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第二話

第1話 - 前回の続きからです。

2023年08月09日

#ゴールデンカムイ

#BL

リーベ

忠成

前回の続きからです。

忠成

楽しんでくださいね！

夜

杉元

ウサギのチタタプ鍋かぁ

アシリパ

干しておいたエゾマツタケとオシロイシメジ、

アシリパ

そして干した行者ニンニクのプクサを肉に混ぜた

忠成

へぇ、美味しそうやね〜

杉元

いただきます

忠成

いただきます

杉元

(ﾓｸﾞﾓｸﾞ)

杉元

うん、うまい！

杉元

リスより脂っこくなくてあっさりしてるなぁ〜

忠成

うましか………

忠成

ヒンナやね〜！

杉元

ああ…体が温まるぅ、生き返る〜

杉元

あ…アシリパさん、このままでも十分うまいんだが…味噌入れたら合うんじゃないの？これぇ。

忠成

確かに合うかもな。

アシリパ

味噌ってなんだ？

忠成

入れてみるか？

杉元

だな、試しに入れよう。

杉元が味噌の蓋を開ける

アシリパ

うわ！…杉元それ……

アシリパ

オソマじゃないか！

杉元

オソマ？

忠成

オソマ…ってなんだ？

アシリパ

ウンコだ！

杉元

ウンコじゃねぇよ、味噌だよ

アシリパ

ウンコだ！

忠成

ウンコて……

杉元

ウンコじゃねぇって！うまいから食べてみろよ〜

アシリパ

私にウンコを食わせる気か！？

アシリパ

絶対に食べないぞ！

忠成

ウンコって言われたらそら食いたくなくなるな…

杉元

ウンコじゃねえよ。

自分の椀に味噌入れる

杉元

(汁飲む)ん〜うまい、おもったとおりばっちり合うぞ！

杉元

ああ〜やっぱ日本人は味噌だな〜

アシリパ

うわ…ウンコ食べて喜んでるよこの男…

忠成

そんな変質者みたいな……

杉元

そうだぞ〜人を変態みたいに言うんじゃありませんよ…

杉元

ヒンナ、ヒンナ〜

アシリパ

黙れ…。

忠成

君ら仲いいな。

アシリパ

ここを下るとヒグマの巣穴がある、

アシリパ

ヒグマは自分で巣穴をほるが、誰かが掘った古い巣穴も再利用するんだ。

忠成

ふーん…物知りやね〜

アシリパ

そうか？

アシリパ

ほら、あそこの裏にあるぞ、試しに見てこい。

忠成

杉元いったれ〜

杉元

なんで俺が？

アシリパ

入り口につららがあったり生臭かったら、ヒグマがいる可能性が高い

アシリパ

静かに近づけよ、杉元

杉元

ぐっすり冬眠してるんだよねぇ…

アシリパ

うつらうつらして篭ってるだけだ

忠成

寝てはないのね

アシリパ

ああ、うるさくしたら飛び起きるぞ

杉元

………

杉元

つららがあるじゃねえか…

杉元

クマザサが丁寧に敷き詰められてる

忠成

おりそうやね。

杉元

だな

アシリパ

どうだった？

杉元

いるかも

アシリパ

捕まえるか？

杉元

どうやって？！

忠成

ヒグマの倒し方…昔ようやったわ、そういや二瓶ってやつがおったな。

アシリパ

どうした、忠成

忠成

なんでもないで。

杉元

で、どうやって捕まえるの？

アシリパ

穴の入り口に杭を打って塞ぐ。警戒した熊が、杭の隙間から顔を出したら毒矢を撃つ。

アシリパ

でも、勇敢だった私の父は

アシリパ

毒矢を握り締めて巣穴に潜っていき、1人でヒグマを仕留めたものだ。

忠成

お父さんすんごいね

アシリパ

ああ。

アシリパ

アイヌの言い伝えにこういうのがある。

アシリパ

"ヒグマは巣穴に入ってきた人間を決して殺さない"

杉元

(絶対やだ)

