夏の終わりだというのに
蝉が鳴いている
???
彼女がいた
また音を外している
善一
???
???
つい、歌ってしまった
???
彼女が可愛い笑みを浮かべた
善一
善一
彼女は誰なのか
そんな答えも言わぬまま、電車はまた止まる
車掌
車掌
善一
???
その言葉とは裏腹に素手で雪うさぎを作っていた
善一
???
???
善一
暫く彼女との思い出ばかりが流れる
けれど全く思い出せそうにない
胸は張り裂けそうに痛い
善一
車掌
???
???
善一
善一
善一
???
ああ、どうして思い出せないのだろう
彼女は私の大切な人
なのに思い出せないのは何故だ
車掌
???
善一
善一
???
???
そこらの白無垢姿の女なんかより
白いワンピースの彼女は美しかった
善一
善一
車掌
赤ん坊の泣き声がする
善一
???
???
善一
善一
???
???
善一
善一
善一
善一
ピースは埋まってきている
車掌
車掌
善一
善一
その日付で
完全に思い出した
だからこそ
善一
善一
???
善一
???
???
???
私の名前の花…
すみれを仏壇に置いてください
すみれ
善一
あんなに辛い出来事を
もう一度見なくてはならないなんて
車掌
車掌
雪
雪
善一
雪
幸一
雪
幸一
幸一
そうだ
亡くなった事を
いや、彼女がいた事すら
無かった事にしようとしたんだ
善一
善一
車掌
善一
車掌
善一
善一
今日は確かに花屋に足を運ぼうとした
良かった、どこかで彼女を覚えていたんだ
車掌
車掌
善一
車掌
車掌
指差したのは
最初にいた帽子を目深に被った男だった
???
何故、彼の事も忘れてしまったのか
今となっては笑える
善一
善一
善一
善一
???
???
帽子を脱いだ彼は若かりし頃の善一だった
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
善一
雪
善一
幸一
善一
善一
幸一
幸一
善一
善一
幸一
幸一
1週間後
彼は幸せそうに眠りについた
最期の言葉はこうだった
棺に「すみれの花」を入れてくれ
きっと彼女は怒っているから
善一
善一
すみれ
すみれ
善一
善一
すみれの花を彼女に手渡した
すみれ
すみれ
善一
それに
これからは忘れる事がないくらい側にいられるじゃないか
コメント
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やっぱファンタジーはいいねー!泣いてまうやろ(><) 普通に本を読んでるみたいでストーリー性あって楽しかった😊❤応援してます!!
泣きました.°(ಗдಗ。)°.感動。