無一郎はやはり忙しいからと長時間話すことはなかなかできなかったが、それでも必ず見舞いに来た。勿論蜜璃も同じだ。
無一郎は奈那を優しく見守り、蜜璃は最近の話や楽しい話をたくさん聞かせてくれた。
寝たきりではあったもののふたりが見舞いに来ていた時間は全く退屈ではなかった。 彼らの訪問を楽しみに二日ほど過ごした奈那は、同室から聞こえた小さな呻き声と共に目を覚ます。
横を見れば炭治郎が目を覚ましていた。 彼は七日も寝ていたことに驚いていたが、怪我の割に回復が速すぎる。 炭治郎は奈那よりも大怪我をしていたはずだ。
その後は部屋に産屋敷あまねが訪れ、炭治郎の体調を気遣いながら"痣"というものについて説明を求めた。
全く参考にならなかったようだ。奈那も炭治郎の言葉は全く分からなかった。 炭治郎はしょんぼりと謝罪していた。
その日、無一郎が見舞いに来ることはなかった。 奈那は無一郎に何かあったのか、もう自分に興味をなくされてしまったのかと不安になる。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
奈那
落ち込む奈那に声をかける炭治郎。 どうやら蔓延る噂とは関係なく恋心に気付いていたようだ。
竈門炭治郎
更に誰を好いているかまでしっかりと把握されていた。
奈那
竈門炭治郎
竈門炭治郎
奈那
奈那
奈那
竈門炭治郎
炭治郎は眉を下げて優しく微笑み伝えるも、キャーッと布団の上をゴロゴロ転がる奈那に声は届かなかった。 安静にしなくてもいいのか? と炭治郎は心配したが、この様子を見れば問題はなさそうだ。
同室の玄弥は奈那が目を覚ます前に伊之助が大騒ぎしたこともあり、ただ部屋を変えてくれと願っていた。
三日程経った頃、無一郎は申し訳なさそうに見舞いに来た。炭治郎と玄弥は機能回復訓練のため不在だ。
時透無一郎
奈那
柱は忙しい。それはよく分かっている。 奈那は僅か三日間、無一郎も蜜璃も来なかったことにげっそりと痩せこけ、布団から起き上がる気力すら失っていた。
彼らが見舞いに訪れなかった原因は多忙。 最近は鬼がめっきり現れなくなっているとしのぶから聞いていたが、それを利用して一般隊士たちに柱が稽古をつけることに決まったという。 それの作戦会議をしていた。
奈那
時透無一郎
奈那
時透無一郎
にやりと笑う無一郎。太陽に照らされて綺麗な顔がよく映える。月明かりの下の彼も当然美しいけれど、また違った魅力だ。
奈那
時透無一郎
恋の力とは恐ろしいものだ。 無一郎の「元気になってね」は奈那に驚異的な回復をさせた。
ほんの五日でほとんど問題なく動けるようになった奈那は、二日遅れの柱稽古に参加することになった。
まだ肋と脚は痛むものの、一刻も早く無一郎の稽古を受けたいという理由でしのぶに泣きつき、諦めた彼女から渋々許可を貰った。
奈那
奈那は久々に天元と会えることが楽しみで、軽い足取りで音柱の屋敷へと向かった。
屋敷に着くと真っ先に視界に入ったのは倒れ込んで今にも死にそうな隊士たちの姿。
奈那
隊士
奈那
青ざめた顔で転がる人たちにただただ困惑していると、よく通る大声が。
宇髄天元
宇髄天元
奈那
隊士
転がっている隊士はもう指の一本ですら動かせそうにない。
奈那
宇髄天元
奈那
隊士
宇髄天元
隊士たちはヒイヒイと言いながら何とか身体を起こし、走り去った。
まだ近くにいる隊士も多い中、天元が何か思い出したように声を張り上げた。
宇髄天元
奈那
宇髄天元
それなりに遠くにまで聞こえている。周りの視線が突き刺さり、ざわつく声。 奈那は天元を軽く睨むことしかできなかった。
コメント
4件
初コメ失礼します! 書き方も物語の雰囲気も何もかも大好きです🫶💞 続きが楽しみです♪
めっちゃ好き⤴