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第1話 - あ

2023年04月21日

#恋愛

結城真矢

チヨメ

オイチさん？今息子は何才だったかしら？

オイチ

こんにちは、チヨメさん

オイチ

息子ですか？今7才ですね

チヨメ

それで、習い事は何かしているのかしら？

オイチ

習い事？

オイチ

あーそれなら、ここ3カ月くらいはそろばん塾に行ってますね

チヨメ

そろばん塾？

オイチ

そうです、私が子供のころにやっていたというのもありまして

オイチ

私も今でもそろばんは使ってますね

オイチ

それを見て興味を持ったのか、結構真剣にやってますね

オイチ

遅れずにちゃんと通ってるし、見に行っても黙々とやっているみたいで

オイチ

いいんじゃないですかね？

チヨメ

いいんじゃないですって？

チヨメ

冗談はよしなさいよ

オイチ

え？

オイチ

そろばんって何かまずいんでしたっけ...？

チヨメ

まずいに決まってるじゃない！

チヨメ

うちはね、由緒正しき武家の家系なのよ？

オイチ

はい？

チヨメ

はい？じゃないのよ

チヨメ

あなた私の息子と結婚するときにさんざん言ったじゃないの！

チヨメ

私たちの家は代々、冊麻藩の藩主の家系だって言ったじゃないの！

チヨメ

だからそのご先祖様に恥をかかせるようなことは決してしないでって言ったじゃない！

オイチ

は、はい

オイチ

でも、それとそろばんがどんな関係があるんでしょうか...

チヨメ

呆れたわ、あなたには

チヨメ

計算塾なんて、女々しいことこの上ない！

チヨメ

すぐに違うのに変えなさい

チヨメ

剣道か、柔道か

チヨメ

百歩譲ってスポーツ系なら認めるわ

オイチ

でも、もうそろばんは結構気に入っているみたいですし

オイチ

今から無理に習い事を変えるのはかわいそうというか...

チヨメ

これも全部あなたの責任なのよ？

チヨメ

あなたが解決しなさい

オイチ

そんな...

～翌日～

チヨメ

オイチさん、昨日お話ししたけど、どうなったかしら？

チヨメ

息子さんには話したんでしょうね？

チヨメ

あのね、子供がかわいそうとかそういう事を言っている場合じゃないのよ？

チヨメ

これは私たち一族にとってはこの上なく大事な事なの

チヨメ

分かってるのかしら？

チヨメ

あなたはその一族の妻としているのよ？その役目は果たしてもらわないと許されないの

チヨメ

その自覚を持てないなら妻と舌は失格

チヨメ

ちょっと！返事は？すぐに返事をする！

オイチ

す、すいません、買い物帰りの運転中でして...

オイチ

後程連絡します

チヨメ

はい？

チヨメ

何様なの？あなた

チヨメ

年功序列って言葉をご存じでない？

チヨメ

車を運転しているから何？

チヨメ

そこらへんにでも一回止めたらいいじゃないの

チヨメ

あのね、私たちの家をそんじょそこらの家と思わないでね

チヨメ

あなたはには義務感や責任感が全く見られない

オイチ

すいません...

チヨメ

で？子供に入ったの？そろばん教室なんて女々しい習い事はやめろって

チヨメ

ちゃんと言ったんでしょうね？

オイチ

そ、それは...

オイチ

子どもは今から帰ってきますので、その時にでも...

チヨメ

あら？もう１６時だけど？

チヨメ

お友達と遊んでいるにしては、ずいぶんと遅いようだけど？

チヨメ

まさか、その程度の子供のしつけもできないのかしら？

オイチ

そ、それはその

オイチ

実は、そろばん教室に今行っていて...

オイチ

後３０分後には家に帰ってきます

オイチ

その時に話しますので

チヨメ

なんですって？

チヨメ

あれだけ私があなたに親切にそうするべきだと教えてあげたというのに？

チヨメ

結局あなたは何にもわかっていなかったというわけ？

チヨメ

つくづく呆れたわ

チヨメ

今すぐにでも私たちの家と縁を切ってほしいくらいだわ

オイチ

は、はい？どういうことですか？

チヨメ

そのままの意味に決まっているじゃないの！

チヨメ

あなたは私の家系にはふさわしくない

チヨメ

だから今すぐにでも離婚して、家を出ていってほしいと言っているのよ

チヨメ

あなたは私たちの汚点よ、汚点

オイチ

ちょっと...待ってくださいよ！

オイチ

流石にそれはひどいですよ！

オイチ

はっきり言いますけど、なんで親の立場からそこまで指示されないといけないんですか？

オイチ

それに息子もどうなるんですか？まだ小学２年生なんですよ？

チヨメ

うるさいわね！なんにもできないくせに！

チヨメ

あなた？つくづく自分の立場というものを理解していないのね

チヨメ

いい？あなたの立場、行ってしまえば身分を考えると

チヨメ

とてもとても私たちの物言いを否定する権利なんてないのよ？

チヨメ

あなたはね、しょせんその程度の地位や価値しかないの

チヨメ

これだからあなたみたいな下級の人間は嫌いなの

チヨメ

なーんにも考えない、教養も全くない、つくづく下品

チヨメ

だからあなたが嫁ぐことにも私は猛反対したのよ

チヨメ

分かってるの？あなたはクズなのよ

チヨメ

我が家系に絶対釣り合わない、畜生、家畜よ

チヨメ

口答え？ならあなたがとっとと荷物をまとめて出ていけばいいんじゃないの？(笑)

