テラーノベル
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雨の音だけが、 静かに響いていた。 ミナトの手の中。 古い銀色のライター。 傷だらけで、 角も少し削れている。 でも、 レイは一瞬で分かった。 ハルのだ。 ⸻ 『もしレイがちゃんと生きようとしてたら渡して』 ⸻ レイの呼吸が止まる。 ノアが隣で、 静かにレイを見る。 ミナトは少し笑った。
ミナト
ミナト
レイの指が、 小さく震えていた。 受け取れない。 怖くて。 もし触ったら、 全部本当に終わったって分かってしまいそうで。 ミナトはそんなレイを見て、 少しだけ困ったみたいに笑う。
ミナト
ミナト
雨が降る。 燃えた倉庫の匂い。 遠くのサイレン。 全部が、 あの日と少し似ていた。 レイはゆっくり、 ライターへ手を伸ばす。 冷たい。 でも、 少しだけ温かい気がした。 カチッ。 無意識に火をつける。 小さな炎。 その瞬間。 レイの脳裏に、 ハルの笑顔が浮かぶ。
ハル
ハル
レイの目から、 静かに涙が落ちた。 今までみたいな、 壊れた涙じゃない。 ずっと止まってた時間が、 やっと動き出したみたいな涙だった。 ノアは何も言わない。 ただ、 隣に座る。 肩が少し触れるくらい近く。 それだけ。 でも、 レイには十分だった。 カラスは少し離れた場所で、 静かにその光景を見ていた。 羨ましい。 苦しい。 でも。 少しだけ、 安心してしまった。 ハルが守りたかったもの、 ちゃんと残ってる。 アベルが静かに立ち上がる。 赤い目が、 燃え落ちた倉庫を見る。
アベル
ジン
アベル
静かな返答。 ミナトが笑う
ミナト
クロエ達も、 きっと待っている。 ユキも、 まだ震えながら生きてる。 誰も、 完全には救われてない。 傷も消えない。 ハルも戻らない。 でも。 それでも。 レイは小さな炎を見つめながら、 静かに呟いた。
レイ
雨音の中 ノアが少し笑った
ノア
その返事は驚くほど優しかった
LEU
コメント
1件
うわ、第25話……めっちゃ良かった……。ハルのライター、あの傷だらけの銀色がもう象徴的すぎて震えた。レイが「ちゃんと生きようとしてたら渡して」って条件、重すぎるし、それに応えた今のレイがそこにいるのが胸熱すぎる。ノアの「隣に座る、肩が触れるくらい」って距離感が逆に優しくて泣ける。ハルは戻らなくても、確かにレイの中に生き続けてるんだなって思ったわ。生きろよ……ほんとそれ。