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太宰

(これが小学校の授業か、凄いね。
 こんな風に教えてくれるんだ。ねぇねぇ、私も手を上げたりしていい)

コナン

(頼むからあんまり目立つようなことしないでくれよ。こっちは平穏に学校生活すごしたいんだ)

太宰

(もう十分目立ってると思うけどね)

 記憶を覗いて太宰は首を傾けるようなそぶりを見せる。それに対してコナンはうるせ〜。ほっとけとちょっとばつが悪そうに目を泳がせていた。

 まだ一限目、教室には子供達の明るい声が響いている。

太宰

(小学校なんて通わなかったし、同い年の子と過ごしたことなかったから楽しいね。みんな明るくていいこそう。クラスメイトとして共に過ごすの楽しいな。
 運動会とか音楽会とか、遠足とかイベント毎がたくさんあるのだろう)

 実体の方まで鼻歌を歌い出しそうなほど太宰はうきうきとしていた。その反対にコナンの心は重い。じんわりとしたものが躍りだしそうな気持ちに水を差す。でもそれはコナンからしても同じであった。

コナン

(楽しみなのはいいけど、ちゃんとこれからどうするかも考えてくれよ。一生このままなんて嫌だからな)

太宰((え~、私死んだから行く場所もないのに……。このままでいいよ。

 小学生としてもう一度全てやり直すの)」

コナン

(いいわけあるか、ってか、ホント最悪の最悪このままで過ごすことになったとしても俺は高校生の体に戻るからな)

太宰

(高校生~。それもいいね)

コナン

(よくねぇよ)

 はぁってため息をつくコナンの感情が太宰に流れこんでくるが、太宰は朗らかに笑って授業を受けていた。

 なごやかにそして賑やかに小学校の授業は続いていく。

灰原

貴方何時までそのままでいるつもりなの

 灰原に太宰がそう言われたのはコナンの体に入ってから三週間をしたころであった。その間太宰は毎日小学校に通い、終わったあとは子供達と遊び、家に帰れば美味しいご飯を食べて眠る。

 小学生の理想的な暮らしを満喫していた。

 土日を子供達と思いっきり遊んで江戸川コナンを謳歌している。

 そんなのだったから問われるのも当然であった。あ~って乾いたような思いを抱いたのはコナンで、太宰はえっと首を傾けるだけだった。

 このごろはもうお互いの心が寸分の遅れもなく伝わってくる。だから太宰はえへへと頭を掻き、コナンは頭を抱えた。

コナンin太宰

いつまでってずっとだけど、私もう死体だしね。戻れる場所なんてどこにもないのだよ、だからずっと。それに戻り方も分からないから

灰原

お寺連れていてあげましょうか

 灰原の目は冷たかった。

 その言葉と共に寒々としているが、向けられる太宰はにこにこ笑っている。そのようなもの欠片も気にしていないようだった。

コナン

(お前なー、少しは悪びれるそぶりでも見せてやってくれよ。分かんだろろ、あいつ周囲に得たいのしれない奴がいるのが気になって苛々してんだよ。だから、な)

太宰

(まぁ、そこについては申し訳ないと思うのだけどね)

 じと目で見てくる灰原を大宰はじろりと見る。彼女の理由はすべて把握している。

 だからと言って太宰はコナンの体を出ていく気はない。

太宰

(どうしたらいいのだろう)

 ちょっと考えてあることが思い浮かぶ。

太宰

(あ、そうだ)

コナン

(確かにそれはいいんじゃねぇか)

 その考えはすぐにもコナンに伝わっていた。にやと太宰の口が上がる。それは灰原を安心させるものにはならなかった。

 むしろますます警戒させている

コナンin太宰

それでは今から私のプレゼンを始めます

灰原

?