オイチ

そんな...あんまりですよ！

チヨメ

知らないわよ、元々あなたが入り込んできたんじゃない、私たちの所に

チヨメ

で、不満があるからと言って今反発している

チヨメ

これが、この上なく自分勝手で愚かな事ってことがまだわからないの？

オイチ

それは...

チヨメ

もう決めたわ、今までは情けをかけてあげていたけど

チヨメ

もうあなたを妻とは認めないわ

チヨメ

せいぜい下女と言ったところね

チヨメ

いいこと？あなたの立場はこの上なくしたということを自覚することね

チヨメ

この家畜が、恥を知りなさい

～その日の夜～

トシゾウ

今帰り道

トシゾウ

１５分で着くから

トシゾウ

そういえば、例のそろばん塾の件だけど...

トシゾウ

またお袋から何か言われたりしたか？

オイチ

ごめん、もう無理かも...

トシゾウ

どうした！

トシゾウ

...おそらくお袋がかなりひどい事を言ったんだろうな

トシゾウ

本当にすまん...

トシゾウ

もう連絡は断った方がいいかもな

トシゾウ

その方が絶対いい

オイチ

で、でも...

オイチ

どうしても悲しくて悔しくて

オイチ

とても辛くて...

トシゾウ

そうだよな、気に食わないよな

トシゾウ

...なら、1つ手段があるんだ

トシゾウ

お袋をこの上なく黙らせる手段があるんだ

トシゾウ

多分うまくいく

オイチ

ど、どういうこと？

トシゾウ

後で話す

トシゾウ

俺の方で進めるし、心配しなくていい

～3日後～

トシゾウ

お袋、お久しぶり

トシゾウ

元気か？

チヨメ

トシゾウ！聞いて！

チヨメ

あなたの奥さん、全てにおいてあり得ないわ！

チヨメ

もうあの女とは婚姻を解消することね

チヨメ

新しい人を、私がちゃんと見つけてあげるから

トシゾウ

そ、そうなのか？

トシゾウ

それとは別に、今日は大事な話があったんだ

チヨメ

大事な話？

トシゾウ

そうだよ

トシゾウ

俺らの家は、代々冊麻藩藩主の家系なんだろ？

チヨメ

えぇ！当然よ！

トシゾウ

そこでなんだが、1ついいチャンスがあってさ

トシゾウ

その家の家系をちゃんとした大学の研究の元分析し、保証書を得るという仕組みがあってさ

トシゾウ

それが今タイミングよくてできるみたいでさ、やってみないか？

チヨメ

そんなことする必要はないわ

チヨメ

私たちが代々冊麻藩の家系であることは疑うまでもないわ

トシゾウ

でもよ！今回でそれを証明して、保証書を得るだろ？

トシゾウ

そうしたら、まず博物館や、学者がうちに来てくれる

トシゾウ

より家のルーツや、伝承を知ることができるんだ

トシゾウ

そうしたらそれはこの上ない文化財だ

トシゾウ

いい機会なんだ、より冊麻が未来に続くきっかけになるんだよ！

トシゾウ

いい話だろ？な？

チヨメ

確かに...

チヨメ

わが家系をより確固なものとするチャンス...

チヨメ

いいわね！是非やりましょう！

チヨメ

これで、あのバカ女もわかってくれるでしょうねぇ

トシゾウ

と、とりあえず詳しい日程とかはまた後で

チヨメ

ふふふ、首を長くして待ってるわ♪

～その後～

トシゾウ

お待たせ、大方話してきた

トシゾウ

向こうもいいって言ってくれた

トシゾウ

調べてくれるところによると、１～2週間で解明できるらしい

トシゾウ

その結果を待とう

オイチ

うん...

オイチ

でも、大丈夫なの？

オイチ

これでもしちゃんとした家系だったってなったら私...

トシゾウ

いや、絶対ない

オイチ

そ、そうなの？

トシゾウ

あぁ、万に一つもない

トシゾウ

俺が高校生の頃、あまりにもお袋のイビリがひどくてさ

トシゾウ

もう頭にきたもんだから、冊麻藩について目一杯調べたんだ

オイチ

うん...

