赤
大好きな人に「大嫌い」って言われて、恋人を失って...
赤
俺、耐えきれなくてさ...
赤
百ちゃんが亡くなった後、俺も自殺した。この屋上から飛び降りて。
赤
...イエローアパタイトが“嘘”って意味を持ち合わせていることにも気づかずに
赤
百ちゃんの「大嫌い」は嘘だったのに...笑
赤
...あの日も、夕日だけは俺を照らしてくれてたな
桃
......
赤
...まあ、こんな感じのことがあって
赤
気づいたら、この屋上にいた
赤
......
赤
ついに俺の正体を話しちゃった...
桃
話したら、何かあるの...?
赤
......
赤
...俺は、桃くんに百ちゃんみたいに死んでほしくないの
赤
...同じ病気で
赤
だけど、桃くんにはまだ希望がある
赤
治療をすれば治るかもしれないんでしょ
赤
だから、治療してほしい
赤
...だけど
桃
だけど...?
赤
正体を話しちゃったから、きっと桃くんには二度と会えない
桃
なんで...?
赤
...迷惑がかかるの
赤
桃くんに
桃
俺に...?
赤
俺がこのまま桃くんとの関係を続ければ、桃くんの病気は治らない
赤
...俺は、幽霊だから
赤
本来であれば、幽霊は人間との関係を持ってはいけない
赤
だけど、俺は桃くんの告白を断れなかった
赤
どうしても、百ちゃんと重なって
赤
このまま続けばいいのになんて考えて...
桃
......
赤
でも、やっぱり桃くんに死んでほしくない
赤
だから、たとえ俺と会えなくなっても、治療して、生きてほしい
桃
...やだよ
桃
赤と会えなくなるってわかってて、生きる選択をするなんて...できないよポロポロ
赤
でも...
桃
嫌だ!俺は、赤のいない未来なんて考えられない...ポロポロ
赤
...そう言ってくれてありがとう
赤
だけど、もう目の前で恋人が死んでいくのは見たくないんだ...
桃
......
赤
だから、お願い
赤
生きて
桃
...!
会えなくなるとわかっていて 生きることを選択するなんて、俺にはできない。そう思ってた。
だけど、俺の大切な恋人の、真剣な 願いを聞かないわけにもいかなかった
桃
...わかった
赤
...!
桃
そのかわり
赤
...?
桃
明日も、来てほしい
赤
...もちろん!
赤の首にかかっている イエローアパタイトのネックレスは、 心なしか輝きが薄れた気がした。