殺戮のアメ玉2～アメ上がりには虹をかけて～

───国民の皆様にお伝え致します

我が国ニジニアは、長年絶えず続き残る敵国、アナジニハ

我がニジニア国民を大量に殺め、古来からの友人であったサカナカ王国の領土を奪い王国を占拠した民族であるアナジニハを

明日未明、根絶やしにするための計画を実行することに決定しました

同時に、アナジニハによって奪われてしまった本来のサカナカ王国を奪還する計画でもあります

そこで、国民の皆様にお願いしたいことがあります

我が国と古来よりのサカナカ王国に栄光の勝利をもたらす為、毎日祈りを捧げてください

1回でも、1分でも、10秒でも良いのです

2日に1回でも良いのです

皆様には祈りを捧げて頂きたいです

きっと、我々の勝利に役立つでしょう

我が国に栄光あれ───

そう言い、つけていたイヤホンを外したのは、元ニジニア軍親衛隊副隊長のアマネだ

複雑な表情をしているアマネにそう答えたのはニジニア軍第6部隊指揮官のルクタだ

彼女は今も第6部隊の出番があるときには戦地に赴き、指揮をとっている

二人は前回の戦争で出会い、以降仲が良くなり、今では友達も誘って一緒に出かけることがあるほどの仲だ

静まりかえった列車の中に笑い声が響く

次が二人が向かう先の最寄り駅だ

We are soon arrive at──

今日はギラつくほど眩しい快晴

雲一つなく、カラッとした空気がニジニアを包み込んでいる

心なしか、皆の顔は曇りか雨に見えるようだが

ドアが開いた

外

通行人は明日から戦争が始まるのにも関わらず、普段通り笑っている

目的地に着くまで、通行人の様子を注意深く見た

皆笑っているか動揺しているか、それともなだめているか

ニジニアは前回の戦争で被害がかなり少なかったため、皆楽観視しているようだ

この時は本当の軍の様子や国際情勢は軍関係者──特にトップ層しか知る由がなかった