由紀
やっぱりたまに食べるクレープが1番ですね

私は今、ちょっと家から離れたショッピングモールに来ていた。
学校では学級委員として生徒たちの模範でないといけないし、家にいると両親からの期待が重いから、こうしてたまに1人で息抜きしている。
辰哉
ん?イインチョ?

そんな私のもとにシェイク片手に現れたのは、あの栗原くんだ。
由紀
誰かと思えば、栗原くんですか

辰哉
オレじゃ悪いかよ

由紀
いいえ、別にそう言うわけではないですが

辰哉
まあ、そう固くなるなって、プライベートだろ?

由紀
…まあ、それもそうですね

辰哉
つーかイインチョ、普段もそういうかんじなの?服も地味だし

由紀
余計なお世話です

由紀
栗原くんこそ、意外と地味じゃないですか

辰哉
んまぁ、目立ちたくないしな

由紀
あと、学校じゃないんですから、イインチョって呼ぶのやめてくれませんか?

辰哉
ああ、そういやそっか

辰哉
つってもな、もう半年くらいイインチョって呼んでるから今更じゃね?

由紀
いいえ、私には清水由紀という名前があるんですから

辰哉
じゃあ、由紀?

由紀
いや、いきなり下の名前で呼ばれるのはちょっと

辰哉
ったく、学校じゃなくてもうるせーのかよ

由紀
栗原くんが素直に聞かないからです

辰哉
はいはい、じゃあ清水、でいいよな?

由紀
はい、それでいいです

由紀
というか最初からそう呼んでくれれば良かったのに

辰哉
はいはい、気をつけますよっと

栗原くんはそのまま流れるように向かいの席に腰掛け、シェイクをすすった。
辰哉
んで、イイ…じゃなかった
清水は何しにきたんだ?

由紀
見ての通りクレープを食べにきたんです

辰哉
ふーん、それだけ?

由紀
それだけです

由紀
あまり勉強から手を抜くと両親に怒られるので、少ししたら帰ります

辰哉
…そっか

辰哉
じゃあ、オレが面白い遊びを教えてやるよ

由紀
…悪いことじゃないですよね?

辰哉
悪いようにはしねえから、ちょっと"体"貸せよ

栗原くんはそう言うと、テーブルに突っ伏すように倒れた。
由紀
えっ!?

由紀
栗原くん!どうしたんですか?

由紀
んむっ!?

その時、私の口の中に何かが突っ込んでくる感触と共に、背中に悪寒が走った。
由紀
何これ…

由紀
私の中に

由紀
何か

由紀
入って