博士

どうしたんじゃ。急に

コナンin太宰

いえね、どうにも私に不信感を抱いているようですのでここで私が如何に人畜無害で使用のおける相手かと言うことを伝えておこうかと思ったのです

コナンin太宰

これで安心してすごせるようになりますよ

 阿笠博士の家で太宰は誰がどう見ても悪役のする笑みを浮かべていた。信用されようとする者がする笑みではなく灰原どころか阿笠まで引きつった顔をしていた。

 お前って心の中のコナンが頭を抱えている。

コナンin太宰

それではまず私が生前はどれだけ善良な人間であったかということから証明しよう。
 生前の私はね。武装探偵社という所で働いていたのだ。聞いたことぐらいはあるかな

博士

おお! それなら聞いたことがあるぞ。何でも警察でも手におえないような凶悪犯罪事件の解決に手をかしているとか。全員強者ぞろいとの話じゃが

灰原

本当なんでしょうね。私達は貴方の顔とか知らないんだからいくらでも嘘つけるわよ

コナンin太宰

本当だよ、大宰治という人に用があるのですかって電話かけてみてくれ。数日前から行方不明になっておりますって答えられるはずだよ。あ、死んだってことは伝えないでいいよ。死んでまで迷惑をかけているのか! って同僚に怒られてしまうから

 にっこりと携帯を差しだすと共に電話番号までも太宰は伝えているが、それでも疑いの目ははなれなかった。博士が手にした携帯を灰原がもらって電話をしっかりかけている。

 もしもしと固い声が灰原から出る。

灰原

太宰治さんって方に用があってかけたのですが……

灰原

え、私の?

 だいぶ間があった。

 その上でとまどったように首を傾けていくから博士や電話をかけるように言った太宰までその首を傾けていた。

灰原

小学生だけどそれが何か

灰原

え? あ〜〜、ただ用があるだけ。電話かわってもらえませんか。えっ、はい。そうですか、いえ、その……大丈夫ですので

 二人が無言で見つめてしまう中、やっと電話がきられていた。灰原のじとりとした目が太宰を見る。

コナンin太宰

行方不明と言われなかったかい? おかしいな? 死体を見つけられたのかな

コナン

(怪我をしているのを見つけてもらえて病院に入院してるとか)

太宰

(それはやだな~)

コナン

(喜べよ)

灰原

たしかに今はいない。行方もわからないって話だったけど……。貴方普段何をしているの?

灰原

あの男ついに女児にまで手を出したのかって物凄い剣幕で怒鳴っていたんだけど。
 全く信用出来ないわ

じとと少女の目が太宰を睨んでくる。なんじゃとと驚く博士も疑うような目で太宰を見ていた。

コナンin太宰

……

太宰

(国木田くんかな。彼は私をなんだと思っているのだ。森さんでもあるまいし小学生には手を出さないよ。
 まあ、元の姿の彼女は魅力的だけど)

コナン

(普段の行いのせいじゃないの)

はぁって太宰の中でコナンがため息をついている。どうするだってジト目で見られているような錯覚に陥る。ん~~って太宰は唇を尖らせていた。

コナンin太宰

私は女性は好きだけど子供は対象外だから安心していいよ。それより私にしっかりとした身元があることは分かってくれただろう。
 探偵社は世のため人のため、日夜励んでいる。そこに所属する私が悪いことするなんて思わないだろう。安心してくれないかな。ね

 にこにこにこにこ。太宰は素敵な笑みを浮かべる。数々のものを虜にしては頷かせてきた極上の笑みであった。

 胡散臭いよ、悪手だよと頭の中でコナンはぼやいている。その言葉通り一瞬顔を赤らめたものの灰原はまたジト目になっていた。

 はぁなんて深いため息をついている。

灰原

分かったわよ。でもその笑顔は止めてくれる。気色悪いわ

コナンin太宰

はいはい。分かったよ、あ、後もう一つ約束はちゃんと私も守るから安心してね

灰原

はっ

コナンin太宰

これからよろしくね

 灰原の首がことりと傾くのに太宰は意味深に笑うだけだった。

コナン

(頼んだぞ)

太宰

(任せ給え)

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