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黒猫よ___.
E p i s o d e .6 幸せを運んで
Noa
なんて、一生言われないようなフレーズをのあさんが口にした。 私はいつだって元気な筈なのに、 最近は色々なことを頭が走り回ってよく休めていない。
Eto
Runa
Noa
私以上にやつれてる人がいるのに、誰一人として気づきもしないんだ。 いや、彼なりのプライドがそうさせているのか。 迷惑を掛けないという、この世に必要ないプライドが、より彼を苦しめているのではないだろうか。
Runa
Eto
Noa
Runa
Noa
Eto
Runa
真昼間に降り注ぐ太陽が陽炎を作り出す。 窓にぶつかった何らかの虫が、蒼い空へと飛んでいっていた。
なんて、昼間の出来事を思い出しながら、まだ熱の篭ったクッキーを口に放り込んだ。 えもいわれぬような甘味が口に広がる度、気分が上がって幸せに浸っていた。
Runa
Runa
机に投げ出されたノート。 終わらない課題。 消えそうな誰かの命。 こんな、物語みたいな言葉が脳内にずっと流れ出していた。
Runa
Runa
Runa
"人助け" したことはあっても、ほんのちょっとした事ばっかりだな。
Runa
窓の外にはいつの日か見た星座達。 教えてもらったけれども、イマイチどれがどれだか見分けがつかない。 そんなこと考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
また、離れ離れになるのは嫌だよ…
これは、また…?
あれ、?
俺部屋で寝てたのに… これも、夢? なんだか嫌な感じがする…
Mofu
…これは、俺か? 子供の頃か…? なんの夢だ?
人で溢れかえった街。 何処を見ようにも身長が足りず、人しか見えない。 看板や街灯の目が眩むほど明るい光で、もう何をしているかも分からなくなってしまいそう。
Mofu
食べ物や人のむせ返るようなにおいで、吐き気がする。
人混みを掻き分け、歩いていく。 歩いて 歩いて 歩いて 歩いても、 見つからない。
何を探しているんだっけ?
Mofu
Mofu
周囲の冷たい視線なんか気にせず お父さんお母さんと叫んでいた。 そうか、迷子なんだな…
オカアサン??? オトウサン??
あれ、?
Mofu
オレにお母さんとお父さんなんて…
Mofu
これもぜーんぶ夢。
だったらなあ…
「るなっ!!」
Runa
Mofu
春風のような微笑みは朝日に照らされて、いつもより麗しかった。 時計の針はまだ"8"の辺りを指しているというのに、何か予定でもあっただろうか。
Runa
Runa
Mofu
Mofu
Mofu
うん、急だよ。 私寝起き30秒ですよ。
でも、もふくんの頼みだ なんでも承諾する。 申し訳なさそうな顔を見ると、どうしたってこっちの心が傷んでいたたまれない。
Runa
Runa
Mofu
Mofu
Japapa
Tattunn
Noa
Japapa
Tattunn
こそこそ話のつもりだろうが、少し離れた俺にまで聞こえる笑 この2人は笑いを呼ぶ天才だ。 のあさんの、世話をしたくなる気持ちもわからなくない。
Noa
Japapa
Tattunn
Tattunn
Mofu
乾いた声を漏らすと、たっつんはいつも不満そうな、どこか悲しそうな顔をする。 ずっと前からそうだ、 この3人には頭が上がらない。
Japapa
Mofu
Tattunn
なんて言って、わざわざこちらまで来て大きな手で頭をくしゃくしゃにしてきた。 安心する反面、申し訳無さが勝ってしまう。 頭が痛くなるほどの晴天が俺の心を、どうしてか曇らせるんだ。
Noa
Runa
Mofu
Runa
と声を張った途端、彼女の腹の虫が鳴った。 よっぽど空腹時状態だったらしい笑
Runa
Japapa
Tattunn
Noa
Runa
Noa
のあさんは慣れた手つきでるなの朝ご飯の支度をしていた。 料理ができるなんて、すごく器用だ。 パンと言っても 目玉焼きが乗せられたり、皿の端にサラダが盛り付けてあったりと、しっかりした朝ご飯だった。
Runa
Japapa
Tattunn
Noa
Japapa
Tattunn
Mofu
Mofu
Tattunn
Noa
Runa
Japapa
Runa
Mofu
Runa
Noa
Tattunn
Japapa
いつもと何ら変わらない筈なのに、無性にこの会話が愛しくて、家を出たくなかった。 でも、そんな願いを時間が許すはずもないので、足早とリビングを後にした。
Mofu
Runa
悠々と駅に向かっていたせいで、地下鉄に乗り遅れるところだった… 駆け込み乗車はいけないって事ぐらい知ってるけど、今日はどうしても乗らなきゃ行けなかったんだ。 神よ、許せっ…
Runa
Mofu
Mofu
Mofu
Runa
Runa
Mofu
Runa
Runa
Mofu
Runa
Mofu
Runa
満を持して親指を天に立てたるな。 そのお日様みたいな笑顔は俺とは真反対で、見ていると 羨ましいような 憎いような 複雑な気持ちを抱いてしまう。
やけにわくわく、そわそわしたるなを横目に手元に目を落とす。 手は冷たくて青白くて、生気の欠片も見当たらない。 周囲は人1人見当たらなくて、孤独の世界にぽつりと俺とるなが置いてけぼりになっているみたい。
Mofu
Runa
Mofu
Runa
Runa
Runa
Mofu
Mofu
いつか、いつか、… 言う必要は無いけど、答えなきゃいけないって予感がしてた。 過去を引きずったままじゃダメだ。
Mofu
Mofu
Mofu
Runa
Mofu
Mofu
Runa
Runa
Mofu
Mofu
Mofu
そう言っても、るなの顔には雲がかかっていた。そりゃ、こんな重い話聞いたらテンション上がんないか。 るなはずっと口元をもごもご動かして、何か言い出すかと思えばまた肩を落とす。
Mofu
Mofu
Runa
Mofu
Runa
Runa
Runa
Mofu
るなの言葉は、一つ一つがずっしりとしていて脳に鮮明に伝わってくる。 空いた電車内の静寂に、心が針でも刺さったかのように痛む。 返す言葉も失って、ただ見つめる瞳に涙が溜まっていくばかり。
もしかすると…
Mofu
『次は〇〇駅、〇〇駅…出口は右側です。足元にご注意ください。』
Runa
Mofu
なくしたことがあるの、?
