姿が戻らず皆にも会えないから本を 読んでいるとノック音が聞こえてきた
透
凪斗(ナギト)
ガチャッ
透
凪斗(ナギト)
何時になく透の目は輝いていて 嬉しそうだった
透
俺は言葉を失った。慊人のすることは 想像が出来るから
でも透の顔を見てると俺が悲しい顔を する訳にも行かず微笑んだ
凪斗(ナギト)
夾が どうか無事に帰って来れるように 心の底から願った
透
透
凪斗(ナギト)
透
すると透も俺と同じように祈りだした
その願いは夾を心の底から思う気持ちが 込められていて俺は嬉しくなった
慊人
慊人
此奴なんか怖くないはずなのに どうしても体は動かなくて
叩かれると分かってるのに 目を瞑ることしか出来なかった
でも泣きそうなくらい優しい温もりが 俺を包んでくれた。慊人から守るように 光が俺の周りを囲んだ
慊人
慊人
慊人
その温かさは俺の存在そのものを 肯定してくれる気がして無意識に 涙を流した
俺の願いを届けに行った蝶は 数時間すると戻ってきた
凪斗(ナギト)
透
凪斗(ナギト)
透
その正直な気持ちが蝶にも届いたのか 透の周りをパタパタと飛んでいた
ガチャッ
夾
透
少し油断していたせいか夾が 来ていることに気づかなかった
透
透
透は何とか誤魔化そうとしてくれている けど夾が十二支な限り通じないだろう
夾
透
凪斗(ナギト)
俺もバレたのは しょうがないと 受け入れるしかなく夾の目を見つめた
凪斗(ナギト)
夾
やはり少しの動揺があった。 無理もないだろう
凪斗(ナギト)
透
夾
心配させないように笑っていたけど その笑顔は どこか悲しげだった
透
夾
どうしたのか俺の肩に寄りかかってきた。 こんな事は珍しく透と顔を見合せて 小さく笑った
透
凪斗(ナギト)
透が居なくなって数分もすると 夾は眠ってしまった。 それほど疲れたのだろう
俺も少しだけ夾の表情が明るくなって いたのを見て安心したのか直ぐに 寝てしまった
コンコンッ
由希
ガチャッ
由希
由希
壁に何かが ぶつかった音がして 目を覚ました
凪斗(ナギト)
由希
何事も無かったかのように由希は微笑んで いたが音のした方へ目を向けると夾が壁に のめり込んでいた
凪斗(ナギト)
夾
由希
由希は夾が見えてないのか 何の反応もしなかった
凪斗(ナギト)
由希
凪斗(ナギト)
夾
由希
夾
2人は喧嘩をしそうだったけど 俺は違う嫌な雰囲気を感じた
だから不幸から守ってくれるように 願いを込めて蝶を外に送った
2人は喧嘩をやめて不思議そうに こちらを見つめていた
凪斗(ナギト)
由希
夾
声が聞こえて外に行ってみると蝶々さんに 守られた紅葉くんが座り込んでいた
そこには慊人さんも居て憎しみに 塗れた目をしている
透
透
慊人
慊人
慊人さんが話す言葉は私の胸に酷く 突き刺さる
紅葉
慊人
慊人
その笑みは凪斗くんを真似てか とても似ているように感じた
慊人
慊人
その言葉には目に見える悪意が 込められていて私は言葉を失ってしまった
慊人
慊人
慊人
その言葉を聞いて私は凪斗くんの 悲しそうに浮かべた笑みを思い出した
慊人
慊人
そんなのは優しい凪斗くんが 許すはずがない
慊人
慊人
慊人
私の目には慊人さんが1人になるのを 恐れている子供のように見えた
慊人
透
透
十二支の皆さんは苦しそうだった。 それを見ている凪斗くんも 苦しそうな顔をしていた
慊人
慊人
慊人
その言葉は正しかった。他人である私が 出しゃばっていい訳がないのだから
でも正しさよりも私は自分の目で 見てきた事を無視したくは無い
透
慊人
慊人
蝶々さんは それを否定するように光り輝き 慊人さんを私に近づかせようとは しなかった
透
透
透
慊人
咄嗟に口に出していて自分でも驚いた
慊人
紅野
その人は何処か凪斗くんと同じような 悲しい雰囲気を感じた
慊人
慊人
慊人
紅野
私の目には鳥の方が凪斗くんの代わり として慊人さんの元へ居るように感じた
慊人
慊人
その事に理解できなかった。 凪斗くんは本家から逃げ出せたのに
慊人
慊人
慊人
慊人さんが去ると緊張していたのか 足の力が抜けて座り込んでしまった
蝶々さんも慊人さんが居なくなると同時に 凪斗くんの元へ戻っていった
凪斗(ナギト)
凪斗(ナギト)
コメント
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管理人さんのどの作品も大好きです これからも応援してます 体調に気をつけて頑張ってください できたらでいいのですが「性癖歪んだお兄さん」の続きを書いて欲しいです