トシゾウ

でも、何にもなかった

オイチ

なかった？

オイチ

じゃあ、お義母さんは何であそこまで信じてるの？

トシゾウ

分からない

トシゾウ

一応おじいちゃんも同じように冊麻を誇りに持っていたが...

トシゾウ

あまりにも信ぴょう性がないんだよ

トシゾウ

なんなら地元の博物館や歴史館にまで足を運んだ

トシゾウ

結構調べてもらったが、冊麻は実在しない、これは架空のものだよ

トシゾウ

とみんなに言われたんだ

トシゾウ

その時はさすがにお袋が怖くて言えなかったがな

オイチ

そうなんだ...

トシゾウ

だから心配するな、何とかなるさ

～1週間後～

トシゾウ

お袋、どうだ？

トシゾウ

そろそろ鑑定書が届いたんじゃないか？

チヨメ

トシゾウ、久しぶりね！

チヨメ

鑑定結果？

チヨメ

ま、まだかしらねぇ～

トシゾウ

そうなのか？

トシゾウ

俺の所にはもう届いたんだがなぁ...

チヨメ

へ？

トシゾウ

あー、俺の所にも写しが届くようにしていたんだ

トシゾウ

だから、俺は結果を知ってる

トシゾウ

冊麻藩が、架空の物だった、実在していないってことがな

チヨメ

そんなの嘘に決まってるわ！！調べがでたらめなのよ！！

チヨメ

あの先生は偽物よ！！もっとちゃんとした人を呼んできて！

トシゾウ

ちゃんとした人？

トシゾウ

言っておくが、あの人は先祖代々の家系や家柄を調べることに関しては

トシゾウ

日本でも最高権威の人なんだぞ？

トシゾウ

あの人よりちゃんとした人と言われてもなぁ

トシゾウ

あ、今日そっちに説明が行くらしい

トシゾウ

その最高権威の先生がしてくださるそうだ

チヨメ

うるさい！！こんな結果私は認めないわ！！

トシゾウ

まぁまぁ...実際俺も先生から少し話は聞いたんだが...

トシゾウ

こういう結果は大して珍しい物でもないんだとさ

トシゾウ

よくある事で、実際に先生の今までの鑑定結果の9割はこんな感じらしい(笑)

トシゾウ

仕方ないじゃないか

チヨメ

そんな有象無象と冊麻を一緒にしないで！！

～その日の昼過ぎ～

オイチ

こんにちは、お義母さん

オイチ

結果は聞きましたし

オイチ

そちらも先生からの報告や説明は終わったそうですね

オイチ

なんでも、先生の前でだいぶ暴れたとか...

オイチ

そんなに結果が気に食わなかったんですか？

チヨメ

うるさいわね...あんたには関係ないでしょ！？

オイチ

関係ない？

オイチ

あれだけ私を架空の家柄でいじめにいじめたくせに？

オイチ

人を人と見ない言葉を浴びせたくせにですか？

オイチ

あなたはもう血筋も家柄も何にもない

オイチ

ただのそこら辺の人と何にも変わらないんですよ？

チヨメ

そ、それは...

オイチ

ましてや自分のしたことを謝ることすら出来ない

オイチ

血筋以前にあなたという人間が最低ですね

オイチ

本当に最低です

オイチ

もう二度と私たちの家庭に指図されたくないし

オイチ

二度と会いたくありません

オイチ

金輪際、連絡は全て切らせていただきます

チヨメ

ば、バカなこと言わないでよ！

オイチ

切ることはトシゾウさんも同意ですので

オイチ

今から切りますので

チヨメ

ま、待ってよ...

チヨメ

私、あの件で友達や親戚からも白い目で見られて...

チヨメ

今孤立してるのよ...だから助けてほしいの

オイチ

そうですか

オイチ

あんなに家畜だのなんだのって罵っていた人に助けを求めるんですか？

オイチ

惨めですね

チヨメ

そんな、謝るから...

チヨメ

せめて連絡だけは...

オイチ

知りませんよそんな事

オイチ

結局は自分が蒔いた種で苦しんでいるだけじゃないですか

オイチ

私なんて結婚してからこの8年間、ずーっといじめられっぱなしだったんですよ？

オイチ

助けるわけないじゃないですか

オイチ

私の８年間いじめられたのに比べたら、お義母さんのなんて優しい方ですよ(笑)

オイチ

では、連絡はすべて拒否しますので、さようなら

チヨメ

待って！！助けてよ！！今までのことは全部謝るから！！

～後日談～

オイチ

その後のお義母さんは、親戚からの話によると大分おとなしくなったとか

オイチ

本人曰く友人らも疎遠となり、反省はしている模様です

オイチ

息子ですが、そろばんの腕は着々と上がり

オイチ

本人の目標はなんと段認定の合格との事

オイチ

まだ小３なのに、大きな目標を持ったものです...(笑)

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結城真矢

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