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昼休み
人のざわめきが校舎にこもる中
○○は1人
自販機へ向かっていた
今日は天気がいい…
ってより暑い
人が少ない裏側の建物沿い
ガサッという音が聞こえた
○○
○○
するとひょこっと猫が覗いた
○○
私と目を合わせた途端 猫は中庭に走っていった
あれ…どこいったんだろ
そう思いガサガサ聞こえる茂みを覗くと
○○
いた…
小さな三毛の子猫が
中庭の隅っこに身をかがめていた
目が合う。
それだけで頬が緩む
○○は静かに膝をつき
スマホを構えた
その瞬間もう1匹
そしてさらにもう1匹
どうやら兄弟たちらしい
○○
ぽつりとこぼしたその声は
誰にも届くことが無い
…はずだった
昼休みを迎えた今
隣には肩を組んでくる吉田がいた
吉田
吉田
黒尾
吉田
吉田が俺の腕をつんつんした時
外に見えたのは
“噂”の蝶野さんだった
何気なく視界に入った後ろ姿に
思わず足を止めた
蝶野さんは何かを追っかけて中庭に向かった
吉田
黒尾
黒尾
吉田
吉田
吉田
中庭に近づくと
蝶野さんは下にしゃがみこんで
何かを見つめていた
何してんだろ…
黒尾は無意識に近づいていた
乾いた葉っぱを1枚
踏む
その音がパキッと響く
黒尾
茂みの中から猫が飛び出て
四方八方に散らばった
パキッという音と同時に
猫は一目散に逃げていった
○○
振り向くと
そこには昨日の人がいた
黒尾
少し気まずそうに頭を掻いた
黒尾
○○は視線を外し
小さくため息をついた
○○
○○
黒尾
○○は膝を少しはらい
立ち上がった
黒尾
○○
○○
黒尾
近くで見るとやっぱり
黒尾くんの背は高い
○○は少しだけ間を置いてから答えた
○○
黒尾
そう言って二人の間に
ほんの少しの沈黙が生まれる
と、その時
ふわりと風が吹いた
黒尾
一匹の白い蝶が
ひらりひらりと飛んでくる
黒尾の前を通り過ぎ
○○の方へ向かった
○○
○○は少しだけ目を細めて
それを見上げていた
隣の黒尾は
そんな○○を、見つめていた
午後の授業が終わり
いつもだったら部活の時間
黒尾
でも部活は最近引退したため、もうなかった
昇降口に着いた時
ふと窓の外に視線が流れる
黒尾
校舎の外のベンチに
蝶野さんが座っていた
誰とも話さず
誰とも群れず
スマホをいじるわけでもなく
ただ空を見上げていた
なんか、よく見る
黒尾
でも昼休みの時
写真を撮る時の柔らかい表情
蝶を見上げてるときの涼しい目元
なんか…
忘れられないんだよな
そんなことを考えていると
益若
後ろから益若が声をかけてきた
益若
黒尾
黒尾
黒尾
益若
益若は視線の先に気がついた様子で
小さく鼻で笑った
益若
益若
黒尾
益若
益若
黒尾は何も言わず
ポッケに手を突っ込んだ
…なんなんだろ
あの子は
“落とせる”とか
そういう話じゃない
ただ、気になる
理由もきっかけも
特にない
けど目が離せない
黒尾
黒尾
黒尾はスマホを見ながら
人気のない道を歩いていた
結構遅くなったな…
さっきまでいってたのは
祖母のお見舞い
こう見えてバーちゃんっ子なんで
黒尾
今帰宅ラッシュで混んでるだろうな
そう思っていた時
目の前をスっと
一人の女の子が横切った
ヒールの音がコツコツと
響いていた
黒尾
目が合ったのは
さっきまで学校にいた蝶野さんだった
○○
彼女は何も言わず
気づいてないふりをして
その場を立ち去った
黒尾
一瞬すぎたため
“学校の彼女”と“目の前の彼女”が
結びつかない
雰囲気がまるで違った
黒尾はそこで立ち尽くし
少しだけ下唇を噛んだ
どこ行くんだろ
ついて行くわけじゃない
でも気になって
つい何歩か進む
ちょうど目の前で踏切が降りた
その向こうで蝶野さんは振り返った
その目は
“誰?”とも“見ないで”とも言わない
ただ
何も言わない目だった
そして電車が通り終えると
黒尾
既に蝶野さんはいなかった
黒尾は立ち尽くしたまま
ため息を吐いた
黒尾
黒尾
黒尾はそのまま踵を返し
駅に向かった
○○は急いでバーに入った
ふう
ふう
○○
○○は1度カウンターに座り
さっきのことを思い出した
○○
○○
グラスを置いて○○はそう言った
ふうさんはカクテルを作りながら
片眉をあげた
ふう
ふう
ふう
ふう
○○
○○
○○
○○
私がそう言うと
ふうさんは笑った
ふう
ふう
ふう
ふう
○○
○○
ふう
○○
○○
ふう
ふう
○○
○○
ふう
ふう
○○
○○
○○
○○はグラスの中の氷を
くるくると回しながら目を伏せた
○○
ふう
○○
ふう
ふうさんはいたずらっぽく笑う
○○
○○はすぐに否定した
でもいい切った後
少し間を置いてつぶやく
○○
○○
○○
○○
ふう
ふう
○○
○○
○○
ふう
ふう
○○
○○
○○
ふう
ふう
○○
○○
ふう
○○はそのままコーラを口に含んだ
きっともう
関わることは無いから
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