杉元

今すぐヒグマを喰わなきゃ飢え死にするってわけじゃねえし…行こうぜ

杉元

…ヒグマって美味いの？

忠成

おいしいぞ

アシリパ

脳味噌に塩かけて食うぞうまいぞ

忠成

…あ……

アシリパ

あ……

杉元

どうした？忠成、アシリパさん

アシリパ

杉元、あれなんだろ？

アシリパ

何か光ってる

アシリパ

…私たちが今朝まで泊まっていた辺りだ

忠成

あれ、もうそんな歩いてた？

杉元

ハッ…ヤバい！

アシリパ

あ…

忠成

なんかの光？

杉元

あれは双眼鏡だ！

忠成

うおぉ！！それはヤベェ！

杉元

何人いる？

アシリパ

３人…いや4人だ！

杉元

完全に油断してた…！

忠成

マジかよ〜死んじゃう〜

杉元

呑気だなお前！

アシリパ

ハッ、杉元、ササやぶを通って逃げろ！

アシリパ

足跡が目立たないから追跡が遅れる

忠成

わかった〜

杉元

(逃げきれない…)

杉元

…アシリパさん、二手に分かれよう。

杉元

やつらは大人の足跡だけを追うはずだ

杉元

(入れ墨を取り出す)これをアシリパさんが持っていてくれ

杉元

もしも捕まったら一切抵抗せずにやつらに渡せ。

忠成

俺は木の上から行くわ。

杉元

わかった、殺されんなよ。

忠成

大丈夫、俺がそんな簡単なことで死ぬことはない

杉元

とにかく、何も知らないふりをしろ、子供まで殺す連中じゃない。

杉元

俺が言ったとおりにするんだぞ、いいな？

アシリパ

……

アシリパ

杉元

アシリパ

あいつらと戦おうなんて思うなよ、殺されるぞ。

杉元

……

杉元

(少し微笑んで)俺は不死身の杉元だ。

第七師団の方

野間

ありました、こっちです。

谷垣

二手に分かれてます、子供はあっちです。

玉井

よし任せた、残りの者はついて来い。

野間

おい、残り1人はどこいったんだ。

谷垣

わかりません、足跡がここで途絶えていて…。

野間

そうか…まぁ、任せたぞ

谷垣

はい！

谷垣の単独行動開始。

ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ(雪の上を歩く音)

谷垣

…フゥ……

谷垣

止め足か…賢い子だ

谷垣

(だが俺は東北マタギの生まれだ、獣の止め足は何度も見ている。)

谷垣

(追跡者をまくために自分の足跡を慎重に踏みながら後退し、近くのササやぶへ跳ぶ…)

谷垣

…降りてきなさい。

谷垣

決して危害は加えないから

アシリパ

(アイヌ語で)一緒にいた男は汁物にウンコを入れて食べて

谷垣

……

谷垣

まいったな、さっぱり分からん……

谷垣

取って食ったりはしないから、降りておいで。

一方忠成

忠成

誰だあいつ……

忠成

アシリパはアイヌ語話して上手くやってるな…

忠成

もうちょい近く行くか。

アシリパ

(忠成がきた…)

アシリパ

(『一切抵抗せずに、やつらに渡せ』)

アシリパ

……

谷垣

さあ、こっちにおいで

谷垣

用があるのは君の連れだ

谷垣

一緒にいたのは誰だい？

バサッ

谷垣

うん？な……

谷垣

まさか……なんで子供がこれを持っている？

忠成

最悪だ、バレやがった…

アシリパ

……

谷垣

その弓を下に置け。

アシリパ

ハッ…

谷垣

やはり…俺の言葉がわかるようだな…

谷垣

矢筒と刃物を捨てるんだ

アシリパ

……ハ

レタラ

グルルルルル……

忠成

なんだあの狼…

杉元の方

杉元

ﾊｧ…ﾊｧ…

野間

止まれ

杉元

ｸｯ…

野間

銃を捨てろ、銃剣もだ

玉井

なぜ逃げる？

杉元

なぜって…

杉元

あんたら密猟者を捕まえに来たんだろ？

杉元

禁止されてる鹿を撃ってたんだ

杉元

アイヌのガキに案内させてな。

岡田

ハア…

玉井

紛らわしい…

野間

その顔、旅順の野戦病院で見たことがある。

玉井

ああ？

野間

第一師団にいた杉元、

野間

不死身の杉元だ。

玉井

あ…

岡田

あ…

玉井

一旦意識を取り戻した尾形上等兵が

玉井

力を振り絞って文字を書いていた

玉井

"ふじみ"と

玉井

尾形上等兵を襲ったのは貴様だな？杉元

岡田

腹ばいになって両手を後ろに回せ

岡田

腹ばいになれといっているんだ、杉元！

野間

言うことを聞け！

玉井

面倒だ、両膝を撃ち抜いてしまえ。

杉元

く…

杉元がヒグマの巣穴に向かって走り出す

杉元

チクショウ、俺は！

杉元

不死身だあ！

岡田

はあ？穴に逃げ込んだぞ

玉井

見苦しい…

野間

煙でいぶりだしましょうか？

玉井

ああーもういい、撃とう撃とう。

野間

しかし、死なれたら聞き出せませんよ。

玉井

本物ならば死なんのだろう？確かめてみようじゃないか

パァン(銃声

グオオオオオォ(ヒグマの咆哮

玉井

(カチャッ)…(ｸﾞﾁｬｯ

岡田

(ﾊﾟｧﾝ)かは…

ヒグマのうなり声

野間

う…

野間

うあぁ…ぐッ……(ｻﾞｼｭｯ)

