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おどみん巫女パロ

第9話 - 第9話　「魔人と血液と新衣装」

2024年11月09日

#おどみん

sea1000　xにて合作募集

うたいが「ODMN」に加入して初めての朝。ODMNの人々は「社会に存在しない人々」であるため、職員寮も宮内省内にある。

うたい

おはよ〜。ねえ、僕の服ないんだけど。いつも着てたあの巫女服。

そう言っているうたいは「編集したら負け」と書いているTシャツをパジャマに着ていた。

＠おどろく

ああ、それなら修理に出してるのだ。

うたい

え？服に修理？

七鐘別流

そうだよ。

そう答えたのは給湯室ではちみつレモンを注いでいた別流。

七鐘別流

私たちって普通じゃないじゃん？となると、服も普通のじゃだめなわけよ。

七鐘別流

耐久性も普通のものとは一線を画し、時折特殊な機能がついてる時もあるんだ。さもさんのマントみたいに。

うたい

へー。

＠おどろく

そういうわけで、基本私たちの服は一点物。特にうたいしゃんのやつは神の力も入ってたからね。破れたりしないとはいえ無条件にずっと使い続けられる代物じゃないのだ。

＠おどろく

だから、''事情''を知ってる人に修理を頼んだりするんだよ。

うたい

え？じゃあ僕修理終わるまで服ないの！？

＠おどろく

いや、あるよ、新しいの。

うたい

へ？どゆこと？

七鐘別流

凸さんのスマホの中に入ってたうたいさんのデータから、おどろくさんとそういうことの担当の人に作って貰ったんだよ。

うたい

あ、ありがと(この人たち仕事早いな)…

＠おどろく

ちょうど「仕事」入ってたから、それ着てべるしゃんと行っといで！！

うたい

…やっぱりさ、これ似合ってる？

七鐘別流

もう何回目!?

うたい

5回目。

七鐘別流

大丈夫だよ、似合ってるから！

うたいがここまで服を気にしているのには理由があった。

なぜなら、いつも着用していた巫女服と何もかもが異なるからだ。

露出高めの巫女服に比べて長袖長ズボンの暖かい服。

羽織った実用性の高いコートは内側にポケットが10個ついていて、その中に「詠想祈術」が込められたカルタ札が10枚ずつ入っている。

そして、首に巻かれたマフラー。一見するとただのマフラーだが、繊維を通すことで声が拡散される性質がある。

何より、これほどまでに特殊な服であるのに、驚くほど軽かった。

うたい

ふーん、ならもういいや。でさ、「仕事」って何するの？

七鐘別流

うーんと、人通りの悪いところにいるアヤカシを片っ端からみたいなのもあるけど、今回の相手は人。

うたい

え？人に対して神力使うの!?

七鐘別流

基本使わないよ。一般人相手に神力使ったら即死刑。

七鐘別流

でも、相手が一般人じゃなかったら話は別。

七鐘別流

例えば、今回のような、｢アヤカシを利用して悪事を働いている人間｣とか。

うたい

そんな人いるの!?

七鐘別流

いるよ。主に2種類のタイプがいる。
A、霊力を無意識に扱い、暴力任せに屈服させたバカ。
このタイプは基本神力を使えば拘束は容易。

七鐘別流

B、''そういうことが出来る神力''を持ってるやつ。
こいつが厄介なんだ。暴力タイプじゃない狡猾さと神力でできることの幅が違う。

うたい

そんなのどれくらいいるの？実際僕らの神力はそうじゃないし。

七鐘別流

極わずか。それでも一人一人が脅威だからねー。油断は出来ない。

七鐘別流

ほら、言ってたら着いたよ。今回のターゲットがよくいるところ。

そう言って着いた場所はアキハバラ。沢山の人々が自分の好きなことに熱中していた。

うたい

こんなところに悪いやついる？

七鐘別流

こういうところだからこそ、だよ。よーく見てご覧。｢いる｣から。

言われた通りにうたいは目をこらすと、道に大量のアヤカシがいた。

犬と猫を足して2で割ったような風貌で、皆柚の根付をつけていた。

うたい

うわ！何、あれ！

七鐘別流

｢すねこすり｣。オカヤマに多くいるアヤカシで、人を転ばせる妖術を使う。

うたい

｢妖術｣？

七鐘別流

ああ、私たちが使う神力と何も変わらないよ。アヤカシが使ってたら妖術、それ以外なら神力って感じ。

うたい

ふーん…というかその妖術、地味じゃない？

七鐘別流

アヤカシ単体ならそうだろうね。でも、そこに狡猾な「人間」が関わることで、人の人生なんて簡単に崩れるんだ。

そう言っている2人の前で、浮かない顔をした少女が、すねこすりに引っかかって転んでしまう。

少女に手を差し伸べたのは、一見すると会社員のような2,30代の男性だった。

三河英二

大丈夫ですか？

少女

あ、はい…
やっぱり私、ついてないのかな…

三河英二

ついてない、とは？

少女

ああ、いえ。
ちょっと今日よく転ぶなあ、と思って。

三河英二

うーん。
確かに、ここで友人を待つがてら見てたんですが、今日既に5,6回転んでいらっしゃいませんでした？

少女

はい…せっかくここまで来たのに…

三河英二

あなた、憑かれてますね。

少女

どういうことですか⁉︎
教えてください！

三河英二

ああ、私こういう者でして。

少女

…｢霊感コンサルタント　三河英二｣？

三河英二

はい、私どもは誰でも認識できる訳ではない、しかし確かに存在する｢霊｣の被害に遭う人を救おう、という行動理念のもと活動しておりまして…ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

