へ向きなおった。晴くんも微笑みながらこっちを見ている。
knmc
好きだよ。

kid
僕も好き。大好き。
