テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
25件

#ぽぴぃ⤴︎ ⤴︎⤴︎
ツチノコ
30
#えとさん嫌われ
とりぴぃ〜
711
585
#ゆあえと
ザーザーと、容赦のない雨が地面を叩きつけている
シェアハウスの裏手に広がる、大きな庭園
そこは、最年長の僕ーーなおきりが毎日コツコツと手入れをしている自慢の場所だった
今は色とりどりの季節の花が咲き誇り、奥には立派な木製のフェンスに大ぶりな花のツルが力強く巻き付いている
いつもなら絶好の動画撮影日和になるはずだったが、あいにくの梅雨空のせいで屋外の撮影は中止
僕と最年少のゆあんくんは、庭園の端にある、小さな屋根のついた東屋のベンチに並んで、激しい雨に打たれる花たちを眺めていた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくんが、つまらなそうに頬杖をついてため息をつく
大好きな最年少が落ち込んでいる姿を見ると、僕としてはどうしても笑顔にしてあげたくなる
なおきり
ゆあんくん
僕はポケットから、白いティッシュと輪ゴム、そして愛用の黒と青のマジックペンを取り出した
なおきり
ゆあんくん
さっきまでのどんよりした空気はどこへやら、ゆあんくんは目を輝かせてティッシュを丸め始めた
雨の匂いと花の香りが混ざり合う静かな庭園の中で、2人並んで、あぁでもないこうでもないと言いながら、白い塊に顔を描いていく
ゆあんくん
ゆあんくん
先に描き終えたゆあんくんが、僕の手元を指さして大爆笑し始めた
僕が自分の作ったてるてる坊主を見てみると、そこにはニコニコ目に優しい眉毛、そしてちょっと抜けたような、だけどすごく温かい笑顔が描かれていた
無意識のうちに、顔を描いてしまっていたのだ
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくんがケラケラと無邪気に笑う
その笑顔につられて、僕も胸の奥がじんわりと温かくなった
じゃあ頑張って、この僕そっくりのてるてる坊主が、明日を晴れにしますね!
ゆあんくん
ゆあんくん
2人は笑い合いながら、完成したてるてる坊主を東屋の柱に並べて吊るした
雨の雫が滴る美しい庭園の向こうで、僕そっくりの白い影が、楽しそうにゆらゆらと揺れている
そのすぐ奥には、青い花をつけた頑丈なツルが、静かに雨に濡れていた
ゆあんくんが「じゃあ俺、冷えてきたから部屋に戻るね!」と元気に走っていったあと、僕は1人、東屋に残された
静かになった庭園で、ふと、いつものルーティンであるYouTubeのコメントを開く
何気なくスクロールした画面に、冷たい言葉が飛び込んできたのは、そのすぐ後だった
『なお兄、最年長なのに全然グループ引っ張れてなくない?』
『ゲームも下手だし、ぶっちゃけからぴちに要らない気がする……』
どくん、と心臓が嫌な音を立てた
さっきまでゆあんくんと笑い合っていた温かい空間が、一瞬で凍りついたように感じられた
目の前で揺れるてるてる坊主を見る
そこには、自分が描いた「なおきり」の笑顔が、ただ静かに佇んでいた
なおきり
激しい雨に打たれる花のツルを見つめながら、僕の耳の奥に、冷たいノイズが静かに響き始めていた