ヒグマ

グウウゥ(うなり声)

野間

うう…どうした？ひるんだか…？

野間

帝国陸軍第七師団相手にただで済むと思うなぁ！！

野間

かかってこい…！

ヒグマ

(咆哮)

谷垣の方

谷垣

う…ぐ…

谷垣

こいつは絶滅したはずの、エゾオオカミ…！

アシリパ

レタラ！

レタラ

グルル……

谷垣

く…あ…あ…

谷垣

フッ…ぐ…

レタラ

ガゥッ…！

谷垣

は…あ…うわ！

レタラ

(谷垣を叩きつける)

アシリパ

レタラやめろ！もういい！

レタラ

グゥ…(アシリパの方に歩いていく)

アシリパ

お前は最後のホロケウカムイなんだから、私のためにウェンカムイなんかになっちゃダメ…

忠成

アシリパ、無事か！

アシリパ

忠成…

忠成

さっきから見てたけど、この狼は誰や？

アシリパ

レタラだ、私を助けてくれる相棒のようなものだ。

レタラ

(アシリパを舐める)

アシリパ

助けてくれてありがとう。

忠成

いい狼さんやな。

忠成

仲良くなれるかな？

アシリパ

きっと忠成ならなれるぞ。

レタラ

(忠成の方に寄る)

忠成

わあ、よってきてくれんの？ありがと〜。

一方杉元

ﾊﾟｧﾝﾊﾟｧﾝﾊﾟｧﾝﾊﾟｧﾝ(銃声)

杉元

ヒグマは巣穴に入ってきた人間を決して殺さない、か…

杉元

(小熊を見て)ほっとけねえから連れてくけど、アシリパさん、お前をチタタプにして食っちまうかもな…

アシリパ

おお、よしよしよしよしよし…

レタラ

(嬉しそう)

忠成

リラックスしてんね。

アシリパ

ここだぞ〜知ってるぞ〜

杉元

アシリパさん！忠成！

アシリパ

ん？

忠成

お、杉元。

杉元

よかった、無事だったか

杉元

あ、あの時の白いオオカミ

杉元

(小熊の鳴き声)あ…静かにしてろよ、アシリパさんに見つかるぞ

杉元

(谷垣の方を見て)死んでいるのか？

アシリパ

(あの足では追ってこれまい、ほっといても大丈夫そうだ…)

アシリパ

行こう、もう死んでる。

忠成

ん…？杉元、なんか出てない？

アシリパ

ほんとだ、杉元それどうした？

杉元

ん？

杉元

(小熊と目が合う)いやあ！！

杉元

これは！なんでもない！関係ない！

アシリパ

杉元〜？その小熊どうするつもりだ？

忠成

わーかわいい〜

杉元

こいつは俺が面倒見る！母親代わりになるんだ！

アシリパ

なるんだって……小熊を育てた経験はあるのかぁぁ…？

アシリパ

そいつが何を食べるか知っているのかぁ…？

杉元

わかった

杉元

こいつはアシリパさんだけで食ってくれ…

杉元

俺には無理だ…

忠成

…(これ食べんの？)

アシリパ

は？食べんぞ？

杉元

え？

アシリパ

私たちは猟で小熊を捕まえたら村で大切に育てる風習がある

アシリパ

よし、行こう！私のコタンヘ！

忠成

小熊食べなくてよかったな杉元。

杉元

うん、ほんとにそれ……

ﾋﾞﾖｰﾝﾋﾞｮｰﾝﾋﾞｮｰﾝ(ムックリの音)

オソマ

(アイヌ語で)アシリパが帰ってきた！

子供たち

おお…

アイヌの女性

(アイヌ語)見て、アシリパがシサムを連れて帰ってきたわ

忠成

おぉ、子供いっぱいだ。

杉元

みんな俺たちを怖がらないな

アシリパ

アイヌは好奇心旺盛だ、新しいもの好きなんだ。

フチ

(微笑んでいる)

