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少年少女と七不思議 第一話

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少年少女と七不思議 第一話

1 - 少年少女と七不思議 第一話

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2021年08月19日

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北校舎三階 空き教室

玲奈

どう?ここなら雰囲気あるでしょー

うわ、本当だ。何もねぇんだな…

美月

すごい、私たちの教室とは、まるで違ったみたい…

銀太

ねぇ

銀太

昔このクラスの生徒が殺されたって、本当なの?

玲奈

さあ…

玲奈

でも、新田先輩が言ってたんだもん。本当でしょ!

玲奈

おまけにほら、そこの机に花瓶が置いてあるよ

美月

でもこの花瓶、花がさしてないよ

玲奈

本当だ

玲奈

でもま、昔の話だし、気にすることないよ

なあ…

その、“殺された生徒の噂”って、どんなのだっけ?

玲奈

えー…。晶、忘れたの?

玲奈

仕方ないから、もう一度話してあげる

今から二十年以上前の話。

その頃、この水篠高校は生徒が今より多く、この空き教室も使われていた。

空き教室には、カヤコという女子生徒がいた。

彼女は至って真面目な普通の生徒で、友達もそれなりに多かった。

ある日の休日。

カヤコは、担任の先生が、殺人を犯すところを見てしまった。

彼女は急いで逃げ帰ったけど、その日は一日中おびえきって、外に出ることができなかった。

次の日。

本当は学校へ行きたくなかったけど、母親に怒られながら、カヤコは登校した。

先生にも、友達にも、何ら変わりはない。

カヤコはほっとして、いつも通り学校で過ごした。

放課後。

課題を忘れたカヤコは、先生に残るよう言われた。

教室には、彼女と先生以外、誰もいない。

…いつも通りなわけがなかった。

カヤコは、先生に殺された。

先生はカヤコの死体を、学校の中庭にある木の下に埋めた。

…その夜、娘が帰らないと、カヤコの家から電話があった。

もちろん探されたけど、当然カヤコは見つからなかった。

カヤコが殺害された、三週間後。

今度は、別の男子生徒が居残りになっていた。

先生がまた殺人を犯し、それをこの生徒に見られていたからだ。

生徒は椅子に縛りつけられ、先生を恐怖の目で見つめた。

先生が包丁を振り上げる。

生徒が目を瞑った、その時。

「逃げて」

どこからかそんな声がして、生徒を縛っていた縄が解け、鍵のかけられていたはずの入り口が開いた。

生徒は急いで飛び出し、なんとか逃げようとしたけど、やがて中庭に追い詰められた。

彼を逃すまいと、先生が前に立ちはだかる。

彼は、意識が遠のいていくのを感じていた。

…でも、いつまで経っても、衝撃も、痛みも来ない。

やがて、先生の悲鳴が聞こえた。

“それ”を見て、彼もまた、悲鳴をあげた。

地面から突き出た白い手が、先生の両足をしっかりと掴んでいたのだ。

しかも、先生の足はずぶずぶと地面に埋まっていく。

先生の体が完全に埋まりきる直前に、彼はまた悲鳴をあげた。

すぐに別のクラスの先生が来たけど、その時にはもう、先生の姿はなく、生徒だけが泣いていた。

ーー生徒はこの事を正直に話したけど、誰も信じず、結局先生は行方不明ということになった。

…それから一ヶ月後。

中庭の木が腐ってきて危ないので、掘り起こしてしまおうということになった。

木の付近の土を掘り起こすと、二体の腐敗した死体が出てきた。

ひとつは、スーツを着た男のもの。

もうひとつは、制服を着た女の子のものだった。

その死体は、奇妙だった。

女の子の死体が、男の死体の足を、 しっかりと掴んでいたのだ。

美月

うわぁ…

美月

なんか玲奈ちゃんが話すと、妙にリアルだなぁ…

玲奈

ふふっ、そう?

玲奈

えーと…

玲奈

それから、カヤコちゃんは、“カヤコさま”として水篠高の生徒を見守ってるんだって

あー、たしかそんな話だったな

銀太

噂とはいえ、なんか怖いな…

美月

でも、今日は“カヤコさま”をやらなきゃいけないんでしょ?

玲奈

そうそう

銀太

どうしてこの教室を選ぶ必要があったのさ…

玲奈

特に理由はないけど…

玲奈

でも、雰囲気って大事だと思わない?

銀太

そうかもしれないけど…

なあ玲奈

これって、“カヤコさま”のやり方か?

玲奈

そうだよ

玲奈

手順通りできるように、ちゃんと新田先輩の話をメモってきたの

美月

ね、確認したいから、私にも見せてくれない?

玲奈

いいよ、はい

おわ、玲奈マメだなー

美月

手順は基本的に、こっくりさんと一緒なんだね

玲奈

そ。だから別にメモらなくてもいいかなーと思ったんだけど…

玲奈

新田先輩がどうしてもって言うから…

銀太

…そういえば、なんで凸マークなんだろ?

玲奈

あー…

玲奈

たしか、凸マークを校舎に見立ててる…みたいな話だった気が

マークなんてどーでもいいだろ。
早くやって、帰ろうぜ

美月

大丈夫だよ、まだ四時半だし

俺は早く帰りたいの!

玲奈

うるさいなぁ…。ま、早くやろっか!

続く

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