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グルッペン・フューラー

ふぅ……

グルッペン・フューラー

もうすぐ……7時間か

また場所を移していたグルッペン

今回は本部の屋上だった

外は段々と暗くなり始め

時計は18時を指す頃である

グルッペン・フューラー

(食堂を使った形跡は無かった……)

グルッペン・フューラー

(そうなれば、サクラ先輩は昼食を取っていないだろう)

グルッペン・フューラー

(あの人は、朝食を抜く代わりに、昼と夜はよく食べる)

グルッペン・フューラー

(1日1食では、持たないだろうに……)

エーミール

こんなところにいたんですか、グルッペンさん

サクラを探しに出ていたエーミールが屋上へ上がってきた

きっと、見つからずに1度帰還命令がトントンから出されたのだろう

本部内のサクラが関わりのある部屋を動き回っているグルッペンの代役は

トントンなのだから

グルッペン・フューラー

帰ってきたのか、エーミール

エーミール

仕方ありませんよ、トントンさんからの帰還命令ですし

エーミール

それより、居ないのに本部内を歩き回っていたそうですね

エーミール

総統専用部屋にまで、足を運んだそうで

エーミール

そこに、ショッピ君やチーノ君ましてや新兵を入れたとか

エーミール

一体、何を考えているんです

エーミール

サクラ先輩が…それを望むと?

グルッペン・フューラー

わかっている

グルッペン・フューラー

先輩にとって、あの部屋は神聖な場でありトラウマを呼び起こす場

グルッペン・フューラー

そこに、関わりのない新兵や関わりが少なかった2人を入れるのを

グルッペン・フューラー

お前が断固反対していた事は

グルッペン・フューラー

だが、そうでもしなきゃ先輩の行き場が分からないと思ったんだ

グルッペン・フューラー

そう……思ってしまった

グルッペン・フューラー

私は、邪悪で彼女を壊した彼らよりも理解は明らかに劣る

グルッペン・フューラー

今の、先輩の理解者が私とお前だからとはいえ

グルッペン・フューラー

全部を肯定することは、立場が許さない

エーミール

勿論です

エーミール

まず、彼らは関わりあった年数が違う

エーミール

私たちは、不幸なことに、彼らより遅く先輩を知って関わりを持った

エーミール

なんにせよ、私と貴方は先輩の理解者になった

エーミール

私たちが持っている、先輩へのとても大きい感情には蓋をしなければならない

エーミール

理解者になったことで、先輩は過去を話してくれた

エーミール

今の彼女を理解しているのは、私と貴方です

エーミール

その片割れである貴方が、そんな弱りきってどうするのですか

グルッペン・フューラー

……怖いんだ

エーミール

怖い?戦場で血の海を創り出す貴方が?

エーミール

何に恐れを生しているのです

グルッペン・フューラー

先輩がいなくなる事だ

グルッペン・フューラー

この世から

エーミール

……

グルッペン・フューラー

「死は救済」とは…よく言うさ

グルッペン・フューラー

実際に、奴らは死んで罪から逃げ出した

グルッペン・フューラー

そのせいで、サクラ先輩はこの世に閉じ込められた

グルッペン・フューラー

彼奴らの存在は消えることのない事実となる

グルッペン・フューラー

世間は、彼らが引退して何をしているのかと思っているだろう

グルッペン・フューラー

先代総統の訃報以降、なんの話しも出ていないのだから

グルッペン・フューラー

今となれば、彼らもいい歳だ

グルッペン・フューラー

私達が国民に、訃報を入れても驚くだろう

グルッペン・フューラー

幹部や総統なのにも関わらず、戦場へ赴き戦いに参加し無傷

グルッペン・フューラー

そんな身体能力を持つ彼らの死は、この国の威厳を失う材料にもなり得る

エーミール

その理由は、彼らが自殺をした時に伺いました

エーミール

それを、私達は承知した

エーミール

”国民及び軍事関係者には一切伝えない”と

エーミール

先代がそれを望んでいると伝え、詮索する者全てを暗殺すると

エーミール

私たちの手は、既に穢れています

エーミール

その手を、サクラ先輩は選んでくれた

エーミール

「綺麗」だと、仰ってくださいました

エーミール

彼女は女神様だ

エーミール

私達だけの女神様

エーミール

私たちのような、悪魔に間違えられてもおかしくないような生物に慈悲を与える

エーミール

お優しい…そしてお強い女神様

エーミール

ヴァリキーと…お前が言ったんやろ

少しづつ

エーミールの口調が乱れ始める

エーミールは崇拝型に似た依存タイプ

相手を奉る上で、居なくなれば誰よりも不安がる

グルッペン以外のメンバーからは依存タイプのようには見えないだろう

しかし、彼の内心は

かなり荒ぶっている

エーミール

(ああ、どこに行ったんですか)

エーミール

(連絡も取れないし、探しても見つからない)

エーミール

(あの花畑に居ると教えていただいたとはいえ、姿が見えないと息苦しい)

エーミール

(私が、先に死んでしまう)

エーミール

(ああ、早く帰ってきて……私の女神様)

グルッペン・フューラー

確かに、私が言った

グルッペン・フューラー

全て、サクラ先輩がその存在に相応しいと思ってお前たちに伝えたことだ

グルッペン・フューラー

今も…それは変わりはしない

エーミール

なら…何が

グルッペン・フューラー

最近、怪しい気配を感じたんだ

エーミール

怪しい気配…ですか

グルッペン・フューラー

お前も知っているだろ?

グルッペン・フューラー

俺は『祝福』を保持している

エーミール

ええ、貴方の『祝福』はとても希少ですからね

エーミール

確か『先導者』でしたっけ?

グルッペン・フューラー

ああ、私の『祝福』は

グルッペン・フューラー

”私や仲間たちに関する不利益な情報を自動的に回収する力”

グルッペン・フューラー

なぜ、この範囲にサクラ先輩は入っていないが……

エーミール

では、感じた気配は今後私たちに不利益を与える可能があるのですね

グルッペン・フューラー

目覚めてはいけないモノが……目覚めたかもな

グルッペン・フューラー

たとえば……”神”や”悪魔”とかな

エーミール

この城に眠る、”謎の陣”でしょうかね?

グルッペン・フューラー

さぁ……”あの陣”を操れるのは、シャルロット家だけだからな

エーミール

とりあえず、私は本部の中でヒントを探します

エーミール

彼女のことです

エーミール

必ず、何かしらのヒントがあるはず

グルッペン・フューラー

あぁ……わかった

そうして、エーミールは屋上から出ていった

また一人

グルッペンは空を見上げる

グルッペン・フューラー

……

もう……諦めてしまおうか

もう私は耐えられない

グルッペン・フューラー

(もう少し……もう少しだけ……)

彼女の理解者でいようか

ただ願っただけなのに

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