アシリパ

フチ、私の母方の祖母だ

忠成

はじめまして

杉元

初めまして。

フチ

(フチは基本アイヌ語なのでこれから省略します)ご飯を食べさせて休ませなさい

杉元

おばあさん、俺はこいつを預けにきただけだ。

杉元

長居はしない、すぐ出ていく

アシリパ

フチはシサムの言葉はわからない、飯を食って泊まっていけといってるぞ。

忠成

お言葉に甘えるとするか。

杉元

ありがとう、おばあさん

杉元

俺たちがここにいて、2人に迷惑がかかるんじゃないか？

フチ

初めてアシリパが連れてきた客だから、私たちはもてなそう。

忠成

初めて連れてきたの？アシリパ。

アシリパ

ああ

杉元

忠成アイヌ語わかんの！？

忠成

少しならな。

杉元

へぇ…

アシリパ

とにかく、大丈夫だ

アシリパ

死んだ祖父は村で一番偉かったから、フチに文句を言うやつはいない。

アシリパ

見ろ〜この入れ墨ぃ、偉い人の奥さんほど大きな入れ墨をするんだ。

アシリパ

それにみんなお前たちに興味があるようだぞ

忠成

おー、人がたくさん。

杉元

あ…アハハッ

杉元

この家にほかのご家族は？

アシリパ

フチだけだ、別のチセに叔父夫婦がいる

アシリパ

祖父が6年前に病気で死んだ

アシリパ

母は私を産んですぐに病気で死んだから、よく知らない

忠成

(スラスラとまあ重い話を……)

フチ

アシリパは山に入ってばかりで女の仕事ができない

アシリパ

(ﾑｽｯとしてる)

フチ

縫い物や織り物も、女の仕事ができない女は、アイヌの夫を持つこともできない。

フチ

もうすぐ入れ墨すべき年であるというのに、嫌だと言う

アシリパ

入れ墨は嫌だって言ってる女の子はほかにもたくさんいる！

アシリパ

フチは古いぃ！

忠成

(アシリパを狙う男子は普通にいそうだが…)

フチ

杉元の旦那、この女の子を嫁にもらってくれ

フチ

孫が心配で、私はこの世を去ることもできない

忠成

えぇ！？

忠成

あっ…(確かに、杉元ならアシリパを幸せにできるな…)

杉元

え？何？

杉元

おばあちゃん、俺になんだって？

アシリパ

……

アシリパ

ウンコ食べちゃダメだって…

杉元

ウンコじゃないですよおばあちゃん、味噌なんですよ〜

オソマ

(アイヌ語)変な耳だね

杉元

なんだい？

忠成

…確かにな。

アシリパ

私たちと違う違う変な耳だと言っている、アイヌの耳たぶは丸くて厚い

杉元

俺は杉元、隣は忠成ってんだ、お嬢ちゃんは？

オソマ

私オソマ

杉元

ウンコだろ？それ、バカにしやがって

アシリパ

本当だ

杉元

え？

忠成

(なんかこれにも理由あったような…)

アシリパ

私たちは赤ん坊に病魔が近寄らないよう

アシリパ

汚い名前で呼ぶんだ、シ・タクタクはクソの塊

アシリパ

ソモマプはおまる、テンネプはベトベトしたもの

アシリパ

６歳くらいになったらその子の性格や身の回りの出来事にちなんだちゃんとした名前をつける。

杉元

アシリパさんは何て呼ばれてたんだい？

アシリパ

エカシオトンプイ、祖父の尻の穴だ

忠成

そら逃げ出したくもなるわな

杉元

そりゃ病魔も逃げ出すわ

杉元

何を飲ませてるんだ？

忠成

ミルク？ではないな…

アシリパ

肉汁と米汁を混ぜたものだ

杉元

へぇ…

杉元

そういえばアシリパさん

杉元

小熊に触ろうとしないけど、苦手なのか？

アシリパ

別に

アシリパ

杉元と忠成もあまり可愛がると情が移るからやめておけ

忠成

はーい

杉元

大きくなったら山へ返すんだよな？

アシリパ

いや、私たちの伝統儀礼で神々の国へ送る

杉元

それってつまり…

アシリパ

私には昔、弟みたいに世話をした小熊がいた

アシリパ

一年たった頃、儀礼の前に小熊を逃がそうとしたから、みんなにすごく怒られた。だから悲しくてその小熊を送る祭りだけは参加出来なかった。

杉元

やっぱり殺すのか

忠成

(今まで俺の前で死んだ人なんて何千といたからな…そこまで悲しくもない)