Uri
Uri
Donuku
Yuan
Yuan
Donuku
Uri
何か気配を感じてカーテン越しに庭を覗き込んだ。 そこには、毛ずくろいをする1匹の黒猫が庭石の上に座っていた。 檸檬色の瞳を持つ黒猫。 美しさと同時に懐かしさが込み上げてきて、つい黒猫を見つめてしまう。
Donuku
Donuku
Yuan
Uri
Uri
Yuan
Donuku
そう笑う2人。 俺的には、どうかそうであって欲しい。 とても懐いていた猫だったから 亡くなった時は心の底から悲しんだな、と思い出に沈んでいた。
黒猫
Yuan
Yuan
Uri
Donuku
あの、 古い椅子、錆びた遊具、藤の生い茂ったパーゴラ、無造作に植えられた木。 懐かしの場所の光景が頭に流れ込んでくる。 ここ何年も思い出す瞬間なんて無かったのに、面白くらい鮮明で細かい。
Yuan
Donuku
Uri
黒猫よ、もう一度俺に恵んでくれ。 幸せを、
強い消毒の匂いに目眩を促されながら、案内された部屋へ向かい、丸い回転式の椅子に腰掛けた。 相変わらず先生は目の前のパソコンとにらめっこ。 文字をうちまくってようやくこちらと目を合わせた。
医者
Mofu
医者
医者
Mofu
Runa
医者
医者
医者の言葉に、記憶を探る。 この前見た、フランスの記事が脳内に浮かぶ。 あれは、嘘じゃない、? 全て事実なのか…。
医者
Runa
Runa
びっくり仰天!! とでも言い出しそうな勢いだ。 部屋の外にまで聞こえてないといいけれど… と、くすっと笑いを1つこぼした。
医者
医者
Mofu
医者
Runa
医者
医者
Mofu
医者
Mofu
その、医者らしい真っ直ぐで真剣な眼差しは俺には眩しすぎる。 もう少し、もう少しだけ醜い人間らしさを演じて欲しいものだ。
もう、躊躇わないでくれ。 余計虚しいだけだから
医者
医者
Mofu
怖い大学の教授 変な夢 心配を掛けたくない 息苦しい 祖父母 両親 黒い猫 アネモネとコスモス 寂しい …
少年。 いや… うり__。
医者
医者
Mofu
医者
Runa
Mofu
医者
医者
結局、薬を服用する事になった。 副作用は眠気、倦怠感、便秘、吐き気・嘔吐、発疹…などなど。 体の細胞を守るための薬らしく、服用の仕方にも多くのルームがあった。 面倒くささの反面、生き残れるかもし)ないという一筋の光が見えたような気がする。
あ、これ、
Mofu
この前と全く同じ。 錆びた遊具に紅葉した木々。古くなった木のベンチにパーゴラ。 そして風に乗って聞こえてくる歌声。 姿を見せて、?
「もふくん」 そう鮮明に聞こえたけれど、彼の視線は全くこちらを向いていない。 そばに寄ろうと足を踏み出す度に、地球ごと揺れているみたいに足元がおぼつかない。
黒猫
なんだ、なんなんだ。 あの猫…ぺスカ、? わからない。君は誰? どこなんだ、どうして
Mofu
Mofu
言いかけると、また世界が崩れる。 同じじゃないか。 また、眠りと覚醒の狭間に投げ出される。
Uri
Donuku
Donuku
Uri
Uri
Donuku
Uri
Uri
Donuku
Uri
Donuku
Uri
Uri
Donuku
Uri
Uri
E p i s o d e .6 幸せを運んで
E p i s o d e .7 ↑♡1400
sorry🙇♂️
コメント
9件
いい作品に出会ったぜ☆
続きが楽しみ、!!
ふー⤴︎ひさしぶりに見たけどおもしろーい!