月乃
広い?世界が?
月乃
理屈ではわかるけど
月乃
正直よく分かりません
月乃
今の私の世界は
月乃
家と保健室だから
月乃
それと病院かな
高橋 美雨
そっか
月乃
だから、広い世界があるとか信じられなくて
月乃
テレビで海外のニュースとか見ても現実実がないし
月乃
そもそも、そんな世界が存在する事自体が疑わしいっていうか
月乃
ごめんなさい
高橋 美雨
いいのよ
高橋 美雨
人生まだまだこれからだもの
高橋 美雨
きっと少しづつ…ね
高橋 美雨
これはいつか分かってくれたら嬉しいんだけど
高橋 美雨
未来が非常口になることもあるの
月乃
ますます、よく分かりません
高橋 美雨
ざっくり言うと
高橋 美雨
楽しい未来に期待するってことかしら
高橋 美雨
無理せず、元気に、長生き
高橋 美雨
実は私、これが一番大事だと思ってるの
月乃
無理せず、元気に、長生き…
高橋 美雨
そう
高橋 美雨
正確には健康寿命を長くしたい。ってことかしら
高橋 美雨
いつまでも自分の足で歩けたら素敵じゃない?
高橋 美雨
それで
高橋 美雨
元気なご長寿さんとして
高橋 美雨
メディアの取材とか受けちゃったりするの
高橋 美雨
長生きの秘訣とか語るのもアリよね
高橋 美雨
どうする?可愛いおばあちゃんとして有名になっちゃったら
月乃
…
高橋 美雨
人生充実しすぎて
高橋 美雨
死ぬ暇なくなっちゃう
高橋 美雨
それに、そう考えたら
高橋 美雨
歳を重ねるのも悪くなくない?
高橋 美雨
私的、楽しい未来に期待する方法
高橋 美雨
どうかしら?
月乃
いいと思います
月乃
先生が考えて決めたことだし
月乃
私が口出しするものじゃないと思うから
月乃
でも…
高橋 美雨
いいわよ何でも言って
月乃
先生、疲れたことないんですか?
月乃
気持ち的に
月乃
消えてなくなりたいとか
月乃
存在そのものを消したくなる
月乃
そんな夜とかないんですか?
月乃
周りのみんなが
月乃
自分寄り優れてみえたり
月乃
楽しそうに生活しているようにみえたり
月乃
私は何をしているんだろう。って
月乃
もの凄く罪悪感を感じる夜
月乃
ないんですか?
月乃
いつだったんだろう
月乃
よく思い出せないけれど
月乃
本当に全部終わりにしたい気持ちが押さえられなくて
月乃
ベランダから外を見ていたんです
月乃
飛べるかな?とか思ってしまって
月乃
明け方の3時くらいに
月乃
もうすぐ夜が明けようとしているところで
月乃
薄暗くて
月乃
でも、なんだか分からないけど
月乃
エネルギーに満ち溢れていて
月乃
その時
月乃
声が聞こえてきたんです
月乃
なんか、すっごく怖くて
月乃
私、思わず自分で自分のを抱きしめてしまって
月乃
可笑しいですよね
月乃
消えたいと思っていたのに
月乃
反射的に
月乃
防御の体制を取るなんて
月乃
でも、そこで…なんて言うのかな
月乃
我に返ったっていうか
月乃
消えたい気持ちが、すーって治まっていったんです
月乃
その代わりに今度は
月乃
好奇心ていうか
月乃
声の主を知りたくなって
月乃
酔っ払いかなとも思ったんですけど
月乃
でも、気になって
月乃
ベランダから、ずっと下覗き込んで
月乃
探して
高橋 美雨
そしたら?
高橋 美雨
正体は?
高橋 美雨
分かったのかしら
高橋 美雨
声の主の
月乃
はい
月乃
お婆さん?でした
月乃
たぶん
月乃
実際は、お婆さんと呼ぶようなお歳ではなくて
月乃
もっと若いのかもしれないんですが
月乃
私には…
高橋 美雨
そう見えたのね
月乃
私はシンデレラ
月乃
そう言っていました
月乃
スーツケースを引いて
月乃
リュックサックを背負って
月乃
ほかにもたくさん荷物を抱えていて
月乃
身なりもあまり気を配ってないっていうか
月乃
手をかけてない感じで
月乃
その人が
月乃
大きな声で
月乃
私はシンデレラ
月乃
今は少し人生が大変なだけ
月乃
そのうち
月乃
時期が来たら
月乃
幸せがやってくる
月乃
そう言いながら歩いていて…
月乃
なんか、スーツケースが馬車馬?みたいな設定で
月乃
引っぱりながら
月乃
一生懸命、励ましてて
月乃
今考えると
月乃
ヤバい人。ですよね
月乃
でも、その時私
月乃
自分も苦しかったから
月乃
お婆さん、じゃなくて
月乃
彼女の気持ちがなんとなく予測がついたんです
月乃
きっと未来に希望を向けなきゃ生きていけない現実がこの人にはあったんだ
月乃
何があったかは分からないけど
月乃
それよりも
月乃
消えようとしないで立ち向かってる
月乃
そっちの方に感動した。っていうか
月乃
この世界って色んな人生が交差している
月乃
それだけは分かりました
月乃
不思議ですよね
高橋 美雨
不思議?
月乃
この世界にはたくさんの人がいるけど
月乃
同じ人生を歩んでいる人はいなくて
月乃
誰も私の代わりにはならない
月乃
産まれてくる時代が
月乃
少しでもズレたら
月乃
私は、私でなくなっていたと思うし
月乃
こうやって先生にも会えていなかったと思う
高橋 美雨
本当に奇跡よね
月乃
ごめんなさい
月乃
なんか話が脱線してしまって
月乃
私、教室で授業を受けたい。っていう話をしていたんですよね
月乃
どうしてこんな話に
高橋 美雨
ちなみに、月乃さん
高橋 美雨
私にだって、どうにもならないように感じる日はあるのよ
高橋 美雨
そんな時は
高橋 美雨
どうすると思う?
月乃
分かりません
高橋 美雨
スイーツを食べる
高橋 美雨
カフェオレを飲む
高橋 美雨
お風呂に入る
高橋 美雨
寝る!
高橋 美雨
こんな感じかしら
月乃
泣かないんですか?
月乃
私は、すぐ泣いちゃうから
月乃
涙活って言葉もできたから
月乃
最近、わりと泣いちゃうかも
高橋 美雨
私は、泣ける人が羨ましいな
月乃
えっ!?