アシリパ

殺すと言うより、送り返すという考え方だ

アシリパ

私たちは身の回りの役立つもの、力の及ばないもの

アシリパ

全てをカムイ、神として扱い、感謝の儀礼を通して良い関係を保ってきた

アシリパ

狩猟をなりわいとしている私たちにとって、動物のカムイは重要な神様

アシリパ

動物たちは神の国では人間の姿をしていて、私たちの世界へは動物の皮と肉を持って遊びにきている。

アシリパ

中でも位が高いのは熊のキムンカムイ

アシリパ

その小熊を育てるのは名誉なこと、1〜2年大切に育てられる

アシリパ

飼っていた小熊を送る時は村を挙げて盛大な儀礼を行う、この儀礼はイオマンテと呼ばれている

アシリパ

私たちのこの世界が楽しい場所だと、ほかの神様に伝えてもらう

アシリパ

そうすればカムイたちは何度でも訪れてくれる

杉元

アシリパさんはそれ信じてるの？

アシリパ

信仰の中には、私たちは生きるすべが入ってる、例えば捕まえた小熊を育てるのは、大きくなればそれだけ毛皮や肉が取れるからだと思う

アシリパ

そうやって私たちは生きてきたから、正しいことだと、私は信じてる。

アシリパ

でも、別れるさみしさはどうしようもない、だから私は、決して情が移らないように距離を置くんだ。

杉元

考え方が現実的だな

忠成

大人だなー

杉元

やっぱりアシリパさんってアイヌの中でもちょっと変わってるんじゃないの？

アシリパ

……アシリパという名は、父が付けた、新しい年という意味だが、未来とも解釈できる。

アシリパ

私は、新しい時代のアイヌの女なんだ。

兵士

鶴見中尉殿、この雪では、これ以上の探索は困難です

鶴見

4人とも山が初めてではない、谷垣においてはマタギの生まれだ、遭難したとは考えにくい。

和田

鶴見ぃ！！

和田

貴様、私の部下たちを勝手に引き連れてどういうつもりだ！

鶴見

これはこれは和田大尉殿

和田

一名は重体、四名は行方知れず！おまけに、旭川から武器弾薬もごっそり持ち出してきたそうじゃないか！

和田

ただでは済まさんぞ鶴見！

鶴見

ああ失礼、奉天会戦での砲弾の破片が、前頭部の頭蓋骨を吹き飛ばしまして

鶴見

たまに、漏れ出すのです。

和田

そもそも、そんなありさまで中尉が務まるか！

和田

鶴見！貴様が陸軍に戻る場所はもはやないと思え！

鶴見

(口を開ける)

ｶﾞﾘｯ(指を食いちぎる音

和田

うわああ！

和田

鶴見ぃ！血迷ったか！

和田

うう、指がぁぁ！

鶴見

ぺっ

和田

うう…

鶴見

前頭葉も少し損傷してまして、それ以来カッとなりやすくなりましてね

鶴見

それ以外は至って健康です、向かい傷は武人の勲章

鶴見

ますます男前になったと思いませんか？

和田

正気ではないな…撃てぇ！

月島

はい

銃声

和田

……(ﾊﾞﾀｯ)

鶴見

服を脱がして埋めておけ、戦友は今でも満州の荒れた冷たい石の下だ。

鶴見

我々の戦争はまだ終わっていない。

牛山

(荒い息)

女性

(喘ぎ声)

ガラッ

牛山

ん？

土方

旺盛な性欲が仇になったな、不敗の牛山。

牛山

どうしてここが…

女性

うう…

牛山

お前が売ったな？

女性

痛い痛い痛い！折れる！

牛山

フンッ

女性

ああ！

牛山

この石頭、たたき割る自信はあったのかい？

土方

当然、(ﾊﾞｻｯ)これを見ろ、牛山。

土方

油紙を体に貼り付け、透かして入れ墨を書き写せば、正確な暗号が手に入る、殺し合わずに済む。

土方

協力しろ、我々に必要なのは利害関係だ。

牛山

人を集めて何を始める気だ？

土方

いずれ第七師団とやり合うことになる、連中が持っている刺青人皮を奪い取る。

牛山

刀なんぞ時代遅れなもので帝国陸軍相手に斬り合うつもりか？土方のジジイ。

土方

いくつになっても男子は、刀を振り回すのが好きだろう？

忠成

沢山のタップ、お疲れ様。次はついに俺が鶴見中尉に会うで。

忠成

じゃあ、また。

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リーベ

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