英二、と名乗った男は、うたい達からすれば出鱈目もいいところの、中身のない話を延々と続けていく。

少女

はあ…

最初は訳が分からない、と言うような顔をしていた少女だったが、それこそ何かに取り憑かれたようにどんどん話に聞き入っていた。

三河英二

簡潔にまとめますと、貴方の｢不運｣、いや｢霊｣の被害を何とかできますよ、ということです。うちの事務所で詳しい話を聞いて行きませんか？

少女

はい！！！

最終的には狂信者のようになってしまった少女は、すんなりと英二について行く。

うたい

…あれ、どう思う？

七鐘別流

十中八九、神力絡みだね。

うたい

…尾行、するか。

七鐘別流

了解(おどろくさんに指揮権貰ったの私なんだけどな…)

英二と少女、それを尾行していた別流とうたいは裏路地の廃ビルに入っていく。英二は天井の高い部屋に入ると、少女に語りかける。

三河英二

ここが事務所ですよ。

少女

ココが…じ、ムショ、？。

三河英二

ええ。ああ、すいません。少し緊急の用事ができて外しますので、寝ててください。

英二がそう言うと、少女は糸が切れたように倒れ込んで眠る。

少女を壁の裏に運んだ後、そこから男が出てくる…大量のアヤカシに取り憑かれた人間、魔人を連れて。

三河英二

さあ、あなた方は我々の邪魔になります。消えて下さいませんか？

うたい

え？無理。

三河英二

そうですか…なら、やっておしまい、魔人ども！

うたいと別流に襲いかかる魔人は、柚のような色・形の頭をしていた。

あっという間に別流とうたいは柚の魔人に囲まれ、孤立してしまう。しかし、どちらも動じることは無かった。

七鐘別流

…迎撃しますか。神力、｢血詛呪術｣。

そう言った別流は、手首を噛んで出血させると、手のひらの方に垂らす。すると、別流はそれを握り、刀の形に整形する。

七鐘別流の神力、｢血詛呪術｣。自身の血を操る力を持つ。ODMN内でも特に汎用性に秀でた神力であり、副次的効果によって一滴でも血液があれば神力を用いて血液を作ることができる。

七鐘別流

血詛呪術、｢帝血刀(ていけっとう)｣。

両手に刀を持った別流はそれを構えると、目にも止まらぬ速さで柚の魔人を一体切り捨てる。

魔人はボロボロと崩れると、中からどこにでもいるようなパッとしない男性が現れた。

七鐘別流

(なるほどね…こいつは人間とアヤカシとの融合体じゃなくて、人間にアヤカシが寄生してるのか…こいつの場合寄生してるアヤカシはすねこすりかな。)

魔人一体一体の強さはそこまでで、うたいも狗祓棒のみで簡単に倒していっていた。

しかし、それを帳消しにするほど、大量に魔人が手のひらから出現していた。

うたい

キリないじゃん！どうすんのこれ！！

七鐘別流

出してくる本体を叩く。それ以外方法はないかな。

うたい

…でも、こうもいっぱいいると近寄れなくない？

七鐘別流

だから、ちょっと手、出して？

うたい

？うん。

わけも分からないままうたいが差し出した手に、別流は躊躇なく噛み付いた。

うたい

ふえ！？

うたいは噛まれた瞬間は驚いていたが、次の瞬間、DNAでその意図を理解した。

獣人。その体は、人間と動物のDNAを半分ずつ宿す。

普段その体は人間と差異がないが、DNAを有する動物に関連する一定の動作を行うことで、体に動物の性質が色濃く現れる。別流の場合は｢コウモリ｣である。

うたいの血を摂取した別流の体からは、上下2枚の羽が1組、計4枚の羽が現れ、途端に旋風が巻き起こる。

うたい

うええええ！？

三河英二

な、なんだこれは！

七鐘別流

…業、とでも言っておこうかな。

別流がそう言った時には、数多の魔人は既に切り刻まれていた。

うたい

…速すぎる。なんだこれ…人間業じゃない。

別流は英二の背後に立ち、｢血詛呪術｣でひも状にした血で英二を拘束する。

七鐘別流

はい、チェックメイト。

三河英二

チッ。

うたい

このまま連れて帰る？

七鐘別流

いや、血で縛っている以上一般人に見られちゃまずい。今誰が空いてるだろ…あ、モナさんいるわ。

七鐘別流

ODMNの人に迎えに来てもらうから、ちょっと待ってよう…不味っ！

事後処理について話し合っていた2人は、｢すねこすり｣によって転んでしまう。その隙に英二は体を捻って拘束を緩め、どこかに走り去ってしまう。

うたい

あちゃー。どうしよ。

七鐘別流

どうもこうもないでしょ！今すぐ追わないと！

そう言って走り出そうとした2人の前に、1匹のアヤカシが飛び出した。

あふぇりる

お願いします！
話を聞いてください！

おどみん巫女パロ

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こ、これは……わしか！？なかなかに曲者やってるではありませぬか！！！

やった‥生きがいが更新された‥

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