平穏なこの村が好きだ。
しおり
しおり
前にいた町では、
小説を書くと精神を蝕まれるような、 そんな嫌な感覚がした。
だけどこの村には、 物書きがたくさんいる。
小説を書いてもいいんだ。 そう思ったら、嬉しかった。
そんなこの村と、 この村のみんなが好きだ。
しおり
今日は勉強しよーっと
とんでもなく英語ができない私は、 学者であるあすかさんに 勉強を見てもらっている。
しおり
しおり
あすか
あすか
しおり
上手だし発音良すぎ…
しおり
しおり
あすか
あすか
いつでも言ってね
しおり
とこんな感じで いつもお世話になっている。
しおり
しおり
行っちゃおっかな〜
しおり
しおり
しおり
しおり
しおり
会いたいなぁ…
しおり
しおり
しおり
しおり
しおり
しおり
村長だったんですね!
村長
村長
村長
今日は私の担当日です
しおり
ちょうど良かった
しおり
村長
しおり
昔の仲間たちに会いたいな〜
って思ってて
そう言った瞬間、 いつもは穏やかな村長に とても怖い目で睨みつけられた。
しおり
村長
やめてください
しおり
村長
村長
こんな本はいかがですか?
村長はそう言って あからさまに話題を変えた。
しおり
しおり
間違いないですね!!
しおり
新作が書けたんです!
しおり
村長
しおり
小説は交換したものの、 村長の胸中を疑ってしまって 本に集中することはできなかった。
しおり
この村に来てから、
しおり
いなくなってた人はいるけど
しおり
いないような…
しおり
しおり
しおり
知らない…!!
村に行くために車に乗る際、 急に目隠しをされ、ひどく驚いた。
しおり
しおり
村長
村長
村長
してもらっているんです
当時は
変わった儀式だな〜
くらいにしか思っていなかったが、 今思えばとても怪しい。
不信感と好奇心が抑えきれず、 私は深夜に家を飛び出し、 遠くの街を目指して歩き出した。
随分深い森まで来てしまった。
ここがどこかすらわからないけれど、 街に着いたら誰かに聞こう。
しおり
しおり
しおり
言いながら歩こっと!
しおり
しおり
英語できないなぁ
しおり
教えてもらわなきゃ
しおり
街の光すら見えないなぁ
しおり
しおり
向こうに橋が見え、思わず駆け寄る。
しおり
するとそこには、 夥しい数の鎖がかけられていた。
しおり
しおり
ここから出られないの…?
しおり
しおり
とりあえず戻ろ…
意味がわからず村に戻ろうとした瞬間
頭に鈍痛が走った。
しおり
村長
意識が遠のく中、村長の声で そう聞こえた気がした。
村長
村が喪失感に包まれるでしょう
村長
村長
村長







