それから、轟は自分の母親と会えなかった分沢山話をしていた
しかし、かなでは母親と嬉しそうに笑う轟と轟の母親が羨ましくて目を逸らしてしまっていた
毒島かなで
(いけない。如何なる時も笑顔を忘れてはダメ)
毒島かなで
(約束したんだ…いいな…焦凍くん)
毒島かなで
(こんな感情持ったのいつぶりでしょうか)
かなでは自分の手で顔を隠した
轟冷
かなでくん?
毒島かなで
ハッ…すみません。何でしょう?
ニコッと笑いながら答えた
轟焦凍
やっぱり辛かったか?
毒島かなで
へ?
轟冷
かなでくん。なんだか苦しそうよ?
毒島かなで
…っ。そんな事ありません
轟の母親は、かなでの方向に行き優しく小さな子供をあやす様に背中を撫でながら抱きしめた
轟冷
私達の前ではいいのよ?
轟冷
かなでくん。泣いても
轟冷
私ね少しだけかなでくんの事知ってるの
毒島かなで
何故ですか?初対面ですよね?
轟冷
そうね
轟冷
かなでくんの両親の事件で大きくニュースになってたし、あの人もあの事件に携わる人間だから知ってるのよ
毒島かなで
そう…だったんですね
轟冷
かなでくん
轟冷
私の事本当の母親だと思っていいから思いっきり甘えていいのよ?
毒島かなで
そんな!申し訳無いですよ
轟冷
私はもう1人息子が出来たみたいで嬉しいわ
轟冷
それにねかなでくん
轟冷
焦凍の何処が好きなのかとか聞きたいの!
轟冷
息子の恋話とか聞いた事無いのよ
かなでは最後の言葉を聞いた瞬間顔を赤くした
毒島かなで
ご迷惑でなければ
そう答えると、背中に腕を伸ばした
思わず目から涙が零れ落ちた
毒島かなで
…本当は…悔しかった……ぐす
毒島かなで
自分の無力さを…あの時…突きつけられて
毒島かなで
また、大切な…人を……失うんじゃないかって
轟の母親は、うんうんと優しく頷く
毒島かなで
幾ら…ぐす…力を、付けても……無力さを、感じるだけで
毒島かなで
外に出て、笑い合う……家族を見て
毒島かなで
羨ましくなって……そんな、感情…とうの昔に忘れ…てた筈なのに
轟焦凍
溜め込んでんじゃねぇか!
轟冷
辛かったね。もう大丈夫よ
轟の母親は、優しくかなでの頭を撫でた