姿が戻らず皆にも会えないから本を 読んでいるとノック音が聞こえてきた
透
入っても良いですか?
凪斗(ナギト)
ガチャッ
透
凪斗(ナギト)
良いの?
何時になく透の目は輝いていて 嬉しそうだった
透
お呼ばれされたんですよ!!
俺は言葉を失った。慊人のすることは 想像が出来るから
でも透の顔を見てると俺が悲しい顔を する訳にも行かず微笑んだ
凪斗(ナギト)
夾が どうか無事に帰って来れるように 心の底から願った
透
ですね
透
どうしたんですか?
凪斗(ナギト)
おまじないのようなもの
だよ
透
すると透も俺と同じように祈りだした
その願いは夾を心の底から思う気持ちが 込められていて俺は嬉しくなった
慊人
慊人
此奴なんか怖くないはずなのに どうしても体は動かなくて
叩かれると分かってるのに 目を瞑ることしか出来なかった
でも泣きそうなくらい優しい温もりが 俺を包んでくれた。慊人から守るように 光が俺の周りを囲んだ
慊人
慊人
凪斗に守られてんだよ"!!!
慊人
守るのかよっ"...!!
その温かさは俺の存在そのものを 肯定してくれる気がして無意識に 涙を流した
俺の願いを届けに行った蝶は 数時間すると戻ってきた
凪斗(ナギト)
透
凪斗(ナギト)
届いたようだよ
透
有難うございます!蝶々さん!
その正直な気持ちが蝶にも届いたのか 透の周りをパタパタと飛んでいた
ガチャッ
夾
透
少し油断していたせいか夾が 来ていることに気づかなかった
透
この方は...えーっと、、
透
道端で偶然 会いました!!
透は何とか誤魔化そうとしてくれている けど夾が十二支な限り通じないだろう
夾
透
凪斗(ナギト)
大丈夫だよ
俺もバレたのは しょうがないと 受け入れるしかなく夾の目を見つめた
凪斗(ナギト)
いけないよ。分かったね?
夾
やはり少しの動揺があった。 無理もないだろう
凪斗(ナギト)
透
蝶々さんが不幸から守って
くれるんじゃ、、
夾
怪我しちまってな...
心配させないように笑っていたけど その笑顔は どこか悲しげだった
透
夾
このままでいいか、?
どうしたのか俺の肩に寄りかかってきた。 こんな事は珍しく透と顔を見合せて 小さく笑った
透
してきますね
凪斗(ナギト)
透が居なくなって数分もすると 夾は眠ってしまった。 それほど疲れたのだろう
俺も少しだけ夾の表情が明るくなって いたのを見て安心したのか直ぐに 寝てしまった
コンコンッ
由希
ガチャッ
由希
由希
寝てるんだ...バカ猫ッ!!
壁に何かが ぶつかった音がして 目を覚ました
凪斗(ナギト)
由希
何事も無かったかのように由希は微笑んで いたが音のした方へ目を向けると夾が壁に のめり込んでいた
凪斗(ナギト)
夾
由希
由希は夾が見えてないのか 何の反応もしなかった
凪斗(ナギト)
いっているからね、
由希
せいで...
凪斗(ナギト)
夾
いいんじゃねぇの?
由希
困ってるんだろ?バカ
なのか?
夾
2人は喧嘩をしそうだったけど 俺は違う嫌な雰囲気を感じた
だから不幸から守ってくれるように 願いを込めて蝶を外に送った
2人は喧嘩をやめて不思議そうに こちらを見つめていた
凪斗(ナギト)
悪いんだけど少し外を
見てきて貰えない?
由希
夾
声が聞こえて外に行ってみると蝶々さんに 守られた紅葉くんが座り込んでいた
そこには慊人さんも居て憎しみに 塗れた目をしている
透
透
慊人
慊人
酷い..酷い..君、やな人だね
慊人さんが話す言葉は私の胸に酷く 突き刺さる
紅葉
慊人
慊人
あげたんだよ?
その笑みは凪斗くんを真似てか とても似ているように感じた
慊人
取られようと君に...君に
伝えたいことがあるんだ
慊人
その言葉には目に見える悪意が 込められていて私は言葉を失ってしまった
慊人
思ってる?今すぐ その思い
やがりを恥じるがいい...
慊人
慊人
幽閉だよ?
その言葉を聞いて私は凪斗くんの 悲しそうに浮かべた笑みを思い出した
慊人
一生
慊人
僕の傍で生きて....死ぬ
そんなのは優しい凪斗くんが 許すはずがない
慊人
速度で生きていくんだ....
慊人
奪われることもなく
慊人
変わることなく...
私の目には慊人さんが1人になるのを 恐れている子供のように見えた
慊人
不変...でも お前は仲間に
入れてやらないよ
透
幸せですか、?
透
お家に戻ることが...本当に..
十二支の皆さんは苦しそうだった。 それを見ている凪斗くんも 苦しそうな顔をしていた
慊人
のは辞めてくれないか...
慊人
所詮 生き方が違うんだ...
慊人
決められるほど安易なもの
では無いんだよ...
その言葉は正しかった。他人である私が 出しゃばっていい訳がないのだから
でも正しさよりも私は自分の目で 見てきた事を無視したくは無い
透
十二支の皆さんの__何?
慊人
等しい存在....
慊人
魂の主だよ
蝶々さんは それを否定するように光り輝き 慊人さんを私に近づかせようとは しなかった
透
神様は優しく微笑んで
下さる
透
願っている
透
させたりはしない...
慊人
咄嗟に口に出していて自分でも驚いた
慊人
紅野
何処へ行ったのかと....
その人は何処か凪斗くんと同じような 悲しい雰囲気を感じた
慊人
挨拶しておきたかったんだ
慊人
慊人
彼は草摩紅野。鳥だよ
紅野
私の目には鳥の方が凪斗くんの代わり として慊人さんの元へ居るように感じた
慊人
僕の元へ帰ってくる....
慊人
出来ないから...
その事に理解できなかった。 凪斗くんは本家から逃げ出せたのに
慊人
壊そうとしないで....
慊人
大人しくしていて
慊人
慊人さんが去ると緊張していたのか 足の力が抜けて座り込んでしまった
蝶々さんも慊人さんが居なくなると同時に 凪斗くんの元へ戻っていった
凪斗(ナギト)
凪斗(ナギト)
変われば良いのだけどね、