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その次の日

マリア

シゼ。

マリア

カイトぼっちゃまのところへ行くから、ついてきなさい。

マリア

おじいさまの家に出発するのはお昼、今から行けば話せるわ。

シゼ

…はい。

シゼ

(マリアの顔、少しクマができてる…よく眠れなかったのかな。)

マリア

ん?

マリア

どうしたの?私の顔をじっと見て。

シゼ

あ、いえ。

シゼ

なんでもないです。

コツコツコツ…

(廊下を歩く)

カイトの母親

カイトの父親

マリア

?…

シゼ

シゼ

シゼ

何やら部屋の前が騒がしいですね。

マリア

この声は…カイトぼっちゃまのお母様の声ね。

マリア

どうしたのかしら。

マリア

行ってみましょう。

カイトの母親

!…

カイトの母親

ターナー!

タタッ

(カイトの母親がマリアに駆け寄る)

カイトの母親

貴方、カイトを見なかったかしら!?

カイトの母親

朝起きたらいなくなってたのよ!

マリア

シゼ

!…

マリア

ぼっちゃまが?

カイトの母親

そうなの!

カイトの母親

リヒト達を怪我させたのはお前なんだろうと問い詰めたら、部屋に引きこもって…

カイトの母親

そのまま放ったらかしにしてたら部屋にいないのよ!

カイトの母親

やっぱりあの子がやったんだわ!お説教を食らうのが嫌になって逃げ出したに違いない!

カイトの母親

やっぱりあの子は出来損ないだわ…。

カイトの母親

勉強もしないで…絵を描いてばかり。

カイトの父親

お、おい…。

カイトの父親

やめないかクリジア人の前で慌てるなんて。

カイトの父親

笑いのネタにでもされたらどうする。

カイトの母親

お黙り!

カイトの母親

貴方の管理がなってないのがいけないんじゃないの!

カイトの母親

貴方があの時、カイトを美術館に連れて行ったりしなかったら…今頃は!

ギャーギャー

ギャーギャー

マリア

…。

マリア

シゼ。

マリア

悪いけど、カイトを探してきてくれないかしら?

マリア

私はここを落ち着かせたあと、このお二方からぼっちゃまの話を聞くわ。

シゼ

わかりました。

シゼ

見つけてきます。

タッタッタッタッタッ

タッタッタッ…

シゼ

…やはり。

シゼ

レンさんのところにいらっしゃいましたか。

シゼ

カイトぼっちゃま。

レンドール

レンドール

シゼ!

カイト

…。

カイト

…お前か。

カイト

下民の血を引く女が何のようだ?

シゼ

お母様が探しておられましたよ。

シゼ

早く戻りましょう。

レンドール

カイト

嫌だね。

カイト

とっとと帰れ。

カイト

今日はレンのところに泊まる。

シゼ

…。

レンドール

…ごめん、シゼ。

レンドール

カイトは色々あって戻りたくないみたいなんだ。

シゼ

レンドール

詳しい事情は彼から聞いたよ。

レンドール

カイトは自分だけ怒られたことに腹が立ってるんだ。

レンドール

僕が彼を連れて行くから、戻ってて。

カイト

お前が説得したって俺は戻らないぞ。

レンドール

!…

カイト

もう、腹を立てるのも疲れた。

カイト

俺はどうせギャザー家のろくでなしだ。

カイト

俺が戻ったら、親と兄弟ががっかりするに決まってる。

カイト

体も小さいし、父さんと似て賢くないし、母さんみたいに楽器もうまく弾けない。

カイト

勉強もできない。

カイト

歌も上手く歌えない。

カイト

絵しか才能のない俺は、誰からも必要とされない。

カイト

俺は、ずっと1人だ。

カイト

俺なんか、もう何をやっても馬鹿にされる…。

カイト

はぁ…。

カイト

俺はただ、絵を描いていたいだけなのにな…。

カイト

俺はどうせ…俺はどうせ…。

レンドール

カイト…。

カイト

…。

シゼ

…。

シゼ

もったいない。

カイト

はっ…?

シゼ

もったいない、と言ったんです。

シゼ

今の言葉で私は思いました。

シゼ

カイトぼっちゃまは自分の才能を捨てようとしています。

カイト

はぁっ!?

カイト

お前…どういう意味だ!

ガッ!

(カイトがシゼの胸ぐらを掴む)

レンドール

シ、シゼ…!

シゼ

…。

シゼ

カイトぼっちゃまは自分のダメなところ、ちゃんと分かっているじゃないですか。

シゼ

それなのに、それを直そうとしない。

カイト

っ…!

ガシッ

(シゼが胸ぐらにある カイトの手を掴む)

シゼ

カイトぼっちゃまの絵は、確かに繊細で綺麗で人目を引く魅力があります。

シゼ

そこらへんの子供でもカイトぼっちゃまほど絵が上手な人はなかなかいないでしょう。

カイト

!…。

シゼ

ですが、

シゼ

優秀な画家は絵ばかり描いて生きてきたわけではありません。

シゼ

優秀な学校を出るために勉強したり、

シゼ

社交的な場で名前を覚えてもらうために絵以外の特技を身につけたり、

シゼ

さまざまな努力をしているんです。

シゼ

カイトぼっちゃまはそれを、自分はどうせできないと決めつけている。

シゼ

それがもったいないと言ったんです。

カイト

!…

カイト

でも、

カイト

俺だって散々頑張ってきたんだ!

カイト

もう無理なんだよ!俺は!

シゼ

そうですか。

シゼ

では、お尋ねしますが。

シゼ

カイトぼっちゃまは絵を描く時に「もう無理だ」と思ったら諦めましたか?

カイト

!…

シゼ

カイトぼっちゃまの絵はとっても美しいです。

シゼ

きっと、あそこまで美しい絵が描けるまで相当努力をされたのでしょう。

シゼ

いいですかぼっちゃま。

シゼ

好きなことをやり続けたいのなら、苦手なことにも努力しないと

シゼ

貴方の道は険しく、厳しいものになります。

シゼ

苦手なことに努力することは、

シゼ

好きなことを続けるために、必要なことなんです。

シゼ

私はカイトぼっちゃまが

シゼ

諦めなければ素晴らしい結果が出せる人だと思っています。

シゼ

ご家族のことは私もムカつきますが、

シゼ

貴方の敵がどれだけ増えようと

シゼ

私とマリア様はカイトぼっちゃまの味方です。

シゼ

だから、

シゼ

貴方は1人じゃありません。

カイト

……。

レンドール

シゼ…。

シゼ

さて、

シゼ

長々と話しちゃいましたけど。

シゼ

シゼ

絵だけで頑張りたいのなら、

シゼ

絵のためならどんなこともやってみせるという気持ちを持つことが大事だと思います。

カイト

…。

シゼ

…じゃあ、

シゼ

とりあえず今日はレンさんのところに泊まるって伝えておきますね。

シゼ

それでは。

ザッザッザッ…

シゼ

…。

シゼ

(うーん…)

シゼ

(ストレートに言い過ぎかな…。)

シゼ

シゼ

(やっぱりレンみたいに優しく慰めた方がよかったかな?)

シゼ

(いや、でも)

シゼ

(強めに言わないと聞いてもらえなかったかもしれないし)

シゼ

(言いたいことは言えたんだからこれでいっか。)

第11話 おわり

とある物書きの挑戦譚【第二期】

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コメント

3

ユーザー

ありがとうございます…! 読み返していて、続きが気になっていた時丁度投稿されていて 運命感じました……😭 シゼ様がカイト様に仰った言葉がめちゃくちゃ心に響きました!💘

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