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店主
私
どうやら私はしばらくそこに 立ち尽くしていたようで
店主の声でようやく 我に返ったのです
私
見知らぬ闇の中をずっと歩き、 匂いを辿って四つ辻を右に曲がった先
そこには闇夜の中に妖しく光る 赤提灯をぶら下げた屋台がありました
私
そういえば今日、私は何も食べていない それを思い出す事で更に 空腹が加速して
店主
選ぶ答えはひとつでした
私
店主
かすかな赤い光に照らされた 手作りであろう木の椅子に座ると
しばらくの間歩いた疲れを 椅子に吸われていく
コトコト グツグツ パチパチ …と
かすかに輪郭だけがうっすらと見える 屋台の厨房から
何かが炊かれる音 何かが焼けている音 何かが煮える音
闇の中で、何が作られてるのだろう そんな考えが膨らんでいくけれど
分かるのは厨房の奥からする お腹が空く匂いだけ
店主
店主
店主
店主
私
私
私
ひとつも聞いた事のないきのこ
文字だけでは想像もつきません
そもそも、食べられるきのこ なのかすら
私
店主
店主
私
品揃えを見て、不安感が湧き出ましたが
それ以上にお腹がすいて 身体から体温が抜け落ちていくのです
今、身体が求めている
私
幸いお品書きにあるのは 全て暖かそうな料理ばかり
私
店主
コトン
店主
「ミヤオクダケの炭焼き」
私
白いお皿に乗ってきたのは おそらく焼いたキノコなのでしょう
ですがその見た目は
私
店主
店主
店主
ものは試し
箸でとり おそるおそる口に運ぶと
ヒノキやクヌギ 杉などのどれとも違う
強く、そしてまろやかに包み込んでくる いい匂